「ギガホになるモチベーションが高い層」を対象に広告を配信
――能動的にプランを切り替えるユーザーとそうでないユーザーに分けて、アプローチ方法を変えていたのですね。後者に対してはどのようにアプローチしていったのでしょうか?
伊藤:まず、D2Cのデータ分析チームとユーザーの過去のパケット通信量の利用傾向からモチベーションスコアを作成し、「ギガホになるモチベーションが高い層」を割り出しました。そして、モチベーションが高い人を対象にした配信リストを作成し、集中的に広告配信を実施していきました。
宮:最初は広告効果が見えてくるまでタイムラグがあるので少し不安だったのですが、最終的には目標の数字を達成できるようになっていったので、モチベーションスコアの精度を実感しましたね。
堤:またありがたかったのは、クリエイティブ面でのサポートでした。ドコモではマス広告でタレントを採用しているため、Web広告においてもそちらを転用する形でクリエイティブを作っていました。ただそうすると、クリエイティブがどうしても摩耗し、飽きられてしまう恐れがありました。
D2C Rさんとは本プロジェクトを進める際に毎週のようにミーティングを行っていたのですが、毎回様々なクリエイティブを提案してくださって。クリエイティブのトライ&エラーの方針を定めながら、クリエイティブをメディアごとの特性にあわせて配信していくことができたからこその成果だと感じています。
広告で得た知見を広げていく
――最後に、これからの展望をお聞かせください。
樋口:広告成果の可視化が難しいというお話をしましたが、それでも2年間の取り組みで徐々に正解が見えてきています。今後も目の前のCPAだけでなく、広告接触と来店などの他導線のデータも掛け合わせて分析し、最終的なKPIである成約に寄与できる広告配信をしていけるよう、打ち手を探っていきたいです。
伊藤:まだまだ色々な切り口で運用していけると思いますので、施策の幅は広げていきたいですね。またセグメントの入れ替えなど、少し時間がかかってしまう部分もあるので、よりシームレスに、タイムラグをなくす形でPDCAを回していける体制を、ドコモ様とも連携しながら作っていきたいです。
宮:このプロジェクトには膨大なデータを活用していますが、まだ一部手作業で行っている箇所もあります。より迅速に、そしてより最適な広告配信が行っていけるよう、そういった箇所をAIによって自動化していくことに取り組んでいきたいと考えています。
堤:今回は広告の取り組みを中心にお話しましたが、広告はあくまでユーザーアプローチのひとつに過ぎません。広告の運用で得た知見をもとに、オウンドメディアやメール、アプリなどのアプローチ媒体・コンテンツも増やしていくことで、ユーザーを育てていけるトータルアプローチを実現していきたいと考えています。