薬機法にはどう対処すればいい?
MZ:薬機法に関してはどうすればいいでしょうか。
中村:扱う商材によって異なりますが、たとえば化粧品の場合に多いのが、SNSに投稿されたその商品を使った際の個人の感想を、キャプチャしてクリエイティブやサイト内にに活用するケースです。あくまで1ユーザーの体験談でしかないので、それをもとに効果があることを伝えてしまうのは薬機法では効能効果を保証する表現として禁止されています。
その他にも、健康食品だと摂取することによって体のどこかに対して医薬品的な効能効果があることを伝えるのもNGです。薬機法の考え方として、特定の部位への栄養補給をする表現は、その部位の改善・増強を意味するため、医薬品的な効能効果に該当するとされています。
食事の代わりにドリンクなどを飲む置き換えダイエットなど、摂取カロリーが減り痩せるといった表現は、事実の範囲内であれば認められます。
MZ:薬としての承認をとっていなければ、効能を伝えられないということでしょうか。
中村:医薬品のような効能効果は、医薬品でなければ表示できませんので、そうなりますね。もしくは、特定保健用食品(トクホ)の許可の取得や機能性表示食品の届出などをしていれば、そこで認められた内容は訴求することができます。
MZ:その他に薬機法に関して特に気を付けたほうがいいケースはありますか。
中村:薬機法では医師や薬剤師のような医薬関係者や美容師などが商品をすすめる表現を禁止としています。特定の医師がよいと言っているものは効果も高いと消費者に信頼されるだろうと、うっかりクリエイティブとして活用してしまうケースもお見掛けしますが、気を付けるべきです。
社内外のサポートで非承認を減らす
MZ:薬機法はもちろん、ユーザーに不快感を与える表現など正直どこまで対応すればいいのか難しい領域だと思いますが、ヤフー側からも対応策の発信は行っているのでしょうか。
中村:いくつかの方法で情報発信を行っています。Yahoo!広告のヘルプページには広告掲載基準や薬機法についてなどの情報をまとめています。
また、それとは別に公式ラーニングポータルというオウンドメディアでヘルプには載せきれない非承認広告の事例などをコンテンツ化しています。さらに、薬機法に関しては薬機法ポータルというものを作って情報をまとめています。
MZ:これだけ気を付けるべき項目があると、社内の方への教育も求められますね。
中村:そうですね。特に薬機法は広告に関わった人すべてに責任が及ぶので、審査やサポートに関わるメンバーはマニュアルを見ながら日々業務にあたり、営業やプロダクト担当者向けにもeラーニングを用意して広告に関わる担当者全員の理解を深めるようにしています。
入稿前から配慮が行き届く世界に
MZ:今後、インターネット広告にはどのような考え方が求められると思いますか。
中村:インターネット広告の信頼性をより上げていくことがこれから重要になってくると思っています。この信頼感を上げるためには、我々だけでなく、広告主、広告会社、媒体社などインターネット広告に関わる皆様の協力が必要になってきます。関わる人が一体となって健全な広告を配信できるようにしていくべきだと考えています。
MZ:では、最後にヤフーとして今後どのように非承認の広告を減らしていくのか、教えてください。
中村:広告主や広告会社の方が意図せず法令違反やユーザーに対する不快な表現をしてしまわぬよう、今後も審査だけでなく啓発活動も積極的に行いたいと考えています。具体的には、透明性レポートの発表やウェビナーの開催、公式ラーニングポータルの充実などがあります。
これらの活動を通じて、広告を入稿後に審査して非承認にするだけではなく、入稿以前からどういった広告を作れば広告掲載基準に抵触しないのか、わかりやすくご案内するようにしたいです。

 
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                
                                 
                                
                                 
              
            