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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

BtoBマーケティングの開拓者たち

マーケ責任者はやることが山積み 優先順位をどう付けるか?

そしてアクセル全開へ!

 出荷オペレーションを属人作業からシステム化することで、顧客が急増しても耐えられる体制になり、必要なデータ材料もそろいました。あとは脳のリミッターを外して力の限り駆け抜けるだけです。具体的には、次のアクションをとりました。

オンライン広告の運用体制を変更

 これまでの広告運用の成果だけでなく、施策の内容も加味して広告代理店の変更を決断。まずは私自身で、キャンペーン・広告グループ・キーワード・広告文までの大枠を作成し、運用方法などをすり合わせた上でマッチした企業にリプレイスしました。

MAとSFAを導入

 私の入社前からMAとSFAは利用していました。

 正確に言うと、MAとSFAが一体化されたツールを使用していたのですが、シナリオがスパゲッティコードのようになっていて、軽微な変更をしようにも、エクセルに記載されたワークフローを見ながら操作する必要が生じていました。また、分析をするにも都度顧客データを抜き出して、エクセル加工が必要だったのです。そこで、私自身が使い慣れているMarketoとSalesforceをほぼ同時に導入し、1週間ほどでシステム連携して、メールマーケティングを開始しました。

Webサイトリニューアル

 Webサイト経由で資料請求や問い合わせをいただくには、情報が明らかに不足していたので、プロダクトサイトのリニューアルをすることに。当時はWebサイトと言うよりもLPをつなぎ合わせた状態でしたので、リニューアルと言うよりもゼロから作った、と言うのが正しいかもしれません。そして、当時のコーポレートサイトでは会社の魅力がしっかりと伝わっておらず、今後の事業成長に必要となる優秀な人材の採用が難しいと判断し、コーポレートサイトも間髪入れずにリニューアルしました。

オウンドメディアをより戦略的なものに

 入社前からライティングスキルの高い社員がハイクオリティな記事を作っていたこともあり、オウンドメディアのトラフィックは月間20万UUを超えていました。ただ、記事をよく見ると、本業のビジネスには直接つながらないコンテンツが人気を集めていたのです。そこで、思い切ってメディアの方向性を注力したいビジネス領域に方向転換することに。こうした急変化によってアクセス数は一時的に減少したのですが、各記事にマッチした資料ダウンロードの導線を整備することで、リード獲得数は大幅に増加しました。ちなみに、現在ではアクセス数は戻っていて、今も月間で20万UUを超える状態を維持しています。ここまでの施策は、入社してから3ヵ月ほどですべてやりきりました。今思い返してもなかなか怒涛の勢いで進めたと思います。

目指すはケイレツの垣根を越えたコラボレーション

 自動車産業は100年に1度の変革期と言われ、今後の動向が注目されています。また、MaaS(Mobility as a Service)も盛り上がり、各所で実証実験が行われています。ただ、せっかく注目度も高く、素晴らしい実証実験が実施されているのに手触り感がない、具体的な事例がシェアされていない、と常々思っていました。MaaSやスマートシティは1社だけで完結しないので、競争ではなく「共創」していく必要があります。ただ、どうしても「ケイレツ」という言葉があるように強固なピラミッド構造があるため、マーケティング界隈のようなコラボレーションが生まれにくい。そこで、様々な企業が業界の垣根を越えて集まり、事例共有やつながりを作れるような場を用意したいと、強く思うようになりました。

 そこで2019年11月に虎ノ門ヒルズで「Mobility Transformation」というカンファレンスを開催することに。プロジェクトが進み始めたのは5月頃なので、入社して2ヵ月を経過した頃には、上記のWebサイトのリニューアルなどと並行しながら、準備を進めていたことになります。集客を始めると、会場から参加者が溢れてしまう可能性が出るほどのお申し込みをいただき、途中で受付を締め切りました。結果として約1,500名の方が来場し、前日まで調整をしていた元陸上選手のウサイン・ボルト氏にも登壇いただくことができ、全体として良い形で終わることができたと思っています。

 さらに今年の4月にはコロナウイルスの影響で移動が制限されました。「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンとして掲げる弊社として何かできないか?と考えた時に、Mobility Transformationのオンライン開催を思いつきました。オンライン学習プラットフォームを持つSchooとコラボレーションし、オンラインという形でMaaSやスマートシティの取り組みを紹介できました。

 私自身、これまでは自社のマーケティング変革に取り組んできましたが、今後は1社でも多くの企業のDXを手伝っていきたいと思っています。日本の基幹産業であるモビリティ業界はコロナ禍によって非常に厳しい状況ですし、まだまだレガシーな企業が多いので、変革のしがいはあります。何よりも貴重な技術を持っている企業がたくさんあるので、デジタル武装によって、さらなる飛躍ができると信じています。3回にわたる私の拙い文章にお付き合いをいただきましてありがとうございました。1社でも多くの企業がDXに成功し、新しく強い企業に生まれ変わることを心より願っています。

COLUMN 「どっしり構え、じっと耐える」

 マーケターには「耐える力」が必要だと思っています。データ分析をして短いサイクルでクルクルとPDCAを回し、改善を図ることは重要です。でも、それ以上に重要なことはないですか?

 本当に取り組むべき重要なことは時間がかかり、難易度も高い。しかしそこに勇気を持って取り組めるかどうかが大事です。成果が出るまでは、周りからの眼差しが辛いですが、じっと耐える。内心ハラハラしていても、平然とした顔でどっしり構える。ヘマしたら謝って、すぐに方向修正すればいいのです。逃げずに課題に真正面から向き合った、自分で考えてしっかりと実行した、その経験が何よりもの財産です。大丈夫、僕らは1人じゃない。困ったら周りのマーケターに相談しよう!

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この記事の著者

大里 紀雄(オオサト ノリオ)

スマートドライブ マーケティング/PR
大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。その後、マルケトにてシニアビジネスコンサルタントとしてマーケティングオートメーションツールの導入支援を行う。業種を問わず、大手企業から中小企業まで、コンサルティングを経験。現在...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 13:32 https://markezine.jp/article/detail/34088

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