SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

購買行動の変化に対応せよ。BtoB企業がいま注力すべきマーケティングDX(AD)

「Why」から伝えて視聴者の心を動かす 1年以上にわたりウェビナーに取り組んだ担当者が語る実践術

 昨今、顧客獲得の手段としてウェビナーに取り組むBtoB企業が増えているが、商談化への壁は高い。しかし、コロナ禍以前からウェビナーに取り組むシャノンでは、顧客の購買フェーズをアップさせる「関心引き上げウェビナー」を実施することで、成果を挙げてきたという。本稿では、 数々のウェビナーの企画・設計・実施に加え、参加者のフォローアップまで担当しているシャノン マーケティング部 藤井里名氏に話を聞いた。

コロナ禍以前からウェビナーに取り組んでいたワケ

――御社ではコロナ禍以前から1年以上にわたって、興味・関心層の顧客の購買フェーズを引き上げる「関心引き上げウェビナー」を実施され、受注企業の8割以上がこれを視聴しているそうですね。本日は、コンテンツの設計、集客、実施後のフォローなど、ウェビナー実践について伺いたいと思います。まずは、藤井さんの自己紹介をお願いします。

藤井:シャノンマーケティング部の藤井です。私は、お客様との接点となるコンテンツ制作全般を担当し、ウェビナーの企画・設計に加え、ウェビナーの講師も務めています。

――当時、ウェビナーはそれほど普及していなかったのではないかと思いますが、取り組みを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

シャノン マーケティング部 藤井里名氏
シャノン マーケティング部 藤井里名氏

藤井:当時私はインサイドセールスとして働いていたのですが、セミナーにご参加くださったお客様に架電すると商談がしやすく、次の購買フェーズに進みやすい一方で、参加者の母数は限られていました

 参加者を増やすために、集客メールをお送りしたお客様に架電してみても、状況は変わりませんでした。そのため、いきなりセミナーへ集客せず、お客様の興味・関心を引き上げる「セミナーと架電の間をつなぐ新しい施策」が不可欠だと感じたのです。

 架電してアプローチするほど購買意識が高まっていないお客様に、もっと興味をもってもらうきっかけを作る必要があるのではと、セミナーよりも参加ハードルの低い施策として、ウェビナーに取り組むことになりました。

Whyから伝えて「顧客の隠れた買う気スイッチ」を動かす

――現在は、どのようなウェビナーを実施されているのでしょうか。

藤井:興味・関心層の方に向けた「関心引き上げウェビナー」と、比較検討層へ向けて行う「製品紹介ウェビナー」を行っています。

タップで拡大
タップで拡大

藤井:いずれのウェビナーでも重要なのは、目的を設定し、真のインサイトに迫ることです。

 弊社ではインサイトを「顧客の隠れた買う気スイッチ」と呼んでいます。お客様自身でも気付いていない潜在的な欲求は、はっきりと見えるものではありませんが、ひとたび刺激すれば購買意欲が高まるポイントです。

 たとえば、弊社のお客様の課題として多いのは、顧客情報の一元管理ができないことです。しかし、さらに深くお客様のお話を聞いていくと、本当の課題は「一元管理ができないことによって、計画通りのマーケティング施策が実施できないことだとわかってきます。真のインサイトは、お客様が心の底で本当にストレスだと感じているポイントを探ることで見えてくるものです。

――なるほど。表層的な欲求ではなく、より深いインサイトを軸にウェビナーを実施されているのですね。

藤井:はい。ウェビナーのテーマ、タイトル、内容の一つひとつにインサイトが、反映されているか、そこに一貫性があるかどうかが大切です。

 それから、「関心引き上げウェビナー」では、伝える順番にも気をつけています。これは『WHYから始めよ!インスパイア型リーダーはこう違う』の著者・サイモン・シネック氏のTEDでのスピーチ『優れたリーダーはどうやって行動を促すか』という動画を参考にしているのですが、 彼は動画の中で、人の心を動かすには、「Why, How, Whatの順序で伝えることが重要だ」と述べています。「顧客の隠れた買う気スイッチ」を動かすためには、なぜ今その課題を解決すべきなのか、というWhyから伝えることが有効です。コンテンツ内容としては、WhyとHowにボリュームを割き、Whatの部分は最小限にしています。

ウェビナー参加者の心はデータだけでは掴めない

――Why, How, Whatは、コンテンツにどのように落とし込んで行けば良いのでしょうか。

藤井:たとえば、「デジタルネイティブから見たウェビナーのいいところ悪いところ」というウェビナーがあった場合、Whyのところで「なぜウェビナーが良いのか、なぜやるべきなのか」といったメリットをお伝えすると同時に、デメリットを解説します。次にHowにあたる「デメリットの解決方法、具体的なウェビナーの実施方法」をお伝えした後、Whatで弊社のソリューションについてご説明する、といった具合です。

タップで拡大
タップで拡大

藤井:ちなみに、Whyコンテンツは「論理的Why」「情緒的Why」の2種類から構成されます。論理的Whyとは、誰が見ても正しいと感じる定量的な情報で、エビデンスや第三者からの情報、客観的なデータです。一方、情緒的Whyには、誰もが共感できる体験談や話者の思いなど、「そうだよね」とうなずきたくなるようなエピソードが当てはまります。いずれも欠かせない要素ですが、情緒的Whyは、ウェビナー参加者の心を掴む上で、より重要です。

――確かに、データだけで人の心を動かすのは難しいですよね。

藤井:はい。これは、私自身の経験を通して学びました。実は、ウェビナーに取り組み始めたばかりの頃、「自分の感じたことより、客観的なデータや数値のほうがお客様に響くのではないか」と、論理的Whyだけでウェビナーを実施していたのですが、思うように商談化につながらなかったんです。インサイドセールス時代を振り返ってみても、論理的Whyだけお伝えしていたときは「良い情報をありがとう」で終わることが多々ありました。

 日ごろの人間関係でもそうだと思うのですが、人が正論だけで動くことは少ないです。ウェビナーでも、「私はこんな苦労をしました」「あ、それ私もです」と思えるような、共感ポイントが含まれていることが大切なのではないでしょうか。

すぐにできる集客施策 目次付きメールでCVR4倍、CTRは1.6倍に

――集客についてはどのように取り組んでいますか。

藤井:メールマガジンと1to1メールを使いわけています。

 メールマガジンは、形式が決まっているため頻度高く送信できることがメリットです。弊社では、CVRは概ね0.2~0.3%で推移しています。一方、1to1メールは、「株式会社〇〇様」などと、お客様一人ひとりの名前宛てでお送りするものです。もちろん、これは手動で行っているわけではなく、MAツール「SHANON MARKETING PLATFORM」で自動化を図っています。こちらはCVRが0.5~0.75%となりますが、個人宛のメールは頻繁に送信することはできません。

タップで拡大
タップで拡大

藤井:開封率を高める工夫としては、タイトルはもちろん、目次作りに特に力を入れています。弊社で行ったA/Bテストでは、メール冒頭に目次があるメールは、目次なしのメールに比べて、CVRが4倍、CTRが1.6倍になることがわかっています。タイトル作りは正解がなく、誰もが悩むところだと思いますが、目次作りは取り組みやすいのではないかと思います。

 集客施策としてはその他、紙のDMも活用しています。DMは、パッと開いてもらったときにメールよりも情報量が多いですし、クリエイティブを工夫する余地も大きいんです。また、お送りした後には「DMを送りました」というフォローメールが効果的ですね。弊社では、メールタイトルにDMを送ったことがわかる文言を入れていますが、これによりCTRの差異は7倍にもなっています。

顧客の購買フェーズは「次のアクション提示」で引き上がる

――ウェビナー後のフォローアップについてはいかがでしょうか。

藤井:フォローアップの前提として、ウェビナー内でCTA(Call to Action)をお伝えすることが大切です。ウェビナーで購買フェーズを引き上げていくためには、「個別相談会へお越しください」「次は製品紹介ウェビナーもあるのでご参加ください」などと、お客様が次に何をするべきかを明示する必要があります。弊社ではその上で、いくつかの選択肢を記載したアンケートへ誘導し、フォローアップする体制を整えています。

タップで拡大
タップで拡大

藤井:また、ウェビナー講師自身が、架電によるフォローアップを行うことも有効です。ウェビナー講師本人から電話がかかってくることは、なかなかないですよね。この方法により、架電した際のお客様の応答率は82.3%と、非常に高い数値を記録していることに加え、お客様のロイヤリティ向上にもつながっています。

 ウェビナー担当者としても、ウェビナーの改善点について参加者インタビューを行いながら、お客様にとって次に必要なアクションをご提示できるため、非常に効率の良いアプローチ方法だと思っています。

ウェビナー担当者の作業負荷削減をサポート

――最後に、ウェビナー開催における「SHANON MARKETING PLATFORM」の活用方法を教えてください。

藤井:私自身、データドリブンなウェビナーを運営するためのツールとして「SHANON MARKETING PLATFORM」を活用しています。ウェビナーの実施効果を高めるためには、参加者の過去の行動履歴を見ながら、集客やフォローを改善していくことが重要です。「SHANON MARKETING PLATFORM」には、これらのデータをすぐに引っ張り出せる素地があります。

 たとえば、集客ですとリマインドメールやLPの作成など、工数のかかる細かい作業が多くありますが、これらの作業をテンプレート化する機能も備えているため、日付やタイトルを調整するだけで済みます。ウェビナー担当者として、これは本当に助かっているポイントです。

 弊社では、これまで得た知見を基にしたアドバイスに加え、ウェビナー業務フローマニュアルのご提供も行っています。これには、ウェビナーの企画設計や配信のノウハウ、実施前のTo doリストなどを掲載しています。

シャノンが提供しているウェビナー実施前のTo doリスト(タップで拡大)
シャノンが提供しているウェビナー実施前のTo doリスト(タップで拡大)

 これからウェビナーに注力したい企業様はもちろん、より効果的なウェビナーを開催したいという企業様は、詳細なウェビナー運営方法をご紹介したオンデマンドウェビナーや「ウェビナーはじめかたガイド」をぜひご活用いただければと思います。

「関心引き上げウェビナー」と並行して行いたい、比較・検討層獲得のポイントを解説!こちらからお読みください。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/11/27 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34478