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デザイン変更だけでOK?10年ぶりのサイトリニューアルで見つけた本質的課題と解決のための3つの施策

 サイトリニューアルはそう頻繁に行うものではない。だからこそ、設計をよく練る必要がある。ガスメーターや水道メーターの製造・販売を手がける愛知時計電機は 、約10年ぶりにコーポレートサイトをフルリニューアルした。サイトは、スマートフォンに対応するだけでなく、既存顧客の利便性向上も狙ったことで、業務効率の改善にもつながっているという。リニューアルを担当したのは、Web制作会社のジーピーオンライン。両社の担当者3名に、サイトリニューアルのポイントをうかがった。

10年ぶりにサイトをリニューアルした理由

――はじめに、皆様の担当業務についてご紹介ください。

A.T.:愛知時計電機のA.T.です。私たちは、法人のお客様を対象とした、ガスメーターや水道メーターの開発・製造販売の事業を展開しております。私は広報担当として、コーポレートサイトの管理・運営を行っています。

豊永:ジーピーオンラインの代表、豊永です。ジーピーオンラインは、2000年に創業した、大阪と東京に拠点を持つWeb制作会社です。現在は、アプリ開発やUI・UX、マーケティングなどに特化したグループ会社も揃い、お客様のデジタルビジネス全般をご支援しています。

灘上:同じくジーピーオンラインの灘上です。私はプロデューサーとして、愛知時計電機さんのサイトリニューアルを担当しました。

三名さまプロフィール写真挿入
(左)ジーピーオンライン 代表取締役 豊永 豊氏
(右)ジーピーオンライン チーフ/プロデューサー 灘上 雄一氏

――愛知時計電機さんは今回、10年ぶりにサイトリニューアルを行ったとのことですが、どのような課題を抱えていたのでしょうか?

A.T.:大きく3つあります。まずは、世の中の流れに合わせ、スマートフォン対応のサイトにしたかったこと。2つ目は、利便性向上です。お客様から、製品の取り扱いに関する資料などのお問い合わせが増えており、電話やメールで対応していましたが、よりスピーディーに必要な情報をご提供したいと考えました。

 そして3つ目は、サイトで扱う情報量の増加にともない、CMSを導入し、サイト更新を内製化したいニーズが社内から高まったことです。今回のリニューアルでは、お客様の利便性を向上するとともに、業務効率も改善しようと考えました。

相談の過程で本質的な課題が見えてきた

――A.T.さんはリニューアルにあたり、まずなにから着手したのでしょうか。

A.T.:複数のWeb制作会社に相談したり、良いコーポレートサイトを運営されている広報担当者から話を聞いたりしました。その過程でジーピーオンラインさんのことを知り相談したところ、私たちが考えていた課題解決以上のご提案をいただきました。

 先ほど挙げた3つの目的を伝えたところ、「そのためには、サイト構造を変えることが必要です。製品のカテゴライズを整理し、シンプルなサイトにしましょう」と提案をくださったのです。そのような問題には気づいていなかったので、驚きましたね。これが、依頼の決め手でした。

――相談の過程で、本質的な課題が見えてきたのですね。

豊永:愛知時計電機さんに限らないお話ですが、サイト制作には、お客様のサイトに対する目的を明確にすることが大切です。目的があいまいですと、続く要件定義の設計や制作、機能の開発などがすべてズレてしまい、お客様が求めているプロダクトと違うものになってしまいます。

灘上:サイト制作では、デザインから入ってしまうことが多いのですが、よく話を聞くと、構造の問題であることも多くあります。そのため、本来のゴールがどこにあるのかを引きだせるようなコミュニケーションを心がけていますね。その後はA.T.さんと日々ディスカッションを重ねながら、要件定義に時間をかけて、制作を進めていきました。

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ジーピーオンラインで数多くのWebサイト制作のお悩みに答えてきたアカウントプランナーとディレクターが、Web担当者さまのお悩み相談をオンラインでお受けいたします。
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サイト構造の設計は、顧客が何を求めているかが肝

――それでは、具体的なサイトリニューアルの施策について教えてください。

灘上:具体的には、3つの施策を実行しました。

(1)製品カテゴリーの見直しと、誘導エリアの改善

 製品の探しやすさを目的とし、製品のカテゴリー分けを実施。リニューアル前は17カテゴリーだったが、6カテゴリーまで整理。さらに、トップとヘッダーにも製品情報へのリンクを掲載し、詳細ページまでの遷移数を最短にした。

タップで拡大
製品を探しやすく整理(タップで拡大)

(2)各ページの回遊動線の見直し

 リニューアル前のページは、ページ下部の導線が固定され、単調な印象だった。そこで、ページのカテゴリーごとに、ユーザーが次に求めているであろう内容を、関連コンテンツとして掲載するデザイン・構成へ変更した。

製品ページの関連コンテンツ(タップで拡大)
製品ページの関連コンテンツ(タップで拡大)

(3)サポート情報ページの露出

 トップ、ヘッダー、サイドのナビゲーションからも、カタログや関連資料のダウンロードページへ誘導する設計にした。

トップページのナビゲーション(タップで拡大)
トップページのナビゲーション(タップで拡大)

――製品情報をファーストビューに掲載していますが、どのようなUXデザインを考えたのでしょうか。

灘上:お客様が求めるUXは、製品の情報が見たいと考えてサイトへ訪問し、必要な情報が欲しい媒体で手に入ること。ですから、ページにアクセスしたのち、製品情報ページ、カタログ、関連資料・情報がわかりやすいように構成を変え、お客様のニーズを満たしていこうと考えました。

製品情報ページ

リニューアルで顧客も自分たちも嬉しいサイトに

――サイトリニューアルによって、大きく変わったことはありますか?

灘上:Googleアナリティクスで、リニューアル前後のデータを比較してみると、様々な成果がありました。

 まずはランディングページ(LP)の上位流入を、各製品カテゴリーのトップページに変更できたことです。SEOも効き、「製品情報が欲しい」というお客様のニーズを満たせるようになったんです。また、技術情報のページもSEOが改善され、LPとして流入が増えています。

 そして、セッション数と導線の改善です。不必要なページを整理したことで、スムーズに欲しい情報へアクセスしていることが、Googleアナリティクス(以下、GA)の数値からもわかっています。

――情報をシンプルに再構成した結果、使いやすいサイトになっていますね。

灘上:また、カタログページの直帰率と滞在時間も改善できました。カタログページのUIを見直し、ファーストビューにチェックボックス型のフィルタ機能を実装しました。さらに、ページ下部に関連コンテンツを掲載し、滞在時間が2分以上延びています。

 その他、お客様は、サイトをしっかりと見てからカタログをDLしていると改めてわかりました。以前はカタログをDL後、すぐに離脱していたのですが、UIを見直した結果、回遊度も上がり、直帰率が45ポイント改善しています。

チェックボックス型のフィルタ機能を実装したカタログページ

A.T.:当社で話題になったのは、資料のDL数が増加していることです。検索ページの実装で、リニューアル前と比べてDL数が18%も増加しています。サイトの利便性が上がり、お客様ご自身で、必要な資料を検索し、DLされていることがわかり、手ごたえを感じました。

 あわせて、営業への資料請求のお問い合わせが減っています。営業部門からは、従来多かったルーティーン業務や電話でのよくあるお問い合わせが大幅に少なくなった、との声を多く聞くようになり、利便性向上を感じています。

――データで比較ができると、リニューアルの効果がわかりやすいですね。では、定性的な評価はいかがでしたか。

A.T.:CMSを導入することによって、最新ニュースや技術情報が格段に更新しやすくなりました。既存のお客様の利便性、満足度を上げるだけでなく、新しいお客様からのお問い合わせも増え、新たなビジネス機会や異業種交流などへつながっていることも、社内から評価されています。

 当たり前のことがシステム化されて、人がやるべき作業に時間をかけられるようになりました。ユーザーファーストで、リーディングカンパニーらしいサイトへ生まれ変わってきたと感じています。

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丁寧なコミュニケーションがリニューアル成功のポイント

――改めて、サイトリニューアルに大切なことについて教えてください。

灘上:私たちは、お客様の喜びを念頭に置き、「サイトを使ってどうしていきたいか?」の姿をイメージして作ることを大切にしています。A.T.さんと丁寧にコミュニケーションを取りながら進めていくことができたので、私たちからの提案の幅も広がりました。

豊永:進行管理も大切です。長期プロジェクトは、はじめに立てていた目的から離れたり、変わったりすることがよくあるものです。そこは、私たちベンダーがしっかりと旗振り役としてリードし、軌道修正も含めて進めることが重要です。やはり、コミュニケーションですね

――A.T.さんは、いかがでしたか。

A.T.:10年ぶりのフルリニューアルですから、「あれもこれも」と要件が増える傾向はありました。そのような場合でも、ジーピーオンラインさんは「その機能はお客様とのつながりに必要ですか?」と、局所的ではなく、サイト全体で見たときの機能性を考えてくださいました。客観的な意見を反映することができ、相談役としても頼りにしていました。

灘上:ありがとうございます。利便性や機能は検証して、そのときの最適解を提案することを心がけています。最適解は変わっていきますので、今後も運用・メンテナンスをしながら、そのときの答えを見つけていきたいと考えています。

自社サイトでの発信が企業価値になる時代へ

――これから、オンラインによる顧客体験の提供がますます重視されると考えられます。愛知時計電機さんは今後、コーポレートサイトをどのように活用されたいですか。

A.T.:スマートフォンの普及により、サイトから情報をいつでもすぐに取得できるのが当たり前の時代になりました。お客様をはじめ、多くのステークホルダーへ会社や製品のことを発信していくことも、企業価値の一つだと考えます。

 そして愛知時計電機は、新たに計測器専用のデータ配信サービスに取り組んでいます。製品情報を探すサイトから、将来はAIなどの新技術を活用し、お客様や社会問題を解決できるコトやサービスを提供することができたらと考えています。

――ジーピーオンラインさんでは、企業のニーズにどのような支援をしていく予定ですか。

豊永:コロナ禍において、ビジネス、生活のあり方が世界中で変わりつつあります。ますます、オンラインの重要性やWebサイトの役割が高まるでしょう。それらのニーズに対し、ジーピーオンラインでは、まずオンライン相談会を行い、気軽にご相談いただける機会を設けたいと考えています。

 また、サイトそのものに加えて、映像などのコンテンツを充実させることも重要です。ジーピーオンラインには、アプリ開発や映像コンテンツ制作まで、デジタル領域を広範囲でカバーできるグループの強みがあります。お客様に、トータルでデジタルビジネスのご支援をしていきたいです。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/03 19:25 https://markezine.jp/article/detail/33608