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ニューノーマル時代、CX戦略はどう変化するのか?【スシロー竹中氏×Sprocket深田氏対談】

 2020年、コロナ禍の影響で消費者行動が急激に変容している。それにともない、企業がこれまで描いてきたカスタマージャーニーに沿ったCX(Customer Experience)戦略も、再考する必要に迫られているだろう。本対談では、「現場の数値改善に直結するCX向上の一手」をテーマに、大きな変化を求められている現状を踏まえ、スシローグローバルホールディングスの竹中氏とSprocketの深田氏による対談を実施した。

外出自粛の影響で生まれた、新たなスシローの顧客体験

――本日はあきんどスシロー(以下、スシロー)の竹中さんと、創業から一貫してオンラインでのコミュニケーションに「おもてなし」の世界観を実現させることに注力してきたSprocket(スプロケット)の深田さんを迎え、「現場の数値改善に直結するCX向上の一手」をテーマにディスカッションをしていきます。スシローではかねてよりオンライン・オフラインを含めたCX向上に取り組まれていますが、あらためて御社におけるCXの定義について、教えてください。

株式会社あきんどスシロー 営業企画部 主任 竹中浩司氏

竹中:明確に言語化はしていませんが、お客様の利便性を上げると共に、多角的なアプローチができる環境作りにも注力をしています。

 今回のコロナ禍では、主軸の店内飲食で大きな打撃を受けたものの、持ち帰りや他社サービスと連携したデリバリーなど、新たな利用シーンの創出と可能性を多く感じとる機会となりました。その要素の拡大を視野にいれつつ、新たな生活様式でも多くの方にスシローをご利用いただける環境作りを目指しています。

――Sprocketはこれまで長年企業のCXの実現を支援されてきましたが、2020年以降、クライアントの悩みごとの種類やフェーズに変化は感じられていますか?

株式会社Sprocket 代表取締役 深田浩嗣氏

深田:我々のお客様は、リアルもオンラインも両方取り組まれている企業がとても多いのですが、緊急事態宣言以降、一気にオンラインシフトしている傾向があります。顧客との接点は、リアルな場がメインだという認識は残しつつも、オンラインでどんなことができるのか、リアルのリソースをオンラインで有効活用する手立てはないか、といったことをより真剣に議論されるようになってきています。

――外出自粛といった消費者側の行動変化にともない、スシローにおいてもCX実現へ向けた各チャネルの重要性に変動があったりしたのでしょうか。

竹中:コロナ禍以降の傾向として、メディアが発信する情報が、ユーザーの価値観へ影響するスピードが速くなったと感じています。コロナ関連の報道が過熱し、外出の自粛要請が出された3月中旬以降から、店内飲食への影響は徐々に現れていき、顕著に数字へ表れたのが緊急事態宣言が発令された4~5月でした。

 一方で、元々4月中旬ローンチで動いていたインターネット注文のリニューアルは、結果として功を奏しました。テレビCMにも、“お持ち帰り スシロー”のワードを表示したことで、お客様ご自身がスシローの持ち帰りについてインターネットで調べてくださり、「スシローのお寿司をテイクアウトして食べよう!」という新しい利用意向を創出することができました。

 実際、お持ち帰りのシェアは、これまでは売上に対して1割ほどでしたが、今年のGW頃は大変多くのお客様にご利用いただきました。6月度の実績も昨年対比では200%超で伸びています。

深田:外出自粛期間中、SNSの投稿で子どもの玩具を活用した「プラレール回転寿司」がバズっていましたよね。家庭の中でスシローのお寿司を楽しむという、新しい体験創出と言いますか、CXの広がりの表れですね。

竹中:スシローのお寿司だけの影響ではないと思うのですが、これを見た時に、お寿司がこんなにもご家庭でも楽しんでいただけるのだと改めて認識しました。世の中的に暗い話題が増える中、少しでもご家庭に笑顔を届けたい思いがあったので、スシローをステイホーム下でも楽しんでいただくために、こだわりのすしを持ち帰りで提供できたことは良かった点だと思っています。

深田:第二波の心配もありますが、まだニュースタンダードがどんな状況か、どの企業も決めきれない状況かと思います。今後の新しい生活スタイルが自社に与える影響の落ち着きどころを、竹中さんはどのようにイメージしていらっしゃいますか?

竹中:今回の経験を通して、お客様の中に、“お持ち帰り スシロー”がインプットされたと考えてます。たとえどんな状況下でも利用シーンを創出し、スシローを継続してご利用いただく機会は生み出せるはずです。店内飲食とテイクアウトの売り上げシェアの比率が崩れたことをポジティブに捉えながら、どのような状況下においても対応できるように、常に施策を考えながら進めています。

調査データから読み解く、CXに対する認識と現状

――2020年1月から2月にかけて、SprocketとMarkeZine編集部で実施した「オンライン上のCXに関するアンケート調査」では、66.4%の回答者がオンライン上のCX向上に取り組んでいると回答していました。そしてCX向上の成果として重視しているものは、「コンバージョン率の改善(74.3%)」「顧客満足度・NPS(68.9%)」「売上の向上(68.8%)」という結果でした。

調査名称:「オンライン上のCXに関するアンケート調査」
調査主体:株式会社翔泳社 MarkeZine編集部/株式会社Sprocket
調査期間:2020年1月27日(月)~2020年2月18日(火)
調査対象:MarkeZine読者(有効回答数974名)
調査方法:MarkeZine会員向けのインターネット調査

――以前、竹中様は「リピート率向上よりも離脱率を抑えることが大事」とお話しされていましたが、上記のアンケートの回答結果に対してのご意見や、それに対する御社のお取り組みも併せてご教示ください。

竹中:私もこのアンケート調査に参加したのですが、CX向上の成果として重視しているTOP3の項目は、4月に実施したサイトリニューアルの際に意識して取り組んだポイントでした。

2020年4月にリニューアルしたスシローのネット注文

竹中:コンバージョン率の向上」においては、リニューアルに際しスマートフォンからのサイト来訪が多かったので、これまでの表示をスマートフォン用に最適化し、情報量が多くて解り難く離脱につながっていたページを一新していきました。お客様がその画面でどんなアクションをすればよいのかが直感的にわかるようなUI、UXを採用したことで、コンバージョン率が向上して結果へとつながったと感じています。

 今回のアンケートで、回答された方の「顧客満足度・NPS」への意識の高さは予想以上ではありましたが、実はスシローでもサイトのリニューアルに際しても、またリニューアル後もお客様の声を確認していて、「顧客満足度・NPS」は重要なポイントだと実感していたところでした。特に直近では、インターネット経由でのお持ち帰りの注文が急増し、サーバーに負荷がかかって動作が遅くなることもありました。お客様が快適にご注文いただける環境作りの必要性を改めて感じながら、ご要望に添える体制の構築や対策の実施は急務であると思っています。

 そして「売上の向上」に関しては、インターネット注文の単価アップをはかりつつお客様の注文のしやすさを両立するようなメニューの見せ方をするといった工夫をしています。

――深田さんはこの調査結果をどのように読み解かれますか?

深田:CXという言葉自体が、良くも悪くも概念性の強い言葉ですので、ブランディングに寄った結果が上位を占めると思っていたのですが、意外に現実的な結果が出たと感じています。施策のゴールが明確であるほど、結果に直結しやすいので、地に足の着いた施策に取り組まれているマーケターの方々が多いことの表れだと思います。

CX実現への3ステップ まずはフリクションレスな体験作りから

――Sprocketでは様々な企業のCX向上支援を実施されていますが、何から順を追って取り組めばいいのか、最適なステップをご存じだったりするのでしょうか。

深田:CXという言葉の解釈は人によってバラバラですので、まずは何を目指すべきかを順序立てたほうがいいと考えています。CX改善の第一歩目としてお勧めするアプローチは、竹中さんが実行された“離脱防止施策”が最適です。

 オンラインの体験は、基本的にある種のセルフサーブが前提です。企業側からすると基本的なことであったとしても、ユーザー側からすると欲しい情報などを発見できず、気づかないままサイトから離脱してしまうケースは想像以上に多いのです。我々はその行為を、“フリクション”と呼んでいます。フリクションをなくしていく、すなわち「フリクションレスな体験」を作るのが、CX改善の第一歩としてお勧めのアプローチです。単純なことかと思うかもしれませんが、数値的な改善に大きな効果が期待できるポイントです。

 その次のステップとして、ユーザーに体験を想像させて意識を向けてもらう、「ポジティブな買いたい感」を喚起させるコミュニケーション設計があります。それができた後に、その上位の概念として、ブランド理念や企業としての魅力や世界観を提示した上で、お客様との理想の関係性や信念をお伝えしていくフェーズに入ります。

――環境が激変する今、顧客行動の変化に合わせてCXを実現するプロセスも変わっていくのでしょうか?

竹中:新しいノーマルを作る意味合いでは、ビジネスとして成り立つかを踏まえた上で展開していく必要性はあると思います。しかし、どんな状況においてでも、提供する商品を一番に考える根底の部分は変わりません。たとえば弊社では、利益を得るために商品の原価率を下げるといった判断は、会社の理念にも反しますし、行うことはないでしょう。

 ただ、これまでは自社のみでできる施策を中心に、店舗の回転率の改善や、CMでのプロモーションなどを強化してきましたが、近年は他社様との連携を含め、利用シーンの多様化に対応する施策を積極的に採用しています。Uber Eatsや出前館でのデリバリー連携や、LINEミニアプリでの来店受付・予約の開放もその一環です。基本的には外部サービスも自社のプログラムと連携し、間口を広げています。ただ、既存の取り組みにとらわれすぎずに、多くのお客様との接点を持ちながら、それをどう活用していくのかは今後も探求していく必要性はあると思っています。

――この状況を切り抜く一つの道筋としてできることを、ご助言いただけますか。

深田:コロナ禍を経て、オンラインにおける体験を充実させる重要性が、一気に加速しています。これまでリアルチャネルで示してきた価値観を、オンラインでも適切に顧客に伝えるにはどうすればいいのか、表現方法やメッセージに悩み、試行錯誤されている企業も多いかと思います。

 そんな時、試行錯誤しながら、並走した取り組みができるのが、弊社の強みでもあります。ツールを活用しながら、テクノロジーとアナログの融合のような世界観と、新しいノーマルにあったコミュニケーションや体験設計を世の中に作り出していくお手伝いをさせていただければと思います。

いま作るべき顧客体験を学ぶ、ウェビナー開催!

2020年、先行きが不透明な時代に突入していますが、このような時期だからこそ顧客体験の在り方を再考すべきタイミングとも言えます。いま作るべき顧客体験とはどのようなものなのかを様々な切り口から考え、新しい未来を作り出す視点を提供するウェビナーをSprocket社は12回にわたって開催していきます。

第1回は、Sprocket社とチーターデジタル社の2社から、「顧客との信頼関係を築くためのデータ活用の考え方と実践」について紹介します。顧客体験のアップデートに向けて、ぜひご参加ください。

【開催概要】
日時:2020年9月24日(木)13:00~14:30
タイトル:「いま作るべき顧客体験とは?を学ぶ12回」
第1回:世界一のサッカーリーグも採用するゼロパーティデータ活用術とは
参加申し込みはこちらから

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この記事の著者

丸山 真希枝(マルヤマ マキエ)

フリーライター。IT・Web業界を中心に100社以上のボードメンバーへの取材を行う。起業・マーケティング・クリエイティブなど幅広いトピックスを担当。趣味はヨガと瞑想。体幹と柔軟性を強化中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33823