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特集:戦略実行を支える、強いチームの作り方

目標の絞り込みとデータ経営がカギ WORKMAN Plusを生んだ組織運営

「全社員参加のエクセル経営」は変革マインドそのもの

――続いて、エクセル経営についてお聞きします。様々な企業がデータ活用を強化していますが、まさに目的と手段が入れ替わりやすい施策でもあると思います。御社ではどのように進めているか、お話しいただけますか。

 ワークマンのエクセル経営はとてもシンプルで、全社員が経営に参加できるようにすることが目的です。課題を発見して実験し、データを使って検証結果を出す。その結果を基に議論をする。上司の仕事は、出てきた結果をどの範囲まで適用するか判断することで、勘と経験で決定した内容を部下に実行させることではありません。部下のほうも「気付いたことがあれば相談しよう」という“報連相”では全然ダメで、自分で動いて結論を出して、それをデータで示してもらいます。

 変革の過程では、それが正しい方向に進んでいるかを都度確認する必要があります。ある変化に対して検証し、議論する材料になるのがデータです。データ経営は、変革に必要なマインドとアクションそのものだと思っています。

――社員はデータ分析のスキルをどのように習得しているのでしょうか。

 どんな研修も、広く浅く、とにかく易しくし、自信を持ってもらうようにしています。研修の終わりに試験もあるのですが、平均点は90点くらいになるよう設定していますね。1日間の研修を6回受けてもらうことで、マクロやピボットテーブルまでを習得でき、すごい人はVisual_Basicを使って自主的に分析ソフトを作るところまでいきます。

 たとえば「未導入製品発見ツール」。店舗番号を入れると、その店舗で扱っていなくて他の店舗で売れているものが、売れ筋順に出てきます。これでスーパーバイザーの仕事の仕方が大きく変わりました。ツールを作ったのは、エクセルを使い始めて6ヵ月、入社後もどちらかというと気合いで勝負してきた社員だったので、私も驚きました。

 現在は新卒社員にもトレーニングの機会を設けています。ワークマンの場合、2年間は「研修ストア」と呼ばれる直営店の店長になってもらいます。店長としての基本的な業務や製品知識はだいたい1年で身に付きますので、2年目からは自分で課題を見つけ、分析し改善してもらうのです。たとえば売り場の陳列方法やキャッチコピーを変えるとどうなるか。月1回、レポートにまとめて提出してもらい、教育部長や分析チームがフィードバックしています。

――スキルに加え「問題を見つけて改善していこう」というマインドも浸透していることがうかがえます。こうした土壌を作るために大切なことは何だと思いますか。

 行動原理をデータに置くこと、たとえば部下が上司と違う考え方をしても、それが正しい分析に基づく意見であれば、「君の考えが正しいね」と認めることではないでしょうか。かつてこんなことがありました。テレビCMでA案、B案のどちらかを選ぶ時、私がまず「A案がいい」と言ったんです。担当部長、マネージャもそちらがいいと。あと2人、若手の社員がいたのですが、彼らがデータを使って「B案のほうが良い」と反論したんです。多数決では「3対2」なのですが、B案に決めることにしました。私たちが触れていなかった論点に気付いて、データで検証して整然と意見してくれたので、「よく勉強しているね。やっぱりそっちがいい」と。

 会社では「私の言うことの50%は間違っている!」と公言しています。実際に勘と経験が通用しにくい時代になっていますし、そう言うと、社内の知恵がどんどん集まってきます。

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レピュテーションマーケティングの拡大再生産に注力

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/01 16:15 https://markezine.jp/article/detail/36760

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