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業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

顧客体験を革新するチャネルとなるか LINEに聞いた、ミニアプリの可能性


【飲食店事例】スタッフの負担なく行列を緩和・3密を回避

――実際、どのように活用されているのでしょうか? 既に導入されている企業の事例や成果を教えてください。

武藤:活用事例を3つ紹介します。1つ目は、店頭の行列を緩和するためにミニアプリを活用している「ティースイーツラボ コンテナート南新宿店」様の事例です。ブレイブテクノロジー社が提供している「matoca」という順番管理サービスがLINEミニアプリに対応しており、この店舗では同サービスを契約することでLINEミニアプリを導入しています。

 店頭に配置したチラシ、POPのQRコードを読み取るとすぐミニアプリが立ち上がり、整理券が発券できます。ミニアプリ上で自分から先頭から数えて何番目という情報も表示され、「あなたの番が間近です、店頭に来てください」といったお呼び出し通知も届きます。オフラインだけでなく、オンラインで該当の店舗を検索して、店頭に行く前から順番待ちをすることも可能です。

武藤:実際にこちらの店舗では、ミニアプリを提供開始してから混雑時の順番待ち受付利用者のうち98%がミニアプリを使った順番待ちを利用している状況です(残り2%は発券機)。待機列が解消されて、3密の回避につながっただけでなく、人が密集することで近隣の住民から寄せられていた苦情もなくなりました。ユーザーが利用しやすく、店舗スタッフが案内しやすいことも非常に評価をいただいています。

谷口:こうした順番待ちサービスは、混雑しやすい繁華街の飲食店や、ロードサイド店舗などで特に導入が進んでいます。ロードサイド店舗では、受付しておけば通知が来るまで車の中で待てることがユーザーに高く評価されています。また最近では市役所や病院などの施設でも導入が進んでいます。

【アパレルEC・サロン事例】友だちが10万人増 EC売上にも貢献

武藤:2つ目は、「3Coins」や多数のアパレルブランドを全国900店舗以上で展開するパルグループ様のオンラインショップ「PAL CLOSET」の事例です。ネイティブアプリではどうしても取りこぼしてしまうユーザーとのデジタル接点を作るために、LINEミニアプリで会員証の発行とオンラインショッピングを提供しています。

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谷口:例えば同社が運営されている「3COINS」ではレジ前でお客様にLINEミニアプリとネイティブアプリの両方をご案内されていますが、新規のお客様については約8割がLINEミニアプリを選んでいるそうです。ネイティブアプリだけだと獲得できていなかったユーザーを獲得することができ、結果的にトータルの会員登録がどんどん増えています。

武藤:結局、ミニアプリもネイティブアプリも、あくまでも手段で目的ではありません。ユーザーにとってより良いサービスを提供することで、トータルで利用者が増え、売上につながることが重要だと考えています。

 新規会員登録数はリリース前後のひと月で比べると200%に増えましたし、LINE公式アカウントの友だち追加数がミニアプリ提供後デイリーで100倍(20人→2,000人)に増加しています。LINE公式アカウントを経由したEC売上も前年比5倍です。

武藤:3つ目は、ヘアサロン4店舗を運営する「mille」様の事例です。こちらでは自社サロンの予約システム「Reservia」と連携するミニアプリを各店舗で活用しています。

 このLINEミニアプリを使うことによって、ユーザーは美容室のポータルサイトを使った予約などと比べてお得な料金で予約が可能になり、店舗側も再来店予約時にポータルサイトで他のサロンと比較されることによる失客リスクが回避できています

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武藤:導入前は、電話予約のほか、ポータルサイトでの予約の比率も高かったものの、3ヵ月足らずで電話予約が3割減り、ポータルサイトからLINEミニアプリに移行するユーザーも大幅に増加しています。電話予約の減少は省人化にも当然つながりますし、自社予約が増えることで利益率の改善にも役立っています。

――ミニアプリを利用する割合が従来の手段と比較しても増えているのは、ユーザーが実際にメリットを感じている印象を受けますね。では最後に、今後ミニアプリ/ミニプログラムによって企業はどんな顧客体験の革新が可能になっていくか、展望をお教えください。

谷口:特に実店舗における様々なサービスのユーザー体験は、オンライン系サービスと比べても改善の余地が非常に大きいと考えています。実店舗でユーザーにネイティブアプリをダウンロードしてもらったり、会員登録をしてもらったりするのはとても大変なので、それにより本来は提供したいサービスを提供できなかった、というのが実態ではないでしょうか。

 LINEミニアプリがあれば、これらの課題が解決されます。既存サービスの利用開始ハードルを単に下げるだけではなく、LINEミニアプリの存在により、これまでにない優れた顧客体験を持つサービスを、企業と一緒に作っていきたいと考えています。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/21 10:44 https://markezine.jp/article/detail/34934

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