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日本のBtoBマーケティングを底上げする Sansanが見据える、イベントテック事業の勝算

イベントテックのエコシステムを拡大

――それは、意外ですね。

林:既に取り組んでいて課題のある企業からの引き合いのほうが、多いだろうと想定していました。それが、地方の小規模な製造業からも問い合わせがあるほどで、規模を問わずイベントテックには強いニーズがあることを実感しました。2020年の厳しい状況でも、テクノロジーを活用していた企業は成果を維持でき、一方でそこが手薄だった企業が成果を維持できず、テクノロジーを取り入れざるを得なくなっている。この圧倒的な差が、コロナ禍で浮き彫りになったという印象も強いです。

――なるほど。今のこの状況に、イベントテックの支援が合致して、BtoBマーケティングのすそ野が広がりそうですね。ただ、それは裏を返すと、ウェビナーやオンラインでのリード獲得支援といったサービス提供が増えるとも言えます。御社としては、どういった事業者が競合に、あるいはパートナーになるとお考えですか?

寺田:そうですね、まず競合は特に思い当たりません。確かにウェビナー支援などを提供するエージェンシーも増えていますが、そうした会社には、我々のテクノロジーを取り入れて、提案内容をアップデートしていただければと思っています。一方、イベント支援に関わる事業者なら、パートナーとしての組み方は柔軟に考えられると思います。

林:イベントテック自体が新しい言葉です。たとえばビデオツールやCMSなどの各領域で熟練したツールとは、積極的に組んでいきます。エコシステムを広げていくイメージですね。もし、成果を最大化するために有効なツールがないなら、自社で開発します。重要なのは、複数サービスの上でデータが連携されることなので、あくまでユーザー企業の成果が上がることに向き合っていきたいと考えています。

オフラインの出会いも視野にテクノロジーの力を磨く

――こうしたツールやサービスを導入する際の投資対効果は、どう考えたらいいのでしょうか?

林:これも、データの欠如のために、判断が難しい部分です。ツールの投資対効果を求めるなら、まずリードの獲得単価やリード数、受注額などを細かくデータで把握する必要があります。どの程度の受注が生まれたら「成功だ」とするのか、自社の定義も大事です。さらに中長期的にPDCAを回すことでコンテンツの質を高めたり、集客する母集団をチューニングしたりするのもイベントテックの効果ですが、データがなければ評価のしようがありません。

 逆に、イベントテックはこれらを見通す策であり、そのための投資だと捉えるほうが運用しやすいと思います。ツールを使うことで現状をデータで把握し、長いスパンでもPDCAを回せるようになるので、それを踏まえて投資対効果をフィットさせること自体がイベントテックの役割だと捉えています。

――イベントテックを活用してPDCAを回し、コンテンツの質も高まっていくといいですね。イベントテック事業の進化は、BtoBマーケティングの進化に直結すると思います。最後にBtoBビジネスの在り方をどう変えていきたいか、未来像をお聞かせください。

寺田:そもそもSansanは、ビジネスインフラになることを目指してきました。インフラとは、当たり前のもので、ないと困るもの。スイッチ一つで電気がつくように簡単にイベントを開催でき、コンテンツの質に集中して、継続的な顧客開拓につなげられる。そんな世界を作れたら、BtoBマーケティングの進化につながると思います。

 今後、オフラインの開催がどの程度戻るのかはわかりませんが、BtoBイベントもオンとオフのハイブリッドという新しい様式になっていくでしょう。オフラインの良さは、予期せぬ発見や出会いがあることです。オフラインならではの、ライブ感やエンゲージメントなどの体験向上ができるプロダクトやサービスも検討しつつ、オンラインでどこまで代替できるのかも模索したいと思います。

林:ビジネス上の課題は、それを解決してくれるパートナーを探すのが、いちばん早い対応ではないかと思います。イベントやセミナーは、重要なビジネスマッチングの場なので、ここでの生産性が高ければ、あらゆるビジネスにおける生産性の高さに結びつきます。この生産性を上げられるように、テクノロジーの力で、より多くの方に精度の高いマッチングを提供できればと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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2021/01/25 06:00 https://markezine.jp/article/detail/35280

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