成長に必要なのは自分の常識を崩されること
MZ:その後、イーライリリーからアドビ システムズ(以下、アドビ)に転職されていますね。それはなぜでしょうか。
井上:きっかけは家庭事情なのですが、アドビに転職した前提としてあるのは、違う領域での経験を積みたいということです。自分の常識を崩された後に再構築し直しチューニングアップすることで大きな成長を実感できたので、また別の業界でチャレンジすることにしました。

私が入社した当時のアドビは強い製品ですでに市場をとっていましたが、マーケティングやデジタルでのさらなる成長が期待できるポテンシャルを持っていました。その中で、Eコマースの売上を伸ばしていきたいという課題があり、自身のマーケティング×デジタルの経験・スキルがここでも活かせるのではと考え入社しました。
MZ:アドビではどういったお仕事を?
井上:3段階あって、序盤はPhotoshopなどのクリエイティブ事業やAcrobatのドキュメント事業のパッケージ販売時代のコミュニケーション設計に携わり、Eコマースでの売上増加に取り組んでいました。SEOやリスティング・バナーなどの広告、分析やABテストなどデジタルマーケティングに関わる業務にほとんど携わっていました。
中盤はコーポレートのブランディングを追加で行いつつ、買収したオムニチュアのSiteCatalystを軸としたマーケティングソリューション事業のお手伝いもしていました。さらにイベント開催やOOHや新聞などのオフライン広告、タイアップなど業務範囲が広がり、BtoBマーケティングの領域も社内の先輩方に勉強させていただきました。
そして、終盤は部のマネジメントを任せていただき、サブスクリプションモデルに変わったクリエイティブ事業とドキュメント事業のグロースに向けた取り組みをしていました。単純に広告を使って新規ユーザーを伸ばすだけでなく、分析してコミュニケーションや体験の改善をして、既存ユーザーの満足度と継続率を上げてファネル全体を最適化することに取り組んでいました。
40歳でさらなるチャレンジを
MZ:アドビではBtoCとBtoB両方、さらにデジタルマーケティングだけでなくオフライン施策の業務など、非常に幅広い業務を経験したわけですが、なぜ現在の会社であるKDDIの転職に至ったのでしょうか。
井上:きっかけは年齢ですね。ちょうど40歳になるタイミングで、自身の子どもが成長し手が離れてきたので、もっと新しいことにチャレンジしたいと思いました。というのも、アドビでの仕事は順調で絶頂期とも言える状況でしたが、自分の中の成長曲線は鈍化している感覚があったんです。
MZ:上手くいっているからこそ、新しいところでさらなる成長を狙ったわけですね。その中でなぜKDDIだったのでしょうか。
井上:侍魂や愛国心的なものもありますが、これまでがずっと外資企業だったので、日本企業で働いたほうが成長のための環境ギャップの幅が大きいと考えたからです。日本企業だと年齢が色々な意味で転職のハードルになりやすいのですが、KDDIは受け入れてくれた上に様々なこともできる環境で、自身の集大成とも言えるようなことが実現できるのではと思ったんです。
現在は、デジタルマーケティング部の部長として、40名程度のメンバーをマネジメントしています。