テレビCMは、過小評価されている
――これまでサイカはオンオフ統合分析ツール「マゼラン」を提供する企業として知られてきましたが、9月の「XICA ADVA(サイカ アドバ)」の発表と同時に「ADVA PLANNER」「ADVA BUYER」を提供開始して成果報酬型のテレビCM出稿サービスに進出。12月には「ADVA CREATOR(アドバ クリエイター)」をリリースしました。この一連のリリースには、どのような狙いがあるのでしょうか。
平尾:一連の新サービスリリースの背景には、テレビ広告市場の活性化という目的があります。サイカはこれまで「ADVA MAGELLAN(アドバ マゼラン)」(9月にXICA magellanから名称変更)の統計を用いた分析で、広告主の皆様に最適なメディアプランニングとアロケーションの支援をしてきました。しかし、マゼランで120社を超える企業のオンライン広告・オフライン広告の統合的なマーケティング最適化に携わらせていただいた中で、数ある広告媒体の中でも、テレビCMへの投資に対する企業の課題が深いことを痛感しました。
マーケターの方々からは「テレビの効果を感じているが、オンライン広告のようにPDCAが回せない」という悩みを聞くことも多いです。またテレビCMはグロス金額が大きい分、広告費が高い印象が根強いのです。動画の配信単価と比べても適切な視聴単価であるのに、テレビが過小評価されてしまっていると感じています。
――テレビの効果が肌感覚止まりで、事業成果に対するインパクトが可視化されず、PDCAが回せていないんですね。
平尾:そうなんです。XICA ADVAのサービスラインアップで、データサイエンスに基づいてPDCAを回せるようにしたいと考えています。具体的には、「P(Plan)」がテレビCMに特化したプランニングを行う「ADVA PLANNER(アドバ プランナー)」と、今回リリースしたクリエイティブ分析のADVA CREATOR。そして「C(Check)」がADVA MAGELLAN、「A(Action)」を「ADVA BUYER(アドバ バイヤー)」が担います。
クリエイティブにおける“データ活用”の重要性
――松田さんはどういった経緯でADVA CREATORのアドバイザーに就任されたのでしょうか?
松田:平尾さんから直接お声がけいただいたのですが、はじめにお声がけいただいたときは、正直言って「クリエイティブの分析って、ほんまかいな」と思いましたね(笑)。でも、クリエイティブは感性だけでなく、データも重視するべきという考えには同感でした。
ターゲットや訴求メッセージが絞られていないテレビCMは、視聴者が何に心を動かされるのか? が曖昧で「おもしろいけれど、なんの商品だっけ?」となりやすい。そういったテレビCMは、事業にとってプラスになりません。そのため、調査などを行い、定量的なデータも用いてクリエイティブの方向性を決める必要があると考えています。
しかしこれらを継続的に、汎用性を持たせながらデータで説明することは難しく、クリエイターや制作サイドにとっては長年の課題でした。そこを、ADVA CREATORがテクノロジーで解決してくれるとあって、「ならば私が一肌脱ごう」とアドバイザーを引き受けたんです。
――クリエイティブ領域の専門家として、XICA ADVAが目指す世界観をどのように捉えていますか。
松田:広告会社やクリエイターにとって、大きなチャンスだと感じています。今、テレビだけでなく、新聞・雑誌、ラジオも交通もデジタルも、単純な物量作戦だけじゃなくて、データで正しい価値が計れる世界になろうとしています。
媒体特性や事業への貢献が可視化されることで、それぞれの個性を活かしたキャンペーンやクリエイティブが作りやすくなると思います。「コストを押さえよう」ではなく、「こういうプランニングで、こんなクリエイティブの効果が高いですよ」といった提案ができると、日本の経済にも明るい日差しがさしてくるんじゃないかな。そのくらい、ADVA CREATORやサイカのビジョンに期待しています。