膨大なデータを一元化し、キャンペーンの精緻化が実現
こうした取り組みの結果、宣伝部のあらゆる担当者がデータを閲覧できるようになり、必要なデータをリアルタイムにチェックできるようになったという。
「Datorama導入以前は、施策の成果を調べるためには、ソーシャルリスニングツールやウェブサイトの流入量観測ツール、Google Analyticsと様々なツールにログインして、いくつものウィンドウで開かなければなりませんでした。複数ツールを使うとID・パスワード管理も難しいため、『パスワードを忘れてしまいました』という問い合わせも多かったですね(笑)。またツールによっては数アカウントしか使えないケースもあり、限られた人しか使えないということもありました」(浅尾氏)
こうした情報をDatoramaにすべて集約したことで、同社の社員のみならず、広告会社や制作会社などプロモーションに関わるすべてのスタッフがいつでも必要な情報にアクセスできる体制を作ることができた。
現場でBtoC向けプロモーションに携わる西上氏も、Datoramaの活用によってキャンペーンをスムーズに進められるようになったという。
「Datoramaの導入により大きく2つの利点がありました。1つ目はデータベースの見える化です。これまでグループごと、担当製品機種ごとにクローズドになっていたデジタル施策が見える化され、他グループや担当外製品のキャンペーン結果も見られるようになりました。
2つ目はダッシュボードの活用による広告プランニングの精緻化です。これまで広告会社からデジタル施策をご提案いただいたとき、CPCやCTRなどブラン表の数値について十分に精査しきれないことが多かったんです。しかしDatoramaの導入によって過去のCPCの平均などを簡単に算出できるようになりました。その結果、オリエンの質もあがり、プレゼンについても、クオリティ高く精査できるようになったと感じています」(西上氏)
その結果、宣伝部全体のデジタル施策についてのリテラシーが大幅に上がり、日常的にデジタル施策について意識するカルチャーも醸成されたという。直近で実施したキャンペーンではDatoramaのダッシュボードで分析を行ったところ、事前に予測したキャンペーン成果と比べて動画視聴完了が110%改善、サイト誘導については成果を151%改善することができたという。
今後の展望について、アイプラネットの石川氏は「今回のこうした取り組みを仕組み化し、三菱電機・宣伝部内だけでなく、社内全体に広げてアイプラネット丸の内本部をPDCAセンターのような位置づけにできたらと考えています」と話す。
西上氏は「より一層Datoramaの活用を推進しながら、エアコンで行っているダッシュボードについて全機種に広げていきたい」のだという。そして浅尾氏は「今回一つの成功事例ができたので、あらゆる広告会社とこのDatoramaのダッシュボードを用いて精度の高い広告キャンペーンをできる体制を整えたいと感じています。今後はリーダーや経営層クラスがウォッチするダッシュボードを整備したいですね」と意気込む。
地道な努力により、Small Victoryを重ねてきた同プロジェクト。成功体験を元に横展開を続け、コロナ禍のDXの推進に必要なツールとして、さらなる利用促進を狙っていくという同プロジェクトの今後に期待だ。