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「“愛される”が目的のブランディングはダメ」ダイキンが指南する、コロナ禍にも負けないブランドづくり

「3つ」の性質が込められたコピー

 ダイキンのブランドには、テレビCMでも知られるように「空気で答えを出す会社」というコピーが用いられている。なぜこの言葉で発信されているのだろうか? 片山氏は、まずダイキンというブランドを、前述の「どんなブランドを作るのか」という問いに当てはめて解説した。

 存在価値については、空気にとてもこだわっているということ。存在意義は、空気であらゆる世の中の課題を解決しようと考えていること。エアコンをより快適にすることはもちろん、集中できて勉強が捗る空気を作る研究なども実際に行っている。人格・個性については「元々大阪の泥くさい会社なので、ガツガツ前に行く、というもの。ただ、もうちょっとカッコよく『果敢なリーダー』としている」という。社風として積極的に未知なるものにも挑戦していくという姿勢があると語る。

 「この3つを一言でいうと、『空気で答えを出す会社』というコピーになります。空気に可能性があると信じるダイキンが、世界ナンバーワンの空調メーカーとして果敢なリーダーとなり、空気であらゆる課題を解決しますということです。そしてこれにより、商品・サービス、企業の事業活動に貢献していくと考えています」(片山氏)

コロナ禍に公開した「換気情報サイト」の狙い

 コロナ禍で世の中の動きが滞る中でも、ダイキンはこうした土台のうえで、ブランドづくりに力を入れていた。

 「世の中の方々がコロナで不安な気持ちになっているときに、『寄り添って困っていることを解決していかなければ』『我々が空気で答えを出さないといけない課題は何だろう』と考えました。その結果、『換気の情報が必要とされる』と仮説を立てました。また、エアコンでは換気ができないことをご存知ない方も多く、それをきっちり伝えなければという思いもありました」(片山氏)

 そうして、緊急自体宣言が発令されてわずか数日後の2020年4月10日に、まずは一般家庭向けの「上手な換気の方法〜住宅編〜」というWebコンテンツをオウンドメディア上で公開した。

 このコンテンツでは、エアコンでは換気ができないため、必ず窓をあけて換気してほしいことや、換気するにあたり一般的なマンションの間取りで効果的な方法、窓が1つしかない部屋で扇風機をどこに向けたら換気の効率が良くなるかなどを、図解にしてわかりやすく発信した。

 続いて5月14日には、「上手な換気の方法〜オフィス・店舗編〜」を公開。緊急事態宣言が解除され、オフィスへの通勤や店舗の営業が再開される中で不安を抱える人の課題解決を目指した。店舗の換気についてはサイトの解説だけでは限界があるため、電話の相談窓口も開設した。

 6月19日には、熱中症の人が増える夏に備えて、エアコンを使いながら換気をしつつ節電もするための情報発信をする「エアコン節電情報」を公開した。

 これらのコンテンツでは、基本的に商品やサービスの紹介やリンクでの誘導もしていないという。

 「最終的には儲けるためにブランドを作っていくのですが、最初から『商品を売りたいからあなたの問題を解決します』という語り口では受け入れてもらえません。企業ではなかなか難しいのですが、その潔さが大切です。例外的にオフィス・店舗のコンテンツの一部では商品を紹介していますが、これは店舗では商品自体を変えないと解決しない場合があるからです。もちろん我々にとってビジネスになるという面もありますが、ユーザーにとってもメリットがあるという場合だったからです」(片山氏)

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トリプルメディアを組み合わせてタッチポイントを作っていく

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35181

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