スターバックスのアルバイトで気づいたクレディビリティ
菅野:僕は篠原さんがキャリアインタビューで、「クレディビリティ(credibility)」を大切にしていると答えているのを読んでから、ずっと話をしてみたかったんです。Twitter在籍時代のことを書いたnoteにも、「企業の倫理的な責任」に言及していましたよね。今日はお話しするのが楽しみです。よろしくお願いします。ではまず、改めて今のお仕事内容をお教えいただけますか?
篠原:ありがとうございます。私は海外ブランドのマーケティング支援や、当社の代表ブランド丸亀製麺を中心としたマーケティングノウハウをグローバル展開しています。この取り組みによって、各ブランドとお客様の関係性を強化し、グローバル各ブランドのブランド力や業態力の強化をマーケティング観点から推進し、各社の積極的な世界展開に寄与する役割を期待されています。
現在、トリドールではグローバル・マルチブランド戦略を掲げており、2025年度までに世界6,000店舗、売り上げ5,000億を目指しています。その中で各ブランドのマーケティング力の向上は、戦略を推進させる重要な要素と位置付けられています。
菅野:篠原さんが「クレディビリティ」を大切にするようになったのは、どのようなきっかけだったんですか?
篠原:学生時代に経験した、スターバックスのアルバイトがきっかけです。スターバックスでは学生でも「シフトスーパーバイザー」という店長代理のようなポジションになれるのですが、昇進するタイミングで店舗メンバーからの信頼を十分に得られず、延期になるという悔しい経験をしました。
私も元々「ハンター」的な性格で(笑)、「私のやりたいことは正しいことのはずなのに、なんでみんなわかってくれないの?」と、突っ走るタイプだったのです。それからは人から信頼されることについて、「怠惰な自分を律する」「相手が何を大切にしてここにいるのかを真剣に考え、心から尊敬する」という2点が自分の伸びしろを捉え、先輩方にフィードバックをもらいながら自身を見つめなおしました。
菅野:アルバイトにそこまで求めるんですね。視野が広く、目線が高いですね。
篠原:ええ。それから、スターバックスはフェアトレード認証されたコーヒー豆の買い付けを行い、農家から直接豆を買い付けてトレーサビリティにこだわりを持つなど、コーヒー生産者を倫理的な調達によって経済支援しています。その姿勢を研修で学び、経済活動を行いながら周りを巻き込んで社会をよくすることはできると、一杯のコーヒーに色々な想いを感じとりました。こういった経験が、クレディビリティという言葉を意識するようになった原点ですね。
菅野:近年ようやく国内でも、今お話しいただいたようなSDGsやエシカル消費といった、社会にとってより良い企業活動をしようという動きが大きくなってきました。一方で、「SDGsウォッシュ」と呼ばれるような、「取り組んでいるポーズをするだけの」一過性の取り組みで終わってしまうケースも少なくありません。トリドールではサステナビリティについてどのように考えていますか。
篠原:私はCSR担当者ではないので、あくまで個人的な見解となりますが、トリドールはサステナビリティに関する考え方に自主性が尊重されていることで、非常に当社らしい取り組みができていると感じています。
一般的には、まずSDGsの取り組みをする部署やスキームがあり、そこから「じゃあ何に取り組みましょうか」と様々な活動が立ち上がっていくかと思います。当社の場合は、CSR担当部署から様々な取り組みが生まれているのはもちろん、想いのあるメンバーが声をあげて実行する機動力と、それをサポートしてくれる会社の体制が万全で、企画~実行までのスピード感が非常に速いです。直近ですと、医療従事者にうどんと天ぷらを提供する活動は、現場から声が上がりスピード感をもって実行した取り組みです。
その他にも、これまでに、子どもにうどんづくりを通して食の大切さを伝える「まるごとまるがめ体験教室」や、コロナ禍でのキッチンカーを活用した子ども食堂の屋外開催の支援などを行っています。
子どもにうどんづくりを通して食の大切さを伝える「まるごとまるがめ体験教室」(コロナ禍で開催自粛中)