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デジタルトランスフォーメーション~分断を乗り越えて

ソフトバンク、JTBのデジタルキーパーソンに聞く 通信キャリアのDXと組織内対話の実践

まず「デジタルをとがらせる」方針に転換した理由

――そこで方針を、横串での組織連携とシステム統合から、デジタル領域に先に成功のモデルを作り、横展開させていくやり方に舵を切ったそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

福井:半年ほど横串での組織連携を前提としたシステム統合に向け活動してみて、このまま続けていっても膨大なお金と時間と労力がかかるのがわかったので、その先の方向性を見直すことにしました。

 そこで、ソフトバンクがこれまでに行ってきた経営が、スモールウィンを積み重ねて結果を出すのを繰り返して横展開してきたこと。かつ、だからこそ意思決定が早く、スピード感を持って事業を進化してきたことを考慮した結果、システム開発によって数年間自由に動けない状態ができてしまうより、一旦は各部門でやれることをやった方が良いという結論に至りました。

 それで決めたのが、デジタルを立てることとAIによるスコアリングの活用です。

 何かを投じることに対し、どれだけ収益や効果を上げられるかを問われ続ける企業体質ですので、まずは3ヵ月である程度の成果を出すようにするということと、途中まで手運用でテストしたうえで、並行してシステムを作るやり方を提案して、「Salesforce Marketing Cloud」を導入する許可をもらいました。

スコアリングを活用してメール配信を最適化

福田:方向転換としてデジタルを「立てる」というのは、つまりどういうことですか?

福井:デジタルはデジタルでまずきちんとやるということです。具体的には、まずはメールに着目して、それを洗練化していくためにお客様のデータをもとにしたスコアリングを実施しました。

 というのも、他の企業との大きな違いとして、はじめから電話番号やメールアドレスという情報を持っているので、それまで無尽蔵にメールを配信してしまっていた。携帯電話の黎明期はメールがそれほど多くなかったため開封率9割という頃もありましたが、スマホに慣れたいま、その頃と同じようには見てもらえません。そこで迷惑と思われないような適切な形を0から考え直すことにしました。

 記録した行動から、AIによってチャーンレート(解約率)が高いと想定できる方、機種変更をしそうな方、子どもがいそうな方、サービスを利用してもらえるか、などをスコア化し、そのスコアを活用して送る送らないを選別し、送信するメールの件数を圧縮しました。数%以上のCVRが出るメールから実行し、善のスパイラルを作っていきました。

福田:それを実行する上で足りないパーツも出てくると思うのですが、それは部分的に開発したのですか?

福井:はい。スタートした時には、Webの行動ログなどを使いたくても、静的データからしかスコアが出せないなどの課題がありました。

 自分たちが得たいデータを得るため、足りないパーツは部分的に補っていき、いまは契約データとスコアを合わせて見たり、ログの収集も単ページだけでなく、ストーリーとしてどういう遷移をしていったのか、意味を解釈したりするフェーズに至っています。そのストーリーをスコアに変えられないかを試しているところです。

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DXに必要な人材の芽を摘まないことが大事

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35366

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