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「見えないものは改善できない」アスクル・LOHACOの超データドリブン運営&独自価値を生む2つの方法

0→1はデータを通じた他社との協業で生み出す

 独自価値の発揮に関するもうひとつのアプローチ「0→1」については「LOHACOだけで成しえることではない。商品を作るメーカーや、それを届ける配送会社など、様々な会社とともに生み出していくことが必要」と成松氏。自前主義を貫くのではなく、目的の実現のために積極的に協業する企業文化をもっている。

 「データは社会最適や社会変化を起こせる人が使うべき。しかし、変化を起こせる人と、データをもっているプレーヤーは、得てして違うものです」(成松氏)

 この思想を体現したのが、2014年に開設した「LOHACO ECマーケティングラボ(以下、ラボ)」だ。LOHACOが保有する様々なデータをすべて公開し、商品企画やプロモーション施策を考えていく機関で、現在は143社が参加している。

 ラボからは、多くのヒット商品が誕生。たとえば花王「リセッシュ除菌EX」はLOHACOのカスタマーレビューから、商品に対する顧客の声を分析。「リビングに出しっぱなしにしても、インテリアの邪魔をしないデザイン」へのニーズが高いことを突き止めた。

 実店舗に並ぶ商品のパッケージは、手に取ってもらうために強くアピールするデザインが求められる一方、ECはサイト上で様々な訴求が可能であり、その必要性は薄い。暮らしになじむプロダクトデザインへリニューアルしたところ、売り上げが11倍へと増加した

 またラボでは、「商品のどのような点に満足してレビューを書いたのか」と「年間顧客単価の関係」も分析。トイレットペーパーを例に挙げると、価格や紙質について評価した顧客より、収納スペースや交換の手間が省けることを評価した顧客の方が、LTV(顧客生涯価値)が高いことが明らかになった。

 このようにLOHACOと数々のメーカーは、データを通じて顧客満足につながりやすいポイントを可視化し、ものづくりにおいて追求するべきポイントを明確にしているのだ。

ラボから派生した「LOHACO Insight Dive」も始動

 「データは抱え込むものではない」という企業文化を根底にもつ同社は、ラボでの取り組みを一歩進めた新たなデータマーケティング支援サービス「LOHACO Insight Dive(ロハコ インサイト ダイブ)」を開始。メーカーの保有するデータとLOHACOの購買・行動データをシームレスに連携させ、LOHACOにおける販売促進以外の目的でも利用できる形で提供した。

 参加企業は、データ連携や分析、調査/テストマーケティングなどのサービスを利用することが可能。これによりLOHACOは、独自価値につながるメーカーとの共創を一層進めていくという。 

 最後に成松氏は次のように述べ、セッションを締めくくった。

 「お客様の生活とメーカーによる市場創造の活動を、『LOHACOでのお買い物』という行動を通じてつなぐことが目標です。LOHACO Insight Diveを通じて、業種業態を超えたデータ利活用を実現できればと思います」(成松氏)

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この記事の著者

田崎 亮子(タサキ リョウコ)

マーケティング&コミュニケーション領域の編集・執筆・翻訳を手掛ける。コミュニケーション領域の専門誌編集、コーポレートコミュニケーション領域の制作会社を経て、現在はフリーランス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32149

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