自分たちで使うからこそ課題や改善点がわかる
――では、今回掲げられたイベントテックの構想についてうかがいます。2019年、アンケート調査の「CREATIVE SURVEY」に出資されたときは、なぜSansanがアンケートサービスに出資するのかと話題にもなりましたが、イベントテックとして一連のサービスがつながり、とても納得感がありました。事業全体を、どう市場に見せていこうと考えていますか?
林:イベントの開催前・開催中・開催後にわたって、各種のプロダクトでパートナー企業との出会いと発展を支援します。中心となるのは2019年より出資しているイベント管理システムの「EventHub」と、事業戦略説明会のタイミングで発表したセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」です。

構想を固めていく間、我々も主催者としていくつものイベントを開催し、自分たちでこれらのイベントテックを活用しながら改善していました。その経験ももとに、広くBtoBマーケティングに役立つソリューションとして提供できるところまで漕ぎつけたという形です。
この構想は、イベントテックが十分に取り入れられて最大の効果を得られる、理想像でもあります。全サービスを利用いただくことももちろん可能ですが、各種の管理ツールを既に運用していたり、自社開発で保有する企業もあります。また、「EventHub」や「ログミー」、「CREATIVE SURVEY」も別の会社ですし、当社内でも「Sansan」と「Eight」は別部門です。なので現段階では、企業の課題に応じて必要な分だけソリューションを提供しています。将来的に、統合的なスイートのほうが顧客の役に立つなら、それもあり得ると考えています。
――この一連の仕組みを、自社でも使いながら磨いていったとのこと。御社は数千人規模のカンファレンスも度々開催されているので、その知見も活かされているのですね。
寺田:そうですね。昨年10月末にオンラインで開催したSansan Innovation Summit 2020には3,000人を超える方にご登録いただき、「Smart Entry」と「Event Hub」を組み合わせて活用しました。他、当社のウェビナーは「Sansan Seminar Manager」で配信していたりします。
自分たちで使うからこそ、一人称で課題がわかるし、価値も感じられる。だからこの事業ができるのだと実感しているので、今まさに社内でどんどん使っています。自社でPDCAを回して改善していくことが、今後の事業推進においていちばん大事だと考えています。