質の高い顧客体験を実現するための施策は?
最後に、回答者の勤務先における年間売上高の規模別にクロス集計を行った結果を紹介する。回答者の割合は、「1億円未満」が11.2%、「1億円以上10億円未満」が15.7%、「10億円以上100億円未満」が21.8%、「100億円以上500億円未満」が17.7%、「500億円以上1,000億円未満」が5.6%、「1,000億円以上」が19.3%である。
設問は、データ分析の主目的の1つとなる顧客体験改善・向上について尋ねた「質の高いCX(顧客体験)を実現するために実施している施策は何か」を取り上げる(図表6)。
施策として実施率が高いのは「カスタマージャーニーを意識したマーケティング施策の最適化」で、「売上高1,000億円以上」で52.2%、「売上高10億円未満」で36.0%に。売上規模が下がるにつれて実施率は低下していくが、それでも売上規模を問わず高い割合となった。
2番目に実施率が高いのは「顧客への対面/非対面でのインタビューをもとにした製品・サービスの改善」。データ分析にはたいてい定量データが利用されるが、一方でインサイトを掴むため顧客に直接インタビューを行っている企業が少なくない。すべての売上規模で実施率が30%台となっており、定量と定性の両データを重視する傾向はより強まっていきそうだ。『マーケティング最新動向調査2021』では売上規模別だけでなく、ビジネス形態別(BtoCかBtoBか)でもクロス集計している。
マーケティング担当者が売上にどのように関わっているかを見ると、「売上は、マーケティング担当者の直接的な評価に関わるKPIとなっている」は、BtoCでは27.4%、BtoBでは19.8%と7.6ポイントの開きがあった。また「売上は、別部門の管理指標であり、直接的な関わりはない」については、BtoBが35.8%、BtoCが23.6%と12.2ポイントの開きがあった。
自社に近い売上規模、ビジネス形態の企業の動向を探ることで、より客観的に自社のマーケティングの方向性を検討することができるだろう。
本調査の全結果とクロス集計の結果に加え、「マーケティングをめぐる近年の動向の概観」や「主要マーケティングプラットフォーマーの動向」をまとめた『マーケティング最新動向調査 2021』は、翔泳社のECサイト「SEshop」でのみ販売しております。