SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Autumn

「withファン」レポート

フォロワー数に惑わされない!リーチ数2倍を実現した阪神百貨店に学ぶ、スカウト式アンバサダープログラム

アンバサダー施策の成果はどう測定する?

徳力:お店への来店者数などはわかるのですか?

溝口:百貨店の入り口にはカメラがあり、入店客数という数字はあるのですが、お客様が何階のどのお店へ立ち寄ったかということは出ないですね……。

徳力:僕個人の考えでは、お客さんに直接言ってもらうのはどうかな、と思います。「この発言者を見て買いました、行きました!」と証言が取れると、社内でも「おっ」となるのではないかと。

 別で聞いたやり方では、SNSだけでお知らせしてギフト引換券をお渡ししたということがあるそうです。すると、確実にSNSで集客できたということがわかりますし、ギフト交換窓口でレシートを持っていってもらえるようにして、その方が洋服やバッグを買ったらイベントの効果としてそれも売上効果に計上した、というんです。実際には、バッグをメインに買いに来たのかもしれませんが、賢いやり方だなと思いました。出口さん、どうですか。他にいい方法があればぜひ教えてください。

出口:前提として、口コミが増えたらなぜ売れるか? という根拠を考えていきたいと思います。口コミと売上の相関が出ていればいいのですが、そのための数字がないケースが多いのですよね。そこで書いてみたのが下図です。

 (1)口コミが何件で、(2)どれだけ露出したか。この2つはみなさん出せます。口コミが上がると、露出が上がってSNS利用者の目に触れる回数が増えます。

(モデレーター):アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部 部長 / エバンジェリスト出口潤氏
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部 部長 / エバンジェリスト 出口潤氏(右上)

 次は仮説ですが、目にする回数が増えることでお客さんの(3)想起率が上がったり、(4)好感度が上がったりするということが起こってきます。その結果、(5)購入意向が高まり、最終的に購入・利用に至る、というふうに言えると考えています。

 想起率や好意度を出すことは、アンケート調査で可能です。オンラインでもNPSテストのようなものがありますが、百貨店でも調査を入れることができるでしょうか?

溝口:阪神百貨店では、エレベーターのところに、「このイベントを他の方にもお勧めしたいですか?」というリアル版のNPS計測器があって、通りがかりのお客様に押していただいています。そういう数字を併せて使う手もありそうですね。

出口:他にも、駅貼り広告の量に対してどのくらい集客できたかといった数字があれば、暫定的に、来店率をSNSの露出とその効果にあてはめて広告と比較できます。これで費用対効果も一緒に出せるようになってくるか思います。

アンバサダー施策に関するQ&A

Q.百貨店に出店している店舗です。店舗で運営するSNSが、売上にどれだけ貢献しているか、測る方法はあるでしょうか? 現在は新製品の告知などに使っています。

出口:投稿を見て何人が買いに来たのか、実数はわかりづらいので、暫定的な変化がわかる数字を探し出す必要がありそうです。

 やってみるのがいいかもと思うのは、通常はお店からの告知しかしていないなら、新たにお買い物をされた方の口コミを紹介したり、ファンとのエンゲージメントを取るということです。仮に、インフルエンサーの口コミで「このおつまみ絶対美味しいから食べて…!」というようなのが人気になり、実際にオンラインサイトや店舗で商品数が動いた場合、その口コミの反響と、自社の通常の告知の反響との比較が取れるようになります。SNSでこれだけの反響があると、これだけ売れそう、という公式が作れれば、効果をいよいよ計測可能になってくるのではないでしょうか。

Q.年齢層が高い人に向けての商品なので、SNSで、どうアピールしていけばいいのか悩んでいる。いちごは若い人がメインでしょうか。

溝口:今回、年齢を選考対象にまったく考えませんでした。50代の方もいたと思います。百貨店ではやたらとターゲットを「若い女性に向けたがる」のですが(笑)、今回年齢や性別は関係なかったと感じました。

徳力:成功された理由のひとつは、お客さんによく話を聞いて、フィードバックをしていることだと思うので、たとえば、年齢層が高い商品でも、その分野にくわしい方に「こだわり」を聞き出してみると、好きな人同士通じ合えるような発信内容が見つかると思います。

Q.アンバサダーの方々と、コミュニケーションが上手くとれる秘訣を教えてください。フレンドリーすぎず、よそよそしすぎない関係性が必要かと思います。

溝口:ファンの方に「失礼があってはいけない」と思いますから、まったく砕けてないわけではないですけれど、私としてはできないところは頼るようにしています。ただ、「これをやってください」とかよりも「助けてください!」ってストレートにお願いしていましたね(笑)。

安田:そんなこともあり「それはもう別会社がやってる(企画だ)から、やめたほうが良いよ」とか注意されたりもしてましたね(笑)。ところで私は甘い物は得意ではないんです。だけどフェスを成功させたい気持ちはみなさんと同じなので、中味のほうよろしくお願いします! と最初からスイーツファンではないこともカムアウトしてました。

徳力:助けて! とか、一緒にやっていきたいのでお願いしますとか、フラットな関係、本音で取り組むって姿勢ってとても大事なところかもしれないですね。今日は、大変参考になるお話、ありがとうございました!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
「withファン」レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

吉田 朗子(ヨシダ サエコ)

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部

広告代理店とカナダでのワーキングホリデーを経て、2018年アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)入社。AMNでは、マーケティング部に所属しながら”寄り添う企業として”をスローガンにしウェビナー、イベントなどを開催中。個人では保護犬のボランティアなどを行いながらより良い未来を模索している。

アンバサダープログラム事業部:https://agilemedia.jp/ambassador-program

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

宮崎 綾子(ミヤザキ アヤコ)

編集者。編集プロダクション勤務を経て2009年に独立、“ひとり編プロ”アマルゴンを運営。PC・スマホ・ウェブ関連の技術&カルチャー書籍編集制作を中心に、PRコンテンツ企画など幅広く関わる。電子書籍の導入期にはImpress QuickBooksシリーズに参画。実績は https://amargon.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

田口 和裕(タグチ カズヒロ)

タイ在住のフリーライター。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイトなどを中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。著書に『できるfit メルカリ&LINE&Instagram&Facebook&Twitter 基本+活用ワザ』(インプレス・共著)、『ゼロからはじめるテレワーク実践ガイド ツールとアイデアで実現する「どこでも仕事」...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/01/26 07:00 https://markezine.jp/article/detail/35226

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング