変化の半歩先を見つめ、スピードをあげて進んでいく(ダイキン工業)
2020年を振り返って
様々な場面でのデジタル化が一気に進みました。これらはニューノーマルだから起きた思いもよらない変化ではなく、いずれは実現すると予測されていた変化が前倒しで到来しただけです。デジタル化が急速に進むほど、これらの変化に企業が迅速に対応できるかどうかが、マーケティング活動の成否をわける重要なポイントであると考えています。また、日本アドバタイザーズ協会など広告関係3団体は、頻出するアドベリフィケーション問題に対し「デジタル広告の課題解決に向けた共同宣言」を発表しました。今後のデジタル広告の品質課題解決が進むことを強く期待しています。
2021年へ向けて
時代の変化やDX等のバズワードに流されることなく、変化の半歩先を見て、スピードをあげて施策に取り組んでいきます。ブランド構築においては、現在展開しているトリプルメディアを活用した統合型マーケティングコミュニケーションを上記変化に合わせてさらに高度化していき、またコロナで活発化したデジタルマーケティングへの機運をチャンスとして、遅れているマーケティングのデジタル化を進めます。実行にあたっては将来像からバックキャストしつつ、自社の現状の実力値と乖離しない最適な方法論を見出すことで、事業展開に貢献できるデジタルマーケティングの基盤を構築していきます。

総務部 広告宣伝グループ長 部長 片山義丈氏
1988年ダイキン工業に入社し、総務部宣伝課、広報部広報担当、広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。ルームエアコン新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームに携わる。統合型マーケティングコミュニケーション(IMC)による企業ブランド構築、BtoC商品広告企画、グローバルグループWEB統括を担当。日本広告学会会員。
顧客接点の構築をよりスピーディーに(デル・テクノロジーズ)
2020年を振り返って
歴史的なパンデミックに見舞われ、マーケティング戦略の見直しを余儀なくされた企業は多かったことと思います。弊社も例外ではなく、コミュニケーション、メディア選定、投下の時期や額を含めて見直しを行いました。その結果、フラグシップモデル“XPS”の認知度が昨対比で2倍に上昇、コミュニケーション戦略をデジタルにシフトさせ、顧客のモーメントに焦点を当ててエンゲージメントが起こるよう設計したことで“好意・検討/購入意向”のスコアが昨対比で10%以上成長するといった成果を残すことができました。
2021年へ向けて
特にデジタルの分野において、顧客接点の構築をよりスピーディーに進めていく必要があると考えています。キャンペーンの設計にとどまらず、データ連携を加速させることで、統合的なマーケティングを展開していきます。また、デルアンバサダーは設立5年目となり、間もなく2万人を突破する勢いですが、プログラム認知度、NPSも年々上昇しています。設立当初は困難な状況も多々ありましたが、プログラムのメカニズムやあらゆる指標を数値化し、アンバサダーの声に真摯に耳を傾けながら、改善を積み重ねてきました。これからも着実に前に進めていきたいと考えています。

コンシューマー&ビジネスマーケティング 部長 横塚知子氏
大学院卒業後、ベンチャー企業を経て、デル(現:デル・テクノロジーズ)へ。入社初年度に海外勤務を希望し、1年間中国に赴任。現在は、日本市場のコンシューマー&ビジネスマーケティングを担当し、ダイレクトビジネスの推進およびブランディングの強化にあたる。2016年12月末には「デルアンバサダープログラム」を立ち上げ、ダイレクトビジネスの原点とも言えるユーザーとの直接交流に力を入れている。
消費者理解をさらに深め五感・直感に訴える(トリドールホールディングス)
2020年を振り返って
パンデミックにより、(1)外食・中食・内食のボーダレス化、(2)食に対する消費者の価値観と行動の大きな変化、この2つが想定以上のスピードで半ば強制的にやってきました。そんな中丸亀製麺では、「消費者の外食に対する本質的な欲求は大きく変わっていない」という消費者理解に基づき、「ブランド力(ブランドの強み認知と好意度)」と「顧客体験」の向上に注力しました。さらに、いち早く「丸亀製麺は安心である」という認知を獲得するためのコミュニケーションと、事業ポートフォリオの見直し(テイクアウト・デリバリー参入)を行い、進化した丸亀製麺ブランドの基礎を創りました。
2021年へ向けて
「顧客の変化」をしっかりと掴むために、消費者理解をさらに深める必要性を感じています。そのためにも人の本質的な欲求や行動をつかさどる「脳(本能)」への理解を深めていきたいと思っています。その上で、ブランドを強くして持続的に消費者に選ばれる確率を高めるため、(1)美味しさをより五感・直感に訴えるコミュニケーション・クリエイティブの強化、(2)顧客体験の革新による再来店の強化、(3)勝率を上げながら未来を創るためのデータドリブンの推進、(4)ファンマーケティング、これらを丸亀製麺らしさにこだわって進めていきます。

マーケティング部長/丸亀製麺 マーケティング統括部長 南雲克明氏
早稲田大学大学院商学研究科卒MBA。コナミスポーツやサザビーリーグなど実店舗を持つBtoCのリテールビジネスにおいて、ブランドマネージャーを歴任。2018年8月から現職。五感(感性)マーケティングとデータドリブンマーケティングに顧客体験(CX・DX)を組み合わせた独自のマーケティングメソッドの下、丸亀製麺のブランド戦略とコミュニケーション戦略の革新に取り組む。
デジタルマーケがコロナ禍での安全対策としても機能(日本プロサッカーリーグ)
2020年を振り返って
新型コロナウイルスの影響で世の中全体でDXが加速した印象です。Jリーグは、これまではスタジアム観戦を起点にしたマーケティング・ファンサービスを中心に展開しておりましたが、クラウドファンディングや投げ銭、リモート応援やリモートチェックインなど、ユーザー参加型の新たなオンライン施策をトライアルしました。まだまだ試行錯誤の段階ですが、一定の知見を蓄えることができたのではと考えています。また、近年各クラブと一緒に取り組んできたデジタルマーケティング(CRM・電子チケット化・EC推進)が、コロナ禍でのスタジアム観戦における安心安全対策としても機能しました。
2021年へ向けて
スポーツ観戦のニーズは当面は元には戻らないと考えています。在宅などでのオンライン視聴体験価値の向上とスタジアム観戦の安心安全対策を並行して実施することで、新規顧客獲得と既存顧客のエンゲージメント強化を図っていく予定です。また、試合以外のコンテンツ制作・発信にも力を入れていきます。これまで知ることのなかった、選手やクラブの「ストーリー」を発信することで共感・関心を持ってもらえればと考えています。リアル(マスメディア)とデジタル(SNSなど)を融合させることで、マーケティングの効果を最大化していきます。

コミュニケーション・マーケティング本部 本部長 笹田賢吾氏
大学卒業後、大手インターネット企業にて、WEBサービス事業の責任者(事業部長)、全社の事業戦略を担当。2015年4月より、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)にデジタル戦略立ち上げの第一号社員として転職。2020年6月より、公益社団法人日本プロサッカーリーグ コミュニケーション・マーケティング本部本部長としてtoC(コンシューマー)マーケティング戦略全般を担当。