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インモラルな“デジマ”から脱却せよ

オウンドメディアで「信頼」は作れるか? やってはいけない3つのタブーから、あるべき方向性を考える

「利益度外視」で立ち上げたメディアが成長し続ける理由

 『LIFULL HOME'S PRESS』は、不動産・建築業界の情報格差を解消するため、中立・公正・誠実な立場で、住まいの「本当」と「今」の情報を届けるメディアである。不動産業界の不都合な真実にも目を背けず、愚直なまでにエンドユーザーにとっての「正義の味方」であることを貫いている。

 立ち上げ当初、私はこのメディアの「利益度外視」どころか、顧客である不動産事業者からのクレームが発生しかねない方針に対して、戸惑いを隠せなかった。理念には心から共感できるが、ビジネスとしてどうなのか、疑問だった。しかし、結果としてユーザー数は伸び続け、業界に対するプレゼンスは向上し、本業であるLIFULL HOME'Sの利用者増加に貢献している。成長の秘訣は何なのか?

 今になってその理由を挙げるならば、私が先述した3つの手法のどれにも当てはまらないということ。いや、むしろ裏返しとまでいえるスタンスを取ってきたことに尽きる。

 まず、『LIFULL HOME'S PRESS』の象徴的なコンテンツとして、「オピニオンリーダー」というシステムの採用がある。これは、LIFULL HOME’Sではない第三者の専門家個人による、知識・見解・意見を学ぶことができるコンテンツで、執筆者の主観性、独立性が守られている。それが、メディア全体が真実味、人間味を帯びることにつながり、一つの信頼に足る理由になっている。

 次に、編集部コンテンツもオリジナルに拘り、記事の有料化や、広告・タイアップ等のメディア収益を一切放棄している点も評価されている。純粋に「しがらみのない記事の力」だけを武器にしているのだ。もちろん、ユーザーへのインセンティブバックはない。

 ユニークで正直な記事の蓄積が、まるで信頼を積み重ねていくように検索エンジンにも評価され、少しずつ成長し、結果として良質な「ひとだまり」を作ることに成功している。『LIFULL HOME'S PRESS』の例は、信頼は一朝一夕では作れないことを教えてくれる。

 次回は本連載の最終回。効率度外視とも思える独自の価値提供によって顧客からの信頼獲得に成功している、トリドールの篠原さんとの対談により、これからの時代に相応しい「信頼獲得」の方法をさらに深掘りする。

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この記事の著者

菅野 勇太(スガノ ユウタ)

株式会社LIFULL/百様株式会社
2008年に株式会社ネクスト(現・株式会社LIFULL)入社。以来『LIFULL HOME'S』のBtoCマーケティングに従事。2012年に日本国内初の事例となるマーケティングオートメーション導入を主導。2016年にはYahoo!APIを直接連携したオンライン広告の全社インハウス化を実施。現在はリアル店舗『住まいの窓口』を中心としたオムニチャネル戦略およびCRM戦略を統括。宅地建物取引...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/09/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34241

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