プロが衝撃を受けたアップデートと変化
MZ:ちなみに、お二人が最も衝撃を受けたアップデートは何でしょう?
若菜:自動入札の進化ですね。最初はそれこそ広告ごとに手動入札していく形から、一気にグループ単位で自動入札ができるようになり、CPCやCTRに最適化していたものが、コンバージョンやCPAへの最適化もかかるようになりました。その結果、配信を伸ばした案件が一気に増えた印象があります。
野嶋:私の場合は、2019年の6月頃に動画フォーマットのインプレッションのカウント数が変わったことです。それまでは、クリエイティブ領域が1ピクセルでも表示されたらインプレッションとしてカウントされたのですが、100%表示しか、インプレッションとしてカウントしない形式に変わったんです。CPAが突然下がりましたね……。結果、静止画中心から動画へと、トレンドが変わっていった印象です。
MZ:LINE広告の動画フォーマットについて、他のプラットフォームと比べてどのように評価していますか。
野嶋:LINE広告では動画のサムネイルの設定ができないので、動画の0秒地点をアイキャッチの高いデザインに設定するなど、工夫が必要です。その点は改善の余地があるかもしれません。
若菜:動画はほかのプラットフォームに比べてCTRにばらつきがある印象はあるものの、気軽に試せる良さを評価しています。たとえば、静止画で効果の高いものをベースに、ちょっとだけ動きを付けてみるだけでも、効果に差が出ます。なかなかクリエイティブの制作に工数や予算をかけられない場合でも、ライトな形での導入を勧めることができますね。
他の追随ではなく、“LINEらしさ”に期待
MZ:これからのLINE広告の進化に何を期待していますか?
野嶋:LINE広告は後発といっても、他のプラットフォームに追随する必要はないと思っています。LINEは月間利用者数8,800万人(2021年3月末時点)という圧倒的なユーザー数、コミュニケーションアプリとして人々の生活に広く浸透しているという強みがあります。他のプラットフォームにはない、コミュニケーションアプリの強みを生かした進化や新たな広告メニューが出ることを期待しています。
若菜:私は今後のデータ活用のさらなる進化に期待しています。特にターゲティングのデータ活用ですね。より使いやすく、わかりやすい機能の拡充を期待していますし、ロイヤルユーザーのデータだけでなく、デモグラ属性やサイコグラフィックデータなどいろんな種類のデータが活用できると、ターゲットの設定もより行いやすくなるのではないでしょうか。
個人的な感覚では、LINE広告は広く新規ユーザーを獲得していく目的には相性がいい一方で、ターゲットがニッチな商材やBtoB向けのサービスに関しては、やや不得手なところがあると思っています。そこにいかに切り込んでいけるかは、まだ改善の余地があると思いますし、今後の展開に期待しています。
黒岩:ありがとうございます。お話を伺って、私たちのやりたいことと、期待されていることの間にそれほど乖離がないことがわかりました。企業やユーザーに対してよりLINEならではの価値を提供できるように、これからも進化し続けたいと思います。