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広告を作るだけがクリエイターじゃない、ネット時代に必要なクリエイティビティとは?


フリーのコピーライターは企業のカウンセラー

小西
この間も、フューチャーテキストの前田さんと話した中で「世の中には、将来こうしたいとかイメージは思っているんだけど、なかなか言葉にできないっていうケースが多い。コピーライターのように、概念を言葉にできるっていうのは凄い価値なんだ」っていう話になったんですよね。僕は最近それをすごく感じるんですよ。

この間、ある経営者の人と話したんですけど、その時もカウンセラーみたいな感じで・・・。話を聞いているうちに「社長が言ってるのって、つまりこういう言葉じゃないですか?」って言ったら「そうそう、まさにそれなんだよ」っていう風になって。

企業のコミュニケーション領域で、そういうコンサルタント的なプロが不足してるんじゃないかなと。大貫さんや可士和さんはデザインで回答を出すわけで、僕の場合は言葉になるわけです。
―――
それって、でも博報堂にいたときの仕事と違うのかな?
小西
本質的には一緒でしょうね。

でもやっぱり、既成概念を壊す仕事といいながら、既成概念にとらわれていたんだなぁと思うところはあります。広告会社の場合、オリエンをもらったらそのオリエンへの回答を「広告」で返さなきゃいけないんですよね。

でも独立すると、そういうのは無いじゃないですか。無理に「広告」で返す必要がない。「相談にのって、状況を整理して、1行の言葉に集約させて、終わり」というケースもあれば、「演劇の脚本を書く」ケースもあれば、「歌詞を書く」ケースもあるかもしれない。

広告でなくてもいいんですよね。

「なんとなくモヤモヤ」を整理する仕事

―――
広告会社にいるときは「広告をつくってください」というオリエンから仕事が始まるのが、今は「何となくモヤモヤしてるんですけど」という相談から始まる仕事もある、ということ?
小西
広告を作るって既に決まっている段階で企業からオリエンを聞く場合、もうそれは悩みとしては既にその企業の中でかなり整理されているんですよ。自分たちの課題や悩みがある程度把握できているからこそ、オリエンできるわけです。

「これこれこういうことを、広告としてやりたくて」っていう風にオリエンをもらって、それを広告会社は「そのオリエンでしたら、こう表現したら効果的ですよ」と広告表現という回答を返していくという仕事のサイクルじゃないですか。

「今年も花粉症で鼻水が出るんで薬ください」というオリエンで「今年はこの薬がいいですよ」という回答をかえす。そんな感じです。

もしくは「建てる家の設計は決まっていて、内装プランを提案してくれ」みたいなね。一方で、それより前のもっと整理されていない悩みというか「なんか最近調子が悪くて・・・」という段階で企業が相談をできる人が少ない。

広告会社だと、その回答が基本的に「広告」になっちゃう。もちろん、広告会社には違う方法での解答も存在するし、それを模索していると思うけど、なんだかんだ言ってもやっぱり「広告」が核になることが多い。

でもフリーのコピーライターやアートディレクターだと、必ずしも「広告」である必要がない。だから「なんとなく」の段階でも相談できるんじゃないですかね。まだモヤモヤの原因が分かっていないものを、整理してピックアップするのに僕らは便利がられる。

「なんとなく調子が悪いなぁ」と言われた時に「あなたがモヤモヤして気分が悪いのは、最近、異性とのコミュニケーションが足りないからです!」とか、言える人。

その時に「じゃどうすればいいんですか?」と聞かれると思うので、答えが「いや、知らないです。それはあなたが考えてください」ではダメで、「まずヘアスタイルから変えましょう」とか「金曜日に合コンをセッティングしますよ」とか、より具体的でその症状にあった対処法もあわせて提案する(笑)。そういう風に、答えまで用意できるのがコピーライターとかアートディレクターなんだと思います。

次のページ
媒体を使った「広告」である必要はない

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この記事の著者

小越 崇広(オゴシタカヒロ)

サイバーエージェント入社後自社メディアの営業・プランナーを兼務し、 新興メディア上でのコミュニケーション立案に携わる。2006年11月同社のネット トレンド研究室立ち上げに参画。翌1月から同社の100%出資子会社のCAテクノロ ジー に出向。同社のマーケティング局の立ち上げに奔走している。個人ブログ は今日のニッパウ。Tw...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2008/06/18 09:51 https://markezine.jp/article/detail/3656

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