社会変化の兆しを「発見」し「活用」する
今回は、TBWAが分析・導出した兆しを事例と合わせていくつかご紹介しましたが、本稿では最後にこうした兆しをどのようにして発見し、自社の課題に活用していくかをご紹介します。
まず、兆しの発見は日々のニュースをはじめとした社会変化を象徴する「事象の収集」からはじまります。これを我々は「TRIGGER(トリガー)」と呼んでおり、本稿でご紹介してきたオフィスチェアレンタルなどの事例もそれぞれの兆しを象徴するトリガーであると言えます。これらの事象をいくつか集めたら、次はそれらの根底に共通する「人々が共感・共有する価値観を考察」していきます。これが価値観の変化を示すEdgeです。Edgeは共通項を簡潔に抽出するために、それぞれ今回ご紹介したような「ワーク・ライフ・バウンダリーズ」や「ヒューマンリー・オーセンティック」のようなひと言で表すことを意識してみてください(もちろん、英語である必要はありません)。
こうして抽出した兆しが出てきたら、それを活用する方法のひとつとして「今の兆しに対応できているか」という現状達成度と「今後その兆しは重要になっていくか」という将来重要度でそれぞれ評価をし、特に重要な兆しを見定める方法をご紹介します。それぞれ5段階などで評価すると、現状達成度が低く将来重要度が高い兆しが「対応すべきもの」として明らかになります。

創造的破壊を生み出すDisruptionメソッドにおいては、こうした方法で企業のビジョンを策定する際に捉えるべき時代の価値観を明確にしていきます(ビジョン策定の方法については連載第3回をご覧ください)。
破壊的思考法「Disruption」とは?
TBWAが提唱する、創造的破壊を促す思考法のこと。「1、Convention(コンベンション)=既存の市場やプレーヤーを見渡し”破壊すべき既成概念”を発見する」「2、Vision(ビジョン)=既成概念を破壊した先の“あるべき理想の姿”を明確化する」「3、Disruption=既成概念を破壊し“ビジョンを実現するアイデア”を開発する」という大きく3つのステップから成り立つ。
▼創造的破壊を促す思考法「Disruption」の詳細については第1回をご覧ください。
競争戦略から“創造戦略”へ ニューノーマルをつくる破壊的思考法
これからニュースやSNSで話題になっている施策を見るときは、その根底にある社会変化の兆しや、それに自社にとって重要か、そしていま対応できているかといった視点で考察してみてはいかがでしょうか。

