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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

ファンを軸としたマーケティングの設計図~熱量を生み、育て、広げるには

外出自粛の親子にワクワクを届けた#レゴからの宿題シリーズ/社員の遊び心がファンとの関係構築に結びつく

アクションが先にあり、タグラインは後から生まれた

寺門:その後、多くの国で休校や在宅勤務の措置が取られ、世界の社員も日本と同じ状況になりましたよね。そこで3月末にデンマーク本社が、グローバルとしての方針をまとめました。「この状況をネガティブに捉えるのではなく、家族で一緒にクリエイティブなことをする時間として捉えよう」というメッセージです。

 その後、先ほど触れていただいた「#LetsBuildTogether(#一緒につくろう)」というタグラインが生まれ、それぞれの国でのアクションが、1つの傘に収まるかたちとなりました。世界中のレゴ社員が子どもたちと遊んでいる動画をSNSアカウントで配信したのも、このタイミングです。

高橋:グローバルの方針が出るのを待ってアクションを起こしたのではなく、現場で生まれたアイデアを即実行し、タグラインは後からついてきた、という順番だったのですね。

寺門:はい。今回のようなケースで特に重要だと感じたのは、世の中のニーズをいかに早く捉え、アクションに移せるかということ。優先順位付けも大切で、たとえばクリエイティブの質を最優先にしてしまうと、2日や3日で届けるのは難しくなります。できあがった頃には、世の中のニーズは既に変わってしまっているかもしれません。

高橋:最初テキストは漢字交じりで表現されていたのが、ある時からひらがなに変わっていたことにも気づきました。

寺門:はい。最初は大人が子どもに読んであげる想定だったんです。当社ではSNSでいただいたコメントにはすべて返信するようにしているのですが、その中で「子どもが宿題を見るのを毎日楽しみにしている」というコメントがあって。それなら小さいお子さんにわかる書き方にしたほうが良いよね、とチューニングしていきました。

こどもの日に初のオンラインイベントを開催

高橋:ここからは、こどもの日に行われたオンラインイベントについておうかがいします。改めてどのようなイベントだったのか教えていただけますか。

寺門:こどもの日は、いつもならいろんなところへ出かけてお祝いしたり、親族で集まったり、楽しいことができる日のはずです。しかし日本では外出自粛要請が継続したまま、ゴールデンウィークに突入してしまいました。5月5日は「レゴの日」としても登録していたこともあり、「#LetsBuildTogether」の一環として、家から参加できるオンラインイベントを楽しんでもらおうと考えました。

高橋:イベントをやろうと決めたのはいつ頃だったのでしょうか?

寺門:4月20日過ぎだったと思います。プレスリリースを出したのも、直前のことでした。

高橋:ニーズに素早く対応された結果だったのですね。レゴさんはリアルでも多くのイベントを開催されていると思いますが、今回は具体的にどのようなコンテンツを用意したのですか。

寺門:会場に集まってもらいその場にあるレゴを触ってもらうリアルのイベントとは、作り方を大きく変えました。今回行ったのは「家の中にあるもので虹をつくろうというお題を出して、イベント中に完成させてもらうというものです。

高橋:家の中にあるもの……それは、レゴでなくてもOKということでしょうか?

寺門:その通りです。ご自宅にあるダンボールや木材でもいいし、画用紙に色鉛筆で絵を描くだけでもいい。お子さんたちの思うままに、自由に虹を表現してもらうことにしました。レゴブロックを持っているお子さん限定では、それ以外のお子さんがこのイベントを楽しめなくなってしまいます。「こどもの日」のイベントであることも鑑みて、より多くの方に楽しんでいただける内容であるべきと考えました。

イベント中の様子
イベント中の様子

寺門:他にも、レゴにまつわる○×クイズを行ったり、ゲストに自宅にあるものでできる遊びを紹介してもらう場面も用意しました。イベントの最後には、子どもたちやゲストに、作った「虹」を発表してもらいました。

子どもたちが作った虹をお披露目した
子どもたちが作った虹をお披露目した

高橋:クイズでインタラクティブ性を生んだり、子どもたちに発表してもらう場を用意したりと、子どもたちが途中で飽きてしまうことがないよう、様々な仕掛けを用意したのですね。

寺門:まさにそこが一番工夫したところです。オンラインですと、いつでも離脱できてしまうので、1時間10分ほどのイベントをいかに最初から最後まで視聴していただくかを大切にしました。

高橋:イベントに登場されたレゴストアのスタッフの方のクリエイティビティにも驚きました。みなさん、とてもレベルの高い作品を作っていらっしゃいますよね。

寺門:実は私たち社員にも、童心にかえってレゴブロックで遊ぶ日が毎月必ず設けられているんですよ。ストアスタッフのクオリティには、社員はまったくかなわないのですが(笑)。「社員も遊ぶ」というカルチャーがなければ、今回のアイデアも生まれなかったと思うと、とても大切な習慣だと再認識しました。

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デジタルを駆使して「ブランドを象徴する場所」にファンを招待

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この記事の著者

高橋 遼(タカハシ リョウ)

1983年生まれ。2010年株式会社トライバルメディアハウス入社。クリエイティブディレクター。ファンを軸としたマーケティング戦略・実行に従事し、これまでに航空会社、ファッションブランド、スポーツブランド、化粧品ブランド、飲料メーカーなどを担当。著書に『熱狂顧客戦略』(翔泳社)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33526

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