口コミ返答率は70%以上に!「情報の一元管理」とは?
――各国でよく使われているサイトを特定し、口コミを見つけ出すことそのものが難しそうですね。
北村:その通りです。そこで今年の春に「Yext(イエクスト)」という検索のクラウドプラットフォームを導入し、各検索エンジンや地図アプリ、サイト、SNSなどに掲載されている自社情報を一元管理し、正しい情報を発信できるようにしたのです。
――「ネット上の自社情報を一元管理」というと、ひとつのプラットフォームで見られるようになったのですか。
北村:はい。これまでは店舗の住所や営業時間などを修正・更新する場合、各サイトにログインしなければならなかったのですが、作業をYext上で一括で行えるようになったため、大幅な効率化につながりました。
また口コミへの対応については、Yextを導入する前の返答率は25%程度に留まっていましたが、今は70%以上にまで向上しました。返答を書き込むのはアナログな行為ですが、そこにたどり着くまでの過程を効率化した成果だと思います。
竹原:当社はホスピタリティの観点から、どんな形であれメッセージをくださった方にはすべてお返事したいと考えています。
デジタル化によって、以前は私たちのもとに届くことがなかったお客様の正直な声も可視化されるようになりましたが、「一人のお客様が書き込んだ内容は、きっと十人の方が感じていらっしゃることだろう」と捉えています。テクノロジーの力を借りながら、そうしたご意見により真摯に対応できるようになったのは嬉しいですね。
オリンピックを見据え、各国の口コミサイト&音声検索にも対応
――Yextを通じて、オンライン上の情報をより戦略的に管理し、正しい情報を発信できるようになったのですね。
北村:はい。他にも、店舗が情報更新や告知を行っているか、口コミに返答しているかどうか、といった部分もYextで可視化できるため、急ぎの対応が必要な店舗には、私たちマーケティング部から声をかけることもできるようになりました。
それから、これまでのところ対策が必要になったケースはありませんが、たとえば炎上につながりかねないキーワードは事前にアラートを設定しておき、本社と店舗の両方ですぐに把握して動ける体制も整えています。
――先ほど課題として挙げられていた、インバウンドへの対応はいかがですか。
北村:Yextはグローバルでも広く活用されているツールなので、世界中の主要口コミサイトを網羅しており、書き込まれた口コミの検出から多言語での返答(※)まで、すべてをダッシュボード上で行うことができています。
(※)日本語で書きこむと、Googleの自動翻訳機能により翻訳される。
また、特に米国と中国では音声検索が浸透しているので、VSO(Voice Search Optimization)と呼ばれる音声検索への最適化も急務だったのですが、Yextはこれにも対応しています。
竹原:音声検索はテキスト検索と違い、基本的に一つの候補しか返答しませんから、たとえば「渋谷のしゃぶしゃぶ店を教えて」と尋ねたとき、最初に「鍋ぞう」が提案されることがとても重要です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてVSOは急務だと感じていたので、これをフォローできる点はYext導入の決め手の一つになりました。