おわりに:機能別組織を取り入れる真の意味合いとは?
4回にわたった本連載では、効果的な顧客体験の設計とそれに基づく目標設定が全体最適を導くことを解説し、最後にUniposにおける具体的な事例を紹介した。通読いただいた方からすると、「この考え方で全体最適を導くことができても、目標設定のプロセスが煩雑になってしまうのでは……」という懸念をお持ちになるかもしれない。
しかし、機能別組織を導入する真の意味合いをよく考えると、マネジメント側の目標設定を簡単にすることが目的ではない点には同意いただけるのではないかと思う。機能別組織を採り入れる本義は、担当する職能を絞ることでメンバーの習熟度を素早く向上できる点と、それによって時勢に遅れず短期間で事業を成長させられる点であることは常に意識しておきたい。

もちろん、精緻な目標設定に多くの時間を投下していられないタイミングもあるだろう。ただ、特にプロダクトマーケットフィットに達したタイミングで、より多くの資源投下を図ろうとする際には少し立ち止まって考えることを推奨する。この問題は、多くの企業で成長にともなっていずれ起こりうるものだと見ており、対応が早ければ早いほど傷は浅くて済むし、そうすることで今後も事業成長に対して時間を投下し続けられるようになるはずだ。
本連載を通じて、SaaS事業に関わる方それぞれの情熱や努力が、事業全体にとっての成長につながるような環境作りに貢献できることを願っている。