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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

特集:戦略実行を支える、強いチームの作り方

目標の絞り込みとデータ経営がカギ WORKMAN Plusを生んだ組織運営

レピュテーションマーケティングの拡大再生産に注力

――最近のお取り組みの様子を教えてください。

 今は製品戦略が6割、アンバサダーマーケティングが3割、空間戦略が1割のバランスで進めています。

製品戦略6割

 高機能・低価格という強みを活かす。競合が数年は追いつけないヒット製品を作る。

アンバサダーマーケティング3割

 製品開発アンバサダー(以下、アンバサダー)に参加してもらい、開発段階からお客様の声を取り入れている。アンバサダーとワークマンはWin-Winになる仕組みを構築。製品開発に協力してもらい、製品を広めてもらう代わりに、ワークマンは新製品のリリースを会社から発表する前に、アンバサダーに紹介してもらう。するとアンバサダーはSNSやブログのフォロワー数、PVなどを伸ばすことができ、収入につながる。

空間戦略1割

 かつては「空間戦略3割」だったが、WORKMAN Plusの成功で、アンバサダーマーケティングにより注力するように。製品は同じでも、レイアウトや見せ方を変えることで客層を拡大。作業服の「ワークマン」では、ほとんどの商品を“吊るし”で売っていたが、一般客を意識したWORKMAN Plusでは、製品を平積みにしたり、マネキンを多用したりすることで、着用イメージや使用シーンを訴えた。広い試着室や姿見も設置した。

――特に注力しているのはどんなことですか。

 一つはレピュテーション(評判)マーケティングを拡大再生産していくことです。今後10年で400〜500店舗を開店する計画ですが、販促費をかけずに拡大していこうと考えています。

 たとえば昨年から「#ワークマン女子」(図表1)という新しい形態の店舗を出しているのですが、これはまさにレピュテーションマーケティングのための仕掛けで、どのくらい効果があって、いくらまでなら投資しても良いのかを検証しています。

図表1 1号店の「#ワークマン女子コレットマーレ店」
図表1:1号店の「#ワークマン女子コレットマーレ店」

 私たちは簡単に「店がバズる」と言いますが、どういう条件があるとバズるのか。たとえば、100人のお客様が来店してくれたとして、そのうち何人が投稿してくれると行列ができる店になるのか。鏡や試着室に写真を撮りたくなるような仕掛けを用意すると、実際にどれだけの人が“Instagramの素材”と解釈し、投稿してくれるのか。何らかの分岐点があるはずですので、アンケートなどを用いて調べているところです。

 もう一つは「ストーリーのマーケティング」のノウハウを社員に伝えていくことです。レピュテーションマーケティングをうまく回していくには、ストーリーをもった製品を作り、発信していくことが重要です。たとえば、裏返すと作業服になるスーツ「SOLOTEX®リバーシブルワークスーツ」。発売時のプレスリリースには「作業服トップと紳士服大手チェーン間の『ワークスーツ』の価格戦争になる!?」というキャッチーなサブタイトルを付けました。一緒に開発してくれたのは、兼業主夫/ファッションアナリストの山田耕史さんで、シンプルでスタイリッシュなデザインを提案していただきました。実は「ワークマンをユニクロにしたい」というのが彼のたくらみだったのですが、ワークマンはそうはさせまいとジャケットにフードを付けた(笑)。こういう経緯を迫力のあるストーリーとして伝え、お客様やメディアに話題にしてもらうにはどうするか、そのノウハウを社員たちに伝えているところです。

――最後に、部門を超えた事業変革に向き合うマーケターへのアドバイスをお願いいたします。時に製品開発部門とマーケティング部門で摩擦が生じてしまったり、前例に囚われて進めなくなってしまったりすることもあると思います。マーケターはどんな心構えで、変革を進めていくと良いのでしょうか。

 マーケティングは達成のための手段です。製品が目的であり、主張である。会社全体の変革の中で、マーケティングは「最後の一撃」を担う部門という位置づけが良いのではないでしょうか。

 確かに、マーケティングには決定力があるんです。実際にワークマンも、かつて一般客向けのPB製品を強化したことがあったのですが、売上が増えたかというと、年間3〜4%しか増えなかった。ところが、店舗の空間や見せ方、プロモーションを変えると売れるようになった。飽和の時代なので、製品の力だけでは売りにくくなっています。

 でも、やっぱりマーケティングがあまり前に出すぎないほうが据わりが良い。まずは製品ありきで、次に店舗です。WORKMAN Plusが成功するまでのワークマンも、そのバランスで進めました。他部門への気配りという側面もあるのですが、マーケティングは決定力を持ちながらも黒子に徹するのが良いのではないかと考えています。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/01 16:15 https://markezine.jp/article/detail/36760

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