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MarkeZine Day 2025 Retail

西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「マーケターは2~3年で出し切らないと仕事をしたと言えない」スマニュー西口×日本コカ・コーラ和佐対談

グローバルでコミュニケーションアイデアを開発する

西口:確固たるエッジは保ったまま、ターゲットのインサイトや興味と重なるところを見つけるんですね。「リボンボトル」の施策などは僕らブランドに親しみがある層にも響くし、これまでブランドに接触してこなかったティーンも好感を持つ、両方に効く秀逸なアイデアだなと思います。パッと見、一過性のプロモーションに見えますが、とても戦略的ですね。こういうのはどうやって生まれるんですか?

和佐:おっしゃるとおり、すごく戦略的です。実は本社の米アトランタにアイデア開発を束ねる組織があり、彼らがたとえばティーン向けなら「ティーンチャーター」というプロジェクトを立てていて、各地域からアイデアを募るんです。そこで、グローバルに展開できるアイデアなら本社から予算を出すよと。トライアルの予算をつけ、さらに広がるならもっと拠出して大々的に展開します。

西口:そうなんですね! ティーン以外にも切り口がある?

和佐:もちろん、ターゲット別だけじゃなく、モーメント別もあります。人はなんだかんだ、起きてから寝るまで都度なにかを飲んでいるんですよね。起きたとき、食事、ちょっとしたブレイク。そういうモーメントを捉えて、じゃあ「ブレイクモーメントチャーター」でアイデア募ろうよ、と各国から集める。内容によって、お茶に適用したりコーヒーで展開したりします。

 グローバルキャンペーンになるものもあれば、ローカル性が強いならローカルで展開する。この仕組みはコカ・コーラ社の大きな強みですね。「リボンボトル」は欧州から出てきたアイデアですし、250種以上の名前をデザインした「ネームボトル」はオーストラリアのアイデアでした。

「ブランドが元気かどうか」をあらゆる指標で把握

西口:すごく興味深い仕組みですね。ブランドのエッジが施策にしっかり落とし込まれているので、どの施策もブランディングと販促の両方を兼ねるものになっているのだろうと思いますが、それぞれの効果計測ってどうされているんですか? というのは、多くの会社で販促はともかくブランディングはあいまいにされてきて、ほとんど数値化されていないな、と。

和佐:当社は、マーケティング予算の相当額をトラッキングにかけています。前提として、IMC(統合マーケティングコミュニケーション)においてはブランディングと販促は別個のものではなく、総括的な活動と捉えた上で、施策の事前と事後で様々な指標を把握して検証しています。

 たとえば米P&Gの元CEO、A.G.ラフリー氏が提唱した、消費者が買いたい気持ちを最初に抱くタイミング「ファーストモーメントトゥルース」と、その後Googleが提唱した、主にオンラインで検索するなど“買いたい”前のブランド接触「ゼロモーメントトゥルース」という2つの概念がありますが、これは連続するものですよね。その連続性を加味した上で、どこでどんな態度変容や行動変容が起きているかを細かく計測しています。

西口:ファネルで考える。

和佐:そうそう。一般的にはブランドリフトと言うと思いますが、僕らではブランドラブと表している好意度や親近感、それからカテゴリー平均を100とすると、どれくらいプレミアム性を獲得できているか、とか。こうした調査を、主要ブランドでは通年で走らせている。一言でいうと「ブランドが元気かどうか」を見ています。

後編では、コカ・コーラ社の商品開発について、実際に和佐さんが手がけた、コカ・コーラ社初のアルコール飲料『檸檬堂』の舞台裏、そしてこれからCMOを目指す人へのメッセージをうかがいます。お見逃しなく!

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/24 14:00 https://markezine.jp/article/detail/32555

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