みんなが嬉しい、愛されるマーケティング
――なぜ、ラバブルマーケティンググループへの参画を決めたのですか。
愛されるマーケティングを推進するというビジョンに、心から共鳴したからです。ラバブルとは、愛される活動を意味しています。SNSの台頭により、現代に生きる人々は、大量の情報と接しています。そのような環境下で、プッシュ型のような広告や一方的な情報発信は好まれません。デジタル時代の情報消費行動に寄り添い、人を幸せにし、より良い未来を描く。このビジョンは、私が目指してきたユーザー・社会・企業の利益を一致させる、愛されるマーケティングとも重なるものでした。
愛されるマーケティングでは、「売るためのストーリー」ではなくブランドの特徴を活かし、「ユーザーをハッピーにする、より良い未来社会を描くストーリー」を展開する必要があります。SNSアカウントをフォローすることで、ユーザーの生活や人生をどう豊かにするかをファン作りの軸として意識しているんです。もちろん、参画に迷いがなかったわけではありませんが、ビジョンを共有できる仲間と一緒に取り組むほうが、よりダイナミックな効果が出せますし、チャレンジするべきだと決断しました。
――参画して2年が経ちました。印象に残るお仕事は?
当社SNSマーケティング事業が注力する地域の観光促進戦略の一環として、高知県観光コンベンション協会のプロジェクトに関わったことです。SNSマーケティングの戦略設計に携わり、「愛されるマーケティング」を具現化しながら良い成果が出せたことが非常に嬉しかったです。
SNSマーケティングは、費用対効果や成功の定義が曖昧になりがちです。そこで今回のプロジェクトでは、公式アカウント(@naturallykochi)のフォロワーを増やすだけでなく、観光客を増やし、何度も訪れ、さらにまわりの人たちへお薦めしてくれるファンを作り、未来への力を溜めていくようなマーケティング設計を行いました。半年後の効果測定では、フォロワーのうち33%が高知県へ観光に訪れたとアンケートで回答しました。この割合を当時のフォロワー数に掛け合わせ、平均来訪人数、観光消費額から算出すると、半年間の経済効果は約6.5億円と推定されます。また、フォロワーの9割に、興味の向上や魅力の理解など、高知県への好ましい変化が起きています。
こうした成果の背景には、キャンペーンや投稿内容の工夫があります。すぐに観光予定がない方もつながりたくなるようなキャンペーンを設計する他、観光地の情報提供だけでなく特別な体験提案にこだわって、ユーザーと関係値を作る投稿を行いました。投稿の満足度も高く、その結果として好ましい態度変容へつながり、当期の費用対効果だけでなく、未来を見据えた観光潜在層を増やすことにつながったと分析しています。

――クライアントにもフォロワーにも、喜んでもらえる事例だったのですね。
はい。そしてプロジェクトに携わった私自身も幸せを感じることが多くありました。関わっている日々の運用から、フォロワーの皆さんが高知を知り、好きになっていく様子を感じることができたからです。キャンペーンを通していただくコメントも素敵な内容が多く、励まされました。フォロワーの皆さんに喜んでいただきながら高知観光のファンを増やす、確かな成功事例になったと感じています。