SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

“モバイルヒーロー”と考えるアプリマーケターのキャリア(AD)

ゲームアプリのマーケターに必要な資質とは ココネのペティ氏とMOTTOの佐藤氏に聞く

 マーケティング手法の多様化にともない、マーケターのキャリアプランも選択の幅が広がっている。本連載では、アプリマーケティングの第一線で活躍するマーケターを取材し、そのキャリアから成長のヒントを探る。第2回のゲストは、ココネのペティ氏とMOTTOの佐藤氏だ。両者の歩みを振り返るとともに、ゲームアプリ業界が抱える特有の課題や、その解決に必要なマーケターとしての資質を聞いた。

気が付いたらマーケティングをやっていた

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずはお2人のご経歴と、現職での業務内容についてお聞かせください。

ペティ:母国であるフランスから来日した後、数年間はフランス語の教師を務めていました。ココネに入社したのは2018年です。最初はパズルゲームアプリのローカライズを担当し、2019年からマーケティング室に所属しています。現在はキャラクター着せ替えアプリ「ポケコロ」と、姉妹アプリ「ポケコロツイン」の新規ユーザー獲得を主なミッションとして、業務にあたっています。

ココネ マーケティング室 User Acquisition Manager ペティ・フロリアン氏
ココネ マーケティング室 User Acquisition Manager ペティ・フロリアン氏

佐藤:私はドリコムからキャリアをスタートし、エキサイト、ディー・エヌ・エーを経て起業しました。スマホ元年とも言える2011年、ディー・エヌ・エーでモバゲーのスマホ移行を推進し、以来10年間100タイトル以上のスマホゲームのマーケティングを担当してきました。2018年に立ち上げたMOTTOでも、スマホゲーム、アプリ、エンタメを中心にクライアント企業のマーケティングを支援しています。

MOTTO 代表取締役 佐藤基氏
MOTTO 代表取締役 佐藤基氏

MZ:お2人がマーケティングに携わることになったきっかけを教えてください。

ペティ:新規のお客様を増やしたいという会社の方針を受け、ASO(アプリストア最適化)にひたすら取り組んだことがきっかけです。それなりに成果を得られたこともあり、デジタルマーケティングに興味を持ち始めました。本格的にマーケティングへ取り組みたいと会社に申し出て、現職に至ります。

佐藤:私の場合、スマホビジネスに関わっていたら、結果としてマーケティングの領域に足を踏み入れていました

マス含めオンオフを経験できるのが醍醐味

佐藤:たとえば、2社目のエキサイトではポータルサイトを運営していたので、情報コンテンツをユーザーに届けるのが仕事です。価値ある情報をどのデバイスでも閲覧できるようにするため、比較的早期からスマホへの対応を進めていました。スマホユーザーにコンテンツを届ける――これぞまさにマーケティングですよね

 ゲームも、早くからスマホに対応していたビジネスモデルの1つです。マーケティングをやるために入社したのではない私のような人が、気が付いたらマーケティングをやっているというのは、インターネットの世界ならではの現象かもしれません。

MZ:ゲームアプリのマーケターだからこそ経験できたことはありましたか?

佐藤:ゲームのマーケティングを通じて、デジタルはもちろん、マスマーケティングやオフラインマーケティングにも関わることができました。テレビCMを打てる商材はそう多くないので、20代でこれらの経験が積めたのは、ゲーム業界にいたからこそだと思います。おかげで、「デジタルとマスを掛け合わせたらどうなるのか」「成果をどう評価すべきか」といった知見を得ることもできました。

ペティ:私は、プロダクトとそれを使ってくださっているお客様を理解することがいかに大切かを学びました。ゲームアプリのプロモーションとは、単にゲームのバナーをWebに表示して、ユーザーが入ってくるのを待つだけはありません。お客様を理解し、そのお客様の潜在ニーズを満たすことができるか、商材であるゲームのユニークさや体験をどれだけ伝えることができるのかが重要です。

ヒットに欠かせない「継続的な工夫」と「独自価値の提案」

MZ:ゲームアプリのマーケティングが持つ特徴や課題を教えてください。

ペティ:競合が多い点が特徴であり、課題だと感じます。アプリストアには無数のゲームが並んでおり、その中でいかに自社のアプリをアピールするのか、常に考える必要があります。

 また、うまくアピールできてお客様がダウンロードしてくれたとしても、継続してもらうためにはさらなる工夫が必要です。今年で10周年を迎えた弊社アプリのポケコロは、10年間のプロモーションでほぼすべての訴求軸を試してきました

2021年9月で10周年を迎えるポケコロ
2021年9月で10周年を迎えるポケコロ

佐藤:同じエンタメコンテンツでも、映画の場合はその時に上映されている他の作品との勝負になりますが、ゲームの場合は10年選手もいれば新規参入もあります。これほど競合が同時多発的にある業界は珍しいです。ゲームの提供企業は独自の価値を提案するUSP(Unique Selling Proposition)のようなものを磨いておかなければ、ユーザーがすぐに離れてしまいます

ペティ:ポケコロは「可愛い着せ替えアバターアプリ」として知られていますが、なかなかそのイメージから抜け出せずにいます。10年間運営しているサービスなので、新しい層を獲得するためにどうアピールするかだけでなく、アプリの内容を変えていくことも含めて取り組む必要があると感じています。

積極的なインプットと変化への適応能力が求められる

佐藤:ゲームがたくさん存在するということは、お客さんがたくさんいるということでもあります。先発・後発を問わず“勝っている”ゲームは、差別化ができているんです。

 差別化で大切なのは、まずプロダクトの中身を磨くこと。だからゲームアプリは開発が重要で、開発チームの立場が強くなります。差別化をするためには、開発段階においてもマーケティングが重要です。つまり、マーケターは開発段階からアプリに貢献することが求められているのです

 魅力の差別化ができれば勝てる市場なので、ゲームアプリのマーケティングはやりがいがあります。簡単ではありませんが、諦めてはいけないポイントなので、関係者が全員でやり抜くべきだと思います。

 ペティさんが「全ての訴求軸でプロモーションを試した」とおっしゃいましたが、論理的に導き出せるというフェーズはもう終わっており、クリエイティブな要素が求められてきたと感じます。

 クリエイティブネスはプロダクトから生まれる部分も大きいので、マーケターが一般的な職務領域でコントロールするのは難しいところでもある。「マーケターが自分のエリアを広げていかなければ差別化は作れない」というのは、ゲームアプリ以外のジャンルでも聞かれるようになりました。

MZ:いまお話しいただいたような課題を考慮すると、ゲームアプリのマーケターに求められる資質はどのようなものだとお考えですか?

ペティ:ゲーム業界はトレンドの移り変わりが早いです。ARや5Gなどの先端技術があり、それらを利用できる最新のスマートフォンに向けてゲームを作っているからです。競合やお客様の気持ちも常に変化していますし、プロモーション手法の幅もどんどん広がっています。

 そのため、ゲームアプリのマーケターには高い適応能力が求められると思います。トレンドを把握し、記事や事例を読み、人と話し、情報をキャッチアップする。そういうアクションを起こせる人が向いているのではないでしょうか。アウトプットも大切ですが、そのためには常にインプットすることが非常に大事です。

ゲームのマーケターに向いているのは「夢中になれる人」

佐藤:ゲームアプリはBtoCのサービスです。会社の立場や仕事の定義にとらわれて主観で仕事をしてしまいがちですが、マーケティングが成功する時はユーザーのことを理解できている時なんです。

佐藤:ユーザー視点で客観的に仕事ができる人は、ゲームアプリのマーケターに向いていると思います。自分の仕事やユーザー、コンテンツに対して夢中になれる人がいいですね。

ペティ:ポケコロのチームメンバーは約100人のうち6割がデザイナーで、その大半はポケコロが好きでココネに入社した人たちです。サービスへの愛がアイテムやキャラクターの動きに表れていますし、お客様にも伝わっていると思います。

佐藤:BtoCは“おもてなし”のビジネスモデルなので、効率だけを考えるとやらなくていいことも、成果の最大化には必要だったりします。愛や夢中になれる気持ちがないと、コスパの悪いことには挑戦できませんよね。

人との交流からしか得られない学びがある

MZ:お2人とも、Liftoff Mobileが運営するアプリマーケターのためのコミュニティ「Mobile Heroes」に参加されていると伺っています。コミュニティの活動に対する期待感を教えてください。

佐藤:すごくいい取り組みだなと思います。実は今日初めてフロリアンさんとご一緒したのですが、参考になる話がたくさんありました。マーケターにとって、情報や学びを共有し合える場所は大切です。

アプリ業界でマーケティングに携わる人のためのコミュニティ・Mobile Heroes。主にブログを通じたナレッジの共有や、定期的なMeetupの開催によるネットワークの創出など、アプリ業界のさらなる発展を目指して活動を行っている。2015年にアメリカでスタートし、日本での活動にも力を入れている。</p>
アプリ業界でマーケティングに携わる人のためのコミュニティ・Mobile Heroes。
主にブログを通じたナレッジの共有や、定期的なMeetupの開催によるネットワークの創出など、
アプリ業界のさらなる発展を目指して活動を行っている。
2015年にアメリカでスタートし、日本での活動にも力を入れている。

佐藤:ゲームはプロダクトが主役なので、開発者の立場が強くなりがちだと述べましたが、競争が激しくなるとマーケティングの重要度が高くなっていきます。マーケターが活動の幅を広げ、「より魅力的なプロダクトを作り」にまで影響を与える存在になるためにも、我々はもっと表に出る必要があると思います。

ペティ:以前、色々なデジタルマーケティングの記事を読んでいた際、「アメリカにはマーケターが集うコミュニティがある」と知り、そういう輪に自分も入れるといいなと思っていました。日本でMobile Heroesが活動を始めると聞いた時は嬉しかったですね。

MZ:今後Mobile Heroesの活動が本格化すれば、他領域のモバイルヒーロー(Mobile Heroesの参加メンバー)との交流も盛んになりそうですね。最後に、アプリマーケティングに興味を持つ“未来のモバイルヒーロー”に向けて、メッセージをお願いします。

佐藤:ゲームアプリのマーケターは全方位的なマーケティングに関わることができるので、最初のキャリアとして選択してもいいと思っています。私のように気が付いたらマーケターになっていた人間が、こんな風に取材を受けているのも夢がありますよね。こんな魅力的な仕事は、なかなかないんじゃないでしょうか。

ペティ:マーケターが1人で解決できることは限られています。私はマーケティングの知識がなかったので、機会があれば他社のプロモーション担当者や広告代理店の担当者、アドネットワークの方などと積極的にコミュニケーションを取っていました。

 Webには情報が溢れていますが、人と話すこと/聞くことによって色々な気づきを得ることができますし、刺激も受けられます。これからマーケターになりたい方は、コミュニケーションを大切にすると良いのではないでしょうか。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/09/30 10:00 https://markezine.jp/article/detail/36969