CV向上につながるテレビCMを
――2020年を振り返って、食べチョクの成長に最もつながった施策はありますか。
テレビCMですね。認知やブランディングではなく、新規注文につなげるために出稿したのですが、きちんとCPAベースで見ても非常に良い成果を得られました。大きな投資ではありましたが、対象顧客のファネルが広がりました。

――コンバージョンにつながるテレビCMのクリエイティブを作るのは非常に難しいお題だと思うのですが、どのようにしてその解を見つけたのでしょうか。
食べチョクは単なる食材を買うECサイトではなく、生産者の想いやこだわりを伝えるECサイトです。本来伝えたいメッセージは生産者のストーリーなのですが、15秒のCMで全てを伝えきるには限界がありました。そこで「生産者を応援できる」「ぬくもりのある商品」「生産者から直接届くためおいしい」などの様々な訴求軸の中から、綿密にWeb広告などでも検証してテレビCMに合う訴求を探りました。その結果、シズル感でとにかくおいしさを伝えるのが一番良いことがわかったので、テレビCMのクリエイティブも食品メーカーのクリエイティブなどを参考にその要素をまんべんなく入れました。
また、テレビCM出稿に合わせ、食べチョクトップページのファーストビューもテレビCMと同じクリエイティブを使い、商品もテレビCMに登場している食材を出すなど、訴求をきちんと統一するようにしました。また、テレビCMを見て関連ワードで検索する方も多くいると思ったので、リスティング広告で関連ワードの入札も強化しました。
結果として、指名検索数は放映開始日から大きく伸び、生産者の注文増加にも貢献しました。
アプリの提供でCRMを強化
――プロダクト、サービス面でこの1年で大きく変化した点はありますか。
iOS、Androidアプリのリリースは大きな変化の一つです。テレビCMの放映に合わせてiOSアプリは開発したのですが、プッシュ通知が食べチョクと相性が良いと思っています。

食べチョクは注文後に生産者の方が梱包発送などを行うのですが、海が荒れていて漁に出られず発送が遅れるといったこともあります。そういったときでもプッシュ通知などを通じてお知らせすることができるので、Web以上に生産者と生活者のつながりを強固にすることができます。
メールの開封率が30%を超えるという話もしましたが、残りの70%の方は気づかないわけです。そういった方にもプッシュ通知で気づいてもらえるチャンスが作れたのが非常に良かったと思います。
――プッシュ通知以外にアプリならではの機能はありますか。
まだiOSのみの機能となっていますが、お気に入り機能はアプリならではだと思いますね。Webでもお気に入り機能はあるのですが、iOSだと商品一覧にある各商品のハートをタップすることでお気に入りに追加できるので、Webよりも気軽に行えます。よって、自分が欲しい商品に関する情報が集まりやすいこともあり利用率が高いです。
――ちなみに、アプリの利用はどのようにして促しているのでしょうか。
タッチポイントすべてにアプリの情報は入れるようにしています。WebサイトのトップページやLINE、購入後のメールなど、お客様が関心を持ってくれそうなタイミングで認知してもらえるようにしています。その中でお客様が「アプリで商品を探す、買うほうが便利かも」と思うところでインストールしてもらえることを目指しています。