2021年は大きな消費に向けた動きが始まる
2021年に大きな変化は起きにくいとお伝えしましたが、その中でも現在の流れの中で、支出額が比較的大きい消費を紹介したいと思います。2020年は在宅勤務が広がることで、パソコンや家具の支出額が増えましたが、2021年は在宅勤務の一層の定着化が進むことで、郊外への移住、それにともなう移動手段としての自家用車の購入などを検討する方も増えるのではないでしょうか。これらに関連したビジネスを行っている方は、早めに仕掛けを考えておくことをおすすめします。

また、感染対策が習慣化し、感染後の治療体制も整いつつあることから、外出活動がやや活発化し、特に家族単位での旅行やサービスなどの需要は高まってくると思います。また、働き方が柔軟になり、ワ―ケーションなども進むことで、グランピング施設などの人気も一層、高まるのではないでしょうか。そのため、宿泊施設などを運営している企業であれば、家族単位でのサービスを検討したり、ワーケーション対策でwifi環境や会議ブースを用意したりすると、新たな需要をつかめる可能性があります。
その他にも、テレワーク環境の整備や家事の効率化など、生活の質を高めるための消費は、今後とも増えると考えられますので、そこに対する商品・サービスを提供していくことも、マーケターには求められるのではないでしょうか。
2021年、マーケターが取るべきアクションは?
最後に、企業がこのウィズ・コロナを戦い抜くために必要なポイントを解説します。まず、釈迦に説法かもしれませんが、デジタル・オンライン化の対応は必須と言えるでしょう。消費者行動を見ても、店舗だけでしか対応していないというのでは今の消費者には選ばれにくく、デジタル化が進んでいるかどうかが購買要因にもなりつつありますので、デジタル化の取り組みは急務です。
しかしながら、デジタル化やオンライン化が進んだことで失われていく価値に目を向けることも重要です。五感を使うことや臨場感があることが買い物の醍醐味とも言えますが、デジタル化が進むと五感の中でも使われる要素が限られてしまい、刺激が薄れていきます。
一方で、最近ではデジタルでも五感を使った消費機会が少しずつ登場し始めているようです。たとえば、ワインのテイスティング教室や料理のオンライン教室はオンラインでも五感をフルに使った体験を提供していますが、このようにデジタル・オンライン上でも五感を刺激する体験を設計し、顧客の維持拡大を狙うことが、非常に重要になります。
また、アパレル企業などでは、実店舗に足を運ばなくなった層に対し、店員がInstagramライブを活用して洋服を試着したり、素材感や形を伝えたりしています。これまでも動画を活用した施策はいくつもありましたが、そこにライブという要素が求められるようになったのが最近の傾向だと考えています。
その他にも、新型コロナウイルスの影響を加味した商品開発も対策の一つです。テレワーク映えするブラウスであったり、本業はアパレルでも食料を取り扱ってみたりと、売り方や売る物を変える動きも活発になっています。
ここまで、2020年の変化と2021年の予測、求められる企業の対応について解説しました。多くの企業は苦しい状況が続いているかと思います。しかし、避けられない変化に対応しなければ、状況は変わりません。ライブハウスなども配信ライブやアパレルの販売など、これまでとは違うチャレンジで消費する場所をなんとか作り出そうとしています。
現在は、家の中で過ごす時間が増えたことで、家具を買うなど生活環境を整える消費が動いていますが、環境が整ってくると、今後は趣味やエンターテインメントなどに消費が動く可能性はあると思います。取り組むビジネスによって様々なトレンドはありますが、まずは巣ごもり消費をベースに、来年の施策を考えてみてはいかがでしょうか。