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Eコマース時代にリアル店舗が生き残る術

2020/03/25 14:45

 急速に伸びるEコマース市場。米国では大手百貨店の閉鎖が相次ぎ「リアル店舗の終焉」とまでささやかれるようになった。しかし、データが示すのはオンラインとリアルのすみ分けの進行だ。特定分野では消費者は依然リアル店舗でのショッピングを求めている。リアル店舗と相性が良い分野とはなんなのか。Eコマース時代にリアル店舗が生き残る術を探ってみたい。

目次

※本記事は、2020年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』51号に掲載したものです。

 2019年11月11日、中国で恒例となった「独身の日」セールでアリババ集団の売上高が2,684億元(約4兆2,000億円)を記録し話題となった。中国だけでなくEコマース市場は世界中で拡大を続けており、その影響は様々なところに出始めている。

 Eコマース市場の動向に最も敏感になっているのが、リアル店舗であるのは間違いないだろう。Eコマースの拡大・普及が「店舗小売業の終焉」をもたらすなどとささやかれており、戦々恐々としているところは多いはずだ。

 しかし、現時点でデータが示しているのは、このような悲観的な状況ではなく、リアル店舗もやり方次第では十分にEコマースと競っていけるということ。Eコマースの拡大を支えているのは一部の分野で、多くの商品については依然人々は実際に見て・触ってから購入したいと考えているのだ。

 どのような分野がリアル店舗との親和性が高いのか。最新調査データを参照しながら、Eコマースが台頭する時代、リアル店舗が生き残るためのヒントを探ってみたい。

世界市場320兆円超えのEコマース市場、年20%以上で拡大中

 Eコマース市場が急速に拡大していると言われているが、どれほどのスピードで伸びているのか。eMarketerの推計では、2017年のEコマース世界市場(売上高)は2兆3,820億ドル(約260兆円)。前年比の伸び率は28%と高い値だ。2018年には前年比22.9%増となり、市場規模は2兆9,280億ドル(約320兆円)に拡大。さらに2019年は20.7%増の3兆5,350億ドル(約390兆円)に達する見込みだ。

 2019年のEコマース世界市場の伸び率が20.7%であるのに対し、地域ごとに見ると若干のばらつきがある。最大の伸び率はアジア太平洋地域で25%。次いで中南米と中東・アフリカがそれぞれ21.3%で世界平均を上回る。この他中東欧が19.4%、北米が14.5%、西欧が10.2%。

台頭するEコマース市場の主要プレーヤー
台頭するEコマース市場の主要プレーヤー

 一方、リアル店舗の成長率はどのようになっているのか。米国市場を例に見てみたい。CBREのまとめによると、米国ではEコマースが年率15%ほどで拡大している一方、リアル店舗における売上高の伸び率は3〜5%ほどで推移。2017年の伸び率は3.4%だった。また2017年における対前年の売上高増分(絶対値)は、Eコマースが625億ドル(約6兆9,000億円)、リアル店舗が1,527億ドル(約16兆8,000億円)だった。米国小売業全体に占めるEコマースの売上高シェアは8.9%。

 この数字をどう捉えるのかは人それぞれだが、リアル店舗の立場から前向きに捉えることもできるだろう。Eコマースが台頭していると言われているが、売上高増分絶対値ではリアル店舗がEコマースを大きく上回っていることが確認できる。またEコマースほどの伸び率ではないが、マイナスではなくプラス成長を続けている点も前向きに捉えることができるはずだ。

 それでも、JCPennyやSearsなどの百貨店大手が次々と店舗を閉鎖しているというニュースを聞くと、Eコマースの脅威を感じ、前向きに考えることが難しくなってしまうかもしれない。ただ、そのネガティブな考えは消費者意識の詳細データを見ていくと変わってくるはずだ。

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