メンバーへ利用定着させた5つのポイント
――先ほどおっしゃったように、新しいツールを社内で定着利用させることは容易ではないと思いますが、実際に御社の中でどのような取り組みをされたのか教えていただけますか。
大川:利用定着においては、次の5つがポイントだったと分析しています。
利用定着5つのポイント
1.経営層の協力
2.リソース確保
3.負担を減らすための事前準備
4.現場営業へのフォロー体制
5.入力しないと“困る”仕組み
大川:冒頭で説明した通り、導入前に他社にCRM導入についてヒアリングしたのですが、多くのケースで部分的にしか使われておらず、それは社内メンバーの過去のツール導入経験とも一致していました。そうした情報をもとに、CRM導入の難易度の高さと、マネジメント層がコミットすることの必要性を共通認識として持つことができ、マーケティングプラットフォーム事業の取締役が旗振り役を買って出てくれました。複数の経営メンバーがコミットする体制で進めていけた点は大きかったと思います。
当社は経営陣から導入プロジェクトが始まったため社内での理解を得ることは難しくありませんでしたが、より多くのメンバーがメリットを感じるように導入の合理性を説明すること。特に、データ管理による生産性の向上や工数削減効果を可能な限りイメージできるように示すことを意識していました。
増田:2点目のリソース確保では、チームの拡充を図りました。契約から当初の3ヵ月は、私と大川、担当エンジニアの3名で、うちフルコミットしているのは私だけというメンバー構成でしたが、各所でミーティングや準備を重ねるうちに要望とタスクが膨らみ、スケジュールが押してプロジェクトが回らない状況に陥ってしまいました。そこで、Techチームからの参画人数を増員して分業体制を確立することでスピード感のある導入を可能にしました。
3点目の事前準備については、まず色々な場所で分散管理されていた会社情報と担当者情報を全チームから回収してHubSpotに移行し、「ログインしたらすぐに使える」状態にしていきました。また各国にヒアリングし、商習慣に合わせた営業パイプラインへのカスタマイズを実施。さらに、営業がすぐに使える「売上レポート」を作成しておきました。
事前準備のあとは、ポイント4点目の営業へのフォローとして、「導入ガイダンスの実施」「社内にHubSpot Q&A専用チャット窓口を設置」「オンラインwikiページの開設」の3つのプログラムを実施しました。専用チャットは現在も稼働しています。
増田:最後のポイントとなる5点目、入力しないと営業メンバーが困る仕組みについては、営業ミーティングにHubSpotのダッシュボードが使われるということを周知し、文字通り入力しないと困る状況を構築しました。さらにはカントリーマネージャーやマネジメント層のミーティングでも使用することで、マネージャーが常に数字を確認し、入力不足が発覚した場合には各メンバーへ入力を促す流れを作りました。
最終ゴールからの逆算が成功の鍵
――フォロー体制が手厚いですが、これだけのリソースを投入できた理由は何でしょうか。
大川:やはり経営層の中で「情報をリアルタイムに一元管理する」という原則が定まっていたことでした。その最終的なゴールから逆算して必要なサポートメンバーをアサインしながら、フォロー体制を構築していけました。
その一方でHubSpotさんにも、当社独自のカスタマイズ要望をはじめ様々な相談に対して迅速かつ的確にご対応いただき助かりました。HubSpotの定着をゴールに見据えて、丁寧にサポートをしていただいている印象を持っています。
――導入を浸透させるプロセスは大変なものだったと想像しますが、中でも困難と感じたポイントはありましたか?
大川:HubSpot上の情報精度の向上に苦心しました。たとえば情報の入力漏れだけでなく、入力後にキャンセルや変更があったのに更新し忘れるなど、情報の精度を上げる上でのハードルが存在しました。
解決策として、HubSpotをベースとしたダッシュボードの数字と会計数値をファイナンスメンバーが月次決算のタイミングでチェックし、数字に差違が発生した場合にはなぜ発生したかを報告してもらうような仕組みを構築しました。
当初は乖離が発生することがありましたが、そのたびにマネージャーたちと議論を重ねて起こる原因を議論し、情報の精度を高めています。
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