高額商材もデジタルで営業を完結させるための施策
次に、ロボット技術を活かして製造業におけるファクトリーオートメーションなどを手掛けるIDECファクトリーソリューションズから、取締役 ロボットシステム部 部長の鈴木氏が登壇した。
同社では、ステップアップ戦略と題し「1:デジタルマーケティングの導入」「2:デジタル営業の仕組み構築」「3:マーケ&営業の連携強化」「4:カスタマーサクセス強化」の4つの段階を設け、デジタル営業へのシフトに取り組んできた。
まず2017年より「1:デジタルマーケティングの導入」のステップにおいて、HubSpotを実装したポータルサイトを運用し、認知向上からリードの獲得、ナーチャリング、MQLの獲得といった施策を行ってきた。
次に、2020年から「2:デジタル営業の仕組み構築」のステップへ移行。元々はオンラインの見込み客にリアルのショールームに来てもらい、実際にロボットを見て触ってもらうというのが王道の商談パターンであったが、コロナ禍でこれが難しくなったことから、ウェビナーの開催による新規リードの獲得、MQLへ積極的にウェブ商談を展開し受注につなげるなどの施策を実施。加えて、デモ機のレンタルも行うことで、コロナ禍においてもしっかり成果を上げられてきたという。
「特にウェビナーについては、これまでに6回開催し、回を重ねるごとに集客が伸びています。企画してから1カ月でスタートできたのは、我々自身も驚異的だと思っていますし、HubSpotのおかげだと考えています」(鈴木氏)
今後は「3:マーケ&営業の連携強化」のステップに向けて、引き続きウェビナーを開催し新規コンタクトを獲得するとともに、Sales HubのABM機能を活用してマーケティング部門と連携した営業活動を行っていくなど、課題解決に取り組んでいくとした。
買い手の求める価値を提供することで、信頼関係を築いていく
ここまでを振り返り、亀山氏は次の2つの重要なポイントを提示した。
1つ目は、「買い手の状況に合わせた売り方を作る」ということ。自社の営業活動を棚卸しして、本当に買い手にとって意味のある活動とそうでない活動を見直すなど、先の読めないコロナ禍では特に、営業スタイルや買い手の購買体験を常にチューニングしていくことが重要である。
また、売り手と買い手で営業スタイルへの意識にギャップがあるというセッション前半の内容については、「直接顔を合わせないと顧客の購入意欲を掴みづらいという現場の声はもっともなこと。こうした声に対して、我々HubSpot社としては、個人の感覚に頼らず営業管理をするフレームワークの導入を提案したい」と話す。
具体的には、あらかじめ設定された条件に応じて受注の可能性を判別する仕組みや、買い手の購入意欲のステージに合わせて営業担当者が次に取るべきアクションを明確にする仕組み、そして商談進行中にオンライン上での行動をスコア化し、営業の優先順位をつける仕組みなどが有効であるという。
2つ目のポイントは、これらを実現するための前提でもある「顧客情報と営業活動情報の一元管理」。HubSpotなどCRMツールやそれに類する仕組みを導入することで、あちこちに散らばったデータを探し集めたり、情報を重複して入力するなどの無駄が削減され、営業の生産性が上がり、顧客との信頼関係の構築にもつながっていくのだ。
最後に亀山氏は次のように述べて、セッションを結んだ。
「HubSpotは、企業の成長をサポートすることをミッションとしており、すべての事業は『インバウンドの思想』に基づいて展開されています。インバウンドとは、商品やサービスを売る前に売り手側が積極的に買い手側が求める価値提供を行い、信頼を醸成し、満足していただくという状態を実現するための思想です。売り手企業の全部署、全社員が顧客中心の考え方になることで、顧客との理想的な関係を構築できるのではないかと考えています」(亀山氏)
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