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【リモート入社&研修をどう進めた?】アスクル新卒社員がコロナ禍で見つけた新たなビジネスチャンス

習得したツールの使い方を解説動画にまとめ、全社に発信

松井:他にも先輩社員とのリモート座談会を企画するチームや、自分たちが研修で習得したツールの使い方や“お作法”をコンテンツ化して全社に共有するチームなどに分かれました。様々なツールがあるなかで、どれを使えばよいのか迷ってしまうことがあったので、ツールごとのメリット・デメリットをまとめたり、使い方を短い動画で解説したりしています。

 私自身、最初はツールの使い方が全然わからず焦ってしまったのですが、研修を経て、今はかなり自由に使えるようになったと思います。

ツール活用のお作法をまとめたページ
ツール活用のお作法をまとめたページ

多田(人事):中には会社の先輩たちが知らない機能もあったようで、ありがたいですね。こうしたプロジェクトはPDCAやタスク管理を意識してもらったり、開発セクションなど他部門との連携を学んでもらうことを狙いにしていましたが、予想以上にたくさんのアイデアが出てきて、気づいたら「作ってみました」「やってみました」と持ってきてくれたので驚きました。

――コミュニケーションが取りにくい中で力を発揮できたのは、すごいことですね。

長岡:研修では、リモートではなかなかできない「雑談」の時間が設けられていたのが良かったです。出社している環境では、どうしても、少し仲良くなった人とずっと一緒にいたり、同じチームの人と毎日お昼を食べたりしてしまったかもしれませんが、ランダムにチームを組んでブレイクアウトルームで話す方法だと、毎日違う人と平等にコミュニケーションがとれました。そのおかげで、アイデアを発言しやすくなりましたし、自分が関わっていない企画のことも把握できて、同期全員の仲が深まった気がします

多田(人事):雑談の時間は、いきなり「話しましょう」と言われても難しいので、最初のテーマを「好きな音楽」「趣味」などと決めるようにしていました。そしてまず私が自分の話をして、話の粒度のようなものを示していました。

オンライン上で進めた最終報告への準備

――研修の最後には、社内向けの課題報告会が行われたと聞いています。課題の内容と、発表の準備をどのように進めたか教えてください。

多田(人事):アスクルでは毎年、新卒研修の最後に課題報告会を行ってきました。これまでは社内の課題を探してもらうことが多かったのですが、今年はコロナで変わる“社会”に対して、変化の兆しを見つけ、アスクルとしてできることを考えてもらいました

 「お客様のために進化する」というのがアスクルの企業理念なのですが、自分たちも自粛を続け、お客様に一番近い目線でいる新卒メンバーだからこそ、社会課題を敏感に感じ取れる部分があるのではないかと思ったのです。最初にいろいろな視点からアイデア出しをした上で、6つの課題に分かれて、約1ヵ月かけてかたちにしていきました。

井関:私たち5人のテーマは「コロナによる『新しい市場』~日常を守るために~」でした。はじめに持っていた問題関心はバラバラだったのですが、「これだけ生活環境が変わっているなら、必要なモノも変わっているはず。新しいモノを届けることで困っている人を助けたい」という共通項を見つけました。

小笠原:需要の変化を読み取って素早く対応できるのは、アスクルのようなECがもっている強みの一つでもあると思っています。そこでまず、自社のデータを見ながら、需要が減ったもの、増えたものを洗い出し、(1)誰か、何かを助けられる(2)今後も継続的な需要が見込まれる(3)自分たちがワクワクできるものという条件を決めて、新しいモノを生み出そうと考えました。

――世の中のニーズと自社の強みをかけ合わせながら、進めていったのですね。

小笠原:はい。その後、ショッピングセンターでフィールドワークを行い、コロナ禍で変化している観点を洗い出しました。中でもレジ前に設置された飛沫防止のビニールカーテンに注目し、2つの問題を見つけました。ひとつは景観の問題です。即席で作ったビニールカーテンが、店舗の雰囲気を害してしまっていることがうかがえました。

井関:もうひとつは火災のリスクです。課題が出てからは特に、日々の報道をチェックしたり、「ビニールカーテン ニュース」などで検索するようになったのですが、その中で、ビニールカーテンに引火して火災が起きてしまったケースがあることを知りました。アスクルは過去にセンター火災を起こしてしまったことがあり、そのアスクルが火災を防止する活動をすることにも、意味があるのではないかと考えました。

小笠原:2つの問題を解決するとともに、一時的な需要に対応するのではなく、継続的に活用してもらうモノを提案すべく、アイデアを練っていきました。

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社会、お客様、アスクル三方よしのアイデアとは?

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/04 07:00 https://markezine.jp/article/detail/33860

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