トレンドはTikTokから生まれる? 動画視聴の傾向
次に、around20がどんなことに時間を使っているのかを見ていきます。around20の男女に「時間をかけていること」を聞くと、男女ともに「動画コンテンツの視聴(動画鑑賞)」に圧倒的な時間を費やしていることがわかりました(図表4)。

動画視聴はYouTubeやInstagramが中心となっていますが、TikTokの影響力も見逃せないポイントです。最近around20の間でトレンドになっているアーティストや楽曲、インフルエンサー、言葉などは、経緯をたどると、おもしろいくらいにほぼすべてにおいてTikTokが源泉です。
彼女たちに利用の実態を確認すると、TikTok内で積極的に情報検索をしたり、自らが投稿をすることはほとんどありませんが、おすすめ欄を永遠にスクロール&チェックしており、タイムライン上で同じ楽曲や人・投稿内容を反芻することで、認知が広がっていることがわかります。
視聴から聞き流しへ音声コンテンツメディアに注目
今後新たに注目しているアプリは、音声コンテンツメディアです。今、around20の間でradikoなど音声コンテンツへの注目が高まっており、Spotifyでもkemioさん(女子中高生から圧倒的支持を受けているYouTuber)の若者向けのポッドキャストが配信されるなど、視聴している若者が少しずつ増えている実感があります。
元々彼女たちは動画の視聴時もコンテンツに向き合うというよりも、動画を流したまま別のことを同時に行っている実態があり、また最近ASMR動画などの耳あたりの良い動画がトレンドとなっている流れがあることから、音声のみのコンテンツへの注目が高まっていることが考えられます。
勉強中など自宅で過ごす時間の中での視聴が中心になっており、これまではYouTubeが流しっぱなしにされていましたが、今後は聞き流しコンテンツがこのポジションに入り込み、新たな情報源となるかもしれません。
重要なのは「誰が・どのように」発信しているか
around20のアプリの利用実態を解説しましたが、彼女たちは各SNSやアプリで得られる情報の性質を把握しており、求めている情報に合わせて使い分けるスキルを持っています。
すべては「失敗しない買い物」を実現するためであり、リアルな口コミを、テキスト・動画・写真等、あらゆる観点から吟味、選定し、購入します。
そしてその情報源の中で最も重視されているのが、どこで発信されているかではなく、誰が・どのようにその情報を発信しているかということです。
自分が信頼している人が発信している情報であれば、すべてを信じるわけではないということが重要なポイントです。PR投稿や広告に対して敏感な彼女たちからは、「PR投稿は、フォロワーに商品を使ってほしいのではなく、お金をもらっているからだなと思う」「本当に良い商品は友達から口コミで伝わってくるはずだから、広告を見ただけでは信頼しない」など、PR投稿や広告に対して、裏側の意図を意識した、非常にシビアな目を持っていることがわかります。
今後企業が彼女たちにアプローチする際には、企業の伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、各SNSや発信するインフルエンサーごとに求められている文脈を優先し、伝えたい情報をチューニングしていくことが重要になってくることが考えられます。
調査概要
1.SHIBUYA109 ガールズ調査
実施期間:2020年2月 対象者:SHIBUYA109 来館者 around20(15〜24歳)
女性 N=1002.Web調査調査期間:2020年2月
調査対象:1都3県在住 女性 高校生・大学生
有効回答数:N=400(高校生:200/大学生:200)3.SHIBUYA109 ガールズ グループインタビュー
調査期間:2020年2月 調査対象:高校生・大学生
有効回答数:N=10(高校生・大学生各5名)