今後3年間でマーケティングはどう変化するのか
――今回の調査ではコロナ収束後も見据えて、今後3年間のマーケティングの変化についてもたずねています。この点について、おふたりはどのようにお考えですか。
秋津:この1年間、オンラインやデジタルでの活動が推進されたことがあり、デジタルツールを扱っている私たちにとってはある種の追い風でもありました。その一方で、ツールの活用を日常のお客様のビジネスプロセスに落とし込まなければいけないということの重要性をすごく感じた1年でした。
また、オンラインが世の中に浸透した中で、リアルや対面の重要性、人と触れ合う、会うことの重要性や稀少性がよりハイライトされたのではないかと思います。OMOやO2Oという概念がありますが、個人的には対面やディスカッション、オフラインで会える貴重な機会とデジタルを組み合わせながら、何かを検討していただいたり、変革に向かうきっかけを創出するマーケティング活動をしていきたいと思っています。
前田:デジタル化によって「便利になった」「楽になった」と思ったものを、ビジネスパーソンは手放さないのではと思うところがあります。たとえば、これまでは対面での商談がマストだったけど、デジタルになって簡略化されたり、オンラインで購買ができることを逆に「いいな」と感じているビジネスバイヤーもいるのではないでしょうか。
そうなったときに何が大事になるかというと、パーソナライゼーションではないかと思っています。今後、よりデジタルでお客様にアプローチしていく中で、おそらくBtoCだけでなく、BtoBの場面においてもパーソナライゼーションが肝になってくるのではないか、そう考えています。
――前回(2020年)調査では、マーケティング課題の上位は人材や組織面での課題でした。今回マーケティングのデジタル化に関する課題についてたずねたところ、いちばん多かったのは「デジタル化に向けた社内のナレッジが蓄積されていない」で4割超に達していたことに編集部では注目しています。
今回お話をうかがう中で、ナレッジの蓄積・共有という点で、Salesforceではマーケティング部門から営業部門への情報共有が自然に行われていることが印象的でした。
秋津:私たちは製品担当のマーケターとして、市場拡大への注力と同じくらい、当社製品をお客様に合ったかたちで提案できるメンバーを増やすことにも尽力しています。それは当社が提供する製品の複雑性が比較的高いことと同時に、購買判断するお客様の意思決定の難易度が高いことにも起因します。そのためには的確にお客様を導き、お客様とともに検討、構築、運用を進めていくスキルが必要です。それらを適切にハンドリングできる知識をマーケティング担当として営業にインプットする役割を持っています。
――部門間連携のひとつの形としてのイネーブルメントに刺激を受けるマーケターも多いと思います。今回は、調査資料の活用から、デジタル化への対応、貴重なリアルの場面をどう活用していくのかも含めて重要なポイントを議論いただき、ありがとうございました。これからの調査プロジェクトに活かしていきたいと思います。
※写真・資料提供:Salesforce.com
※「マーケティング最新動向調査 2021」のPDFで社内共有が可能なのは「PDF法人内共有版」となります。資料として活用される場合は、利用規約に基づいてご利用ください。
「マーケティング最新動向調査 2021」
1,000名を超えるマーケティング関係者の声を集約し、ツールの導入率・注力施策・予算配分など、日本企業のマーケティングの実態に迫る調査レポート『マーケティング最新動向調査2021』の詳細は、こちらからご覧いただけます。