応募者も「GYAO!」ユーザー丁寧な対応が欠かせない
――10人とは、多いですね!
芦田:以前のプロセスでは、難しかったと思いますね。ご指摘のように、ナビ系サイトで他社と同列にエントリーするより、わざわざGYAOのアプリをダウンロードしてエントリーするのは一定のハードルはあると思います。ただ、前述のようにコンテンツボリュームにこだわっているだけに、ある程度当社の事業を知って、社員インタビューなどから感じられるカルチャーも踏まえた上で興味を持った学生がエントリーしてくれるので、その時点で当社とのマッチング精度はかなり高くなっています。興味の度合いや熱意が高い、かつ絞られた人数だからこそ、こちらもワークショップや社員10人以上に会うといった細かなプロセスを用意できます。
当然、残念ながら途中でご縁のなかった方もいますが、それはその方の問題ではなく、GYAOの現在のコンディションとその方の特性がそぐわないということが多いですね。同時に、社員に会ったりする中で、ちょっと自分とは合わないなと感じて辞退される方もいます。能力というよりカルチャーがフィットしないと、入社していただいても難しい部分が出てきます。10人も会うと、そのあたりはごまかしが利かないので、前述のような早期離職の低さにもつながっているのだと思います。
羽生:社員と会っていただくたびに、ロイヤルティが高まっていくことを目指していますね。また、採用シーンから離れれば、一般生活者として「GYAO!」の大事なユーザーでもあるわけで、採用ではそのエンゲージメントを損なわないだけの真摯な対応はできていると思います。IT業界は動きが速く、まだ新しい領域でもあるので、数年前にご縁がなかった方と合同採用イベントで同じ出展側としてお会いしたりもしますし、当社の中途採用を受けていただく可能性もあります。
ありがたいことに、ご縁がなかった方からの紹介で新たにエントリーしてくれる学生さんもいるくらいです。そういった部分でも、我々として採用の最初から最後まで丁寧に対応できる仕組みを整えることは大事だったと実感しています。
若手社員が採用に参加育成の意図も
――ちなみに、相当の量のコンテンツ制作やアプリの運用は、どのような体制で行っているのですか?

羽生:コンテンツの制作は人財戦略室の人事部門が主に担当していますが、プロジェクト形式で採用チームを形成して、アプリの運用はデザイナーやエンジニアに必要に応じて兼務で加わってもらったり、また就活合同イベントなどには社内の若手社員に参加してもらったりしています。後者はそのメンバーの育成という観点も踏まえています。どうしても、入社1〜3年目は目の前の仕事に手一杯になりがちで、GYAOという会社全体を意識することや会社を背負って話したりする機会は少ないので、採用イベントで入社希望者に会うことはいい刺激になっています。
これは今年から始めた取り組みですが、双方にいい影響が出ているので、今後の継続も検討中です。
――なるほど、それは入社希望者にも若手の方にもロイヤルティが高まる仕組みですね。最後に、今後の展望をうかがえますか?
芦田:10月1日付で旧ヤフー株式会社がZホールディングス株式会社となり、当社は事業会社としての新ヤフー株式会社の傘下となりました。そういった事業の変化のさなかなので、採用活動に関しても今後も必ずこうするという指針はありませんが、冒頭でお話ししたとおり採用活動は単独の動きではなく、あくまで会社の戦略があり、そのための組織編成と人事戦略があってそれに基づく活動になります。
そして会社の戦略は市場や世の中の環境によって変わるので、今後もそれらに応じて柔軟に取り組みつつ、当社と接点を持った学生の方々にもそれぞれが納得いただけるプロセスを提供していきます。
羽生:同感です。人財戦略室としては、事業戦略に準じ、かつ個々の学生さんとも採用チームの若手社員とも当社との関係を深められたらと考えています。