ファン理解のためにどんなデータを収集すべきか?
竹井氏の言葉に対して加藤氏は、顧客自らが教えてくれる嗜好データ、つまりゼロパーティデータの理解がサッカーのビジネスにおいても重要になってくるのではとコメントした。
「顧客の深い理解が、オンラインとオフラインのカスタマージャーニーを拡大することができる源泉になります」(加藤氏)
さらにイングランドのプロサッカークラブ、アーセナルの事例を紹介し、ファン自らが情報を提供してくれる状況をどのように整えていくかアイデアを提供した。
マーケティング資源を再解釈する
3つ目のテーマとして語られた、「マーケティング資源の再解釈」。サッカークラブにおいてスタジアムへの来場が目標かつ、試合こそが最も重要な資源であったが、その資源自体の解釈を広げることで、デジタルマーケティングの可能性を伸ばしていこうとする動きが出ている。
その一例として、加藤氏から、イングランドのプロサッカークラブであるウエストハム・ユナイテッドの事例が紹介された。彼らは、クラブで活躍を見せた歴代の選手をマーケティング資源として再解釈し、ファン・エンゲージメントの取り組みを、立ち上げている。具体的には、その時代別の選手を各ポジションに当てはめて、その時代ごとのベストチームを選出する仕組みをファンに提供したのだ。
「このように、資源を解釈しなおすと、往年のファンも対象にでき、アプローチの可能性が広がると思います」(加藤氏)
対して竹井氏は、これまで持っていながらも活用できていなかった資源を使いながら、ガンバ大阪を好きになってもらえるようなサービスを展開していきたいと話す。
「たとえば、Jリーグ初年度から活動してきた歴史や、個性的なキャラクターを持った監督や選手、そして選手のプレイだけでなく、提供しているファンサービスの裏側にあるストーリーや私たちの想いなどのバックヤードストーリーといった資源を活かし、YouTubeのコンテンツとして配信したりして、好きになってもらうきっかけをつくっていけないかと考えています」(竹井氏)
実際に、今年から『CAZI散歩』という番組をYouTubeチャンネルで開始。ガンバ大阪のOBで元日本代表の加地亮氏をMCに、OBの選手をはじめとしたさまざまなゲストを招き、当時の思い出話や現在どんな活動をしているか語ってもらったり、ファンクラブの成り立ちや商品開発の裏側など、よりガンバ大阪のことを知ってもらうためのコンテンツを用意している。
ゼロパーティデータをカスタマージャーニーの拡大にどう活用する? 動画本編で事例とともに解説しています。