集計から解放されるだけでなく技術的に深い考察が可能に
加えて集計がなくなることによるメリットも実感していると市川氏は続けた。広告運用をしていたときに、定例会でデータを提出した直後に次の定例会のために始めないと間に合わないぐらい集計に時間がかかってしまっていたという。
「クライアントの言葉の定義やKPIに合わせて集計し直す。それに満足してデータをどう活用するかまで見えていませんでした。そのため『Datorama』などを利用することで、処理に手間がかからなくなると、より深い分析や、正確に状況を把握することに時間がかけられるようになります」(市川氏)
「データの散在といわれる部分(広告、メール、Web・アプリ、セールス&コマースなど)がまとめられれば、集計作業がほぼなくなるカタチでレポートが作れるようになるし、データを共有する際、チーム間によって見せ方を変えていたのを、しなくてもよくなりますよね」(熊村氏)
全部門が協力し顧客体験を設計していく時代に向けて
コロナ禍に入り、リモートワークが用いられるようになった現在、Datoramaのような共通のダッシュボードを見ながら意思決定を下せる状況を作っておくことの大事さを痛感していると両者は話す。
顧客体験を考えるすべての人たちの“共通基盤整備”こそがこれからのマーケティングに求められるものだと熊村氏は主張した。
「さらにいえば、ポストクッキー時代に限らず、今後は共通化された基盤の中であらゆる部門や担当者が協力して一枚岩で“顧客体験”を設計していくことが必要です。その実現のためにもやはりデータ統合・分析が欠かせない、データ断絶が少しでもあると失敗してしまいます」(熊村氏)
「冒頭からお話させてもらいましたが、言葉をデータで定義する、共通言語にすることができないと、なかなかデータサイエンティストと広告担当者、広告担当者とシステム担当者が同じ方向に向かって話ができないと思います。それぞれにまったく異なる言葉を使っているので。そこの共通化を図って、顧客体験でそれぞれのスペシャリストが同じものを作っていくことが一番大事になってくるのだと思います」と市川氏は話す。
それに対し、「結局言葉をデータで定義するというのは、データドリブンなマーケティングを進めていくことだけではなく、最終的に顧客体験を様々な部門が一枚岩になって作っていくことを考えたときには、言葉をデータで定義するための仕組みづくりとは、経営基盤そのものなのではとも思っています」と熊村氏も自身の考えを述べセッションをしめくくった。