思考を停止させない、流動的で垣根のないオープンな組織体制
――プレイドでは、組織や役割を固定化せず流動的に動いていると聞きました。どのような組織構造になっているのか、まずは全体像を教えていただけますか?
そうですね、私自身もコミュニケーションディレクターという肩書きが一応ありますが、勝手に名乗っているようなものでして、所属や役割はラベルくらいの感覚です。組織としても、プロダクトを作るチーム、バックオフィス関連の業務を担当するチーム、残りのビジネス全体に関わるチームとざっくり3つに分けている程度です。それぞれのチーム内の編成もガシガシ変えてしまいます。
――ガシガシ変えるとは? どういったイメージでしょうか?
たとえば、セールスとカスタマーサクセスの担当をそれぞれ集めて4人組のユニットのような形を作って動かしてみたり。さらにインサイドセールスの役割もそのユニットの中に入れて、最初の問い合わせ対応から商談、受注、最後のお客様サポートまで全部一貫して取り組むようにしてみたり。ユニットの組み方をいろいろ変えながら試してみる、ということはよくやっています。
ビジネスでなにか課題にぶつかったら、組織やチームの形を変えて課題解決を図るアプローチですね。我々はまだ小さい会社で、組織を動かしやすい状態だからできることだと思います。
また、我々がやらないように意識していることのひとつに、「思考しなくても済むようなルールをつくる」ということがあります。たとえば、組織を固定化してしまうと、状況が変わっているのに古いものに囚われてしまったり、そのせいで議論が進まなかったりといった弊害が出てきてしまいます。組織を固定化しないだけでなく、ルールも最小限にしていて、とにかくその場で考えることを大事にしています。
――スタートアップならではのスピード感とプレイドらしい自由な発想がなぜ生まれるのかがわかった気がします。
我々のプロダクトはまだまだ未熟な部分があり、そもそもSaaSという形態ではプロダクトを提供するだけでは価値になっていないと考えています。KARTEをお客様に使っていただいて、その先のエンドユーザーの体験が良くなった時に初めて価値が生まれる、BtoBtoCのビジネスなのです。最近よく聞く「マーケティングは売って終わりではない」というのは、まさに我々のようなSaaSのプロダクトに直結する言葉ですね。お客様からフィードバックをいただいて、それをプロダクトの改善に活かし、どんどん磨いていく、その結果プロダクトがより市場で受け入れてもらえるようになる。この一連の活動すべてをマーケティングと捉えています。
組織としても、便宜上マーケティングチームのような部門を設けていた時もあるのですが、2年ほど前に解散しました。当時のメンバーは、それぞれのチームで活躍してくれています。
――組織全体に顧客と向き合う姿勢があるのですね。全社でこうした雰囲気を作るために、大事にされていることはありますか?
BtoBの場合、「こんな課題が解決できます」「コストがこれだけ削減されます」といったアプローチになりがちですが、同じ世界を目指す仲間になってもらうようなコミュニケーションを心がけています。いま契約してもらうことだけを考えるのではなく、我々の仲間になってもらわないといけないよね、ということは繰り返し言っていますね。使う言葉ひとつでも、社内のSlackで目につく度に1日何度も言っているので、もしかしたら相当うるさいと思われているかもしれません(笑)。
その他の象徴的な取り組みとしては、3年ほど前からお客様のことをユーザーではなく“KARTE Friends”と呼んでいます。ささいなことですが、目指す世界観の共有は徹底しているところです。
また、今年から始めた取り組みとして、KARTEの契約の有無に関係なく、プレイドやKARTEのファンが増えるための活動をする遊軍的なチームがあります。CXの考え方を啓蒙するワークショップやオンラインコミュニティの運営、ファンへのインタビューなどを通して、我々の理念や世界観を一貫した形で伝える活動もしています。