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不確実な時代を乗り越える「マーケティング戦略の大転換」― 突破口はゼロパーティデータとロイヤル顧客(AD)

見るべきデータはこれ!アクティブ藤原氏が明かすECの売上とロイヤルティを高めるポイント

 チーターデジタル ジャパンのWebセミナーシリーズ「マーケティング戦略の大転換」、第9回には、デジタルマーケティングのコンサルティング事業を手がけるアクティブ合同会社CEO 藤原尚也氏をゲストに迎え、「ECで売上をアップする秘訣とは?」と題し、これまで数多くの企業の売上アップを実現してきた同氏のノウハウを伝えていただいた。EC担当者はもちろん、マーケターにとっても必見の内容をダイジェスト版の記事と動画本編でお届けする。

まずは顧客構造の理解から

↓「マーケティング戦略の大転換」第9回のダイジェストはこちら↓

「マーケティング戦略の大転換」Webセミナーシリーズ【第9回配信】トレーラー
本編はこちらから

 今回のWebセミナーでは、これまでに多様な商品のマーケティングで成果を挙げてきた藤原尚也氏を迎え、「ECで売上をアップする秘訣」をテーマにディスカッションが展開された。

 ECの売上アップを実現するポイントとして語られたのは、以下の3点だ。

(1)データで勝ち筋を見つける
(2)データ理解から施策へ落とし込む
(3)EC売上アップのための組織を考える

 「前提としてECと言えども、リアルと一緒であるということは忘れてはいけない」と藤原氏は強調する。誰にモノを売り、買ってもらうのか、つまりは顧客と商品を最大限理解することが売上につながっていくという。

 これについて、セミナーのホストを務めたチーターデジタル ジャパン副社長兼最高マーケティング責任者の加藤希尊氏も賛同。下図のように顧客構造を理解しユーザーを可視化することで、どの顧客層に働きかけるべきか優先順位が見え、有効な施策の選択が可能になると話す。

 「特に変化の速い環境下においては、ゼロパーティデータを収集しながら顧客の解像度を高め、勝ち筋を見つけていくアプローチが有効になると考えています」(加藤氏)

チーターデジタルが提唱する顧客構造の理解と有効な打ち手の仮説クリック/タップで画像拡大
チーターデジタルが提唱する顧客構造の理解と有効な打ち手の仮説
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 では、顧客理解を深めるために、データをどのように読み解いていけばよいのだろうか。1つ目のポイント「データで勝ち筋を見つける」においてコツが明かされた。

フレームワークを使ってデータから勝ち筋を見つける

 デジタルチャネルを使うと様々な種類のデータを取得できるが、どのデータに着目しそれをどの程度ためていけばよいのかよくわからない。そう悩むマーケティング担当者をこれまでに数多く見てきたと話す藤原氏。現状把握をするためのフレームワークとして用いるのが、「PPC戦略(藤原氏考案)」だ。

 着目するのは、「商品(Product)」「販売チャネル(Place)」「顧客(Customer)」とシンプルで、それぞれの頭文字を取ってPPC戦略と呼ぶ。どの商品が、(ECや店舗など)どのチャネルで売れていて、どんな顧客に刺さっているのか、3つの視点からデータを整理していく。

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 さらに、それぞれを掘り下げて分析することでより理解を深めていく。たとえば「顧客(Customer)」であれば、「ヘビーユーザー」「ライトユーザー」「一見ユーザー」などとセグメントを分類できるが、その中でどの層のコンバージョンを上げたいかを整理し、そのセグメントで購入されている商品や購入頻度、購入の順番などを過去のデータから把握する。そうすることでECの売上を改善するヒントが見えてくるようになる。

PPC戦略の詳しい実践方法を、動画本編【7:06~】で解説しています(視聴URL)。

自社にとって「いい顧客」とは?社内で共通認識が作れているか

 現状の理解が進んだら、2つ目のポイントとなる施策検討の段階に移っていく。売上を上げるためには、施策を通して顧客の態度変容を起こしていかなくてはならないが、藤原氏は顧客育成のステップを意識することが大切と説く。

 最初のポイントは、属性データや行動データの分析を通じて、自社にとっての「いい顧客」を定義する部分にある。ブランドやビジネスモデル、顧客セグメントによっても定義は異なるため、社内で共通認識を持っておくことが大切だ。

 「いい顧客とはどんな顧客か」を定義できれば、彼らの最初の購入金額や商品傾向をデータから分析し、いい顧客になってくれる可能性の高い新規顧客を獲得するために必要なことが見えてくる。

 たとえば、「一見ユーザー」を「ライトユーザーの中でのいい顧客」に引き上げたいとして分析したところ、商品Aを買った一見ユーザーがライトユーザーになりやすい傾向がわかったとする。その場合はまだ商品Aを買っていない一見ユーザーに商品情報を送ることで購買を喚起していくというように、逆算する形で施策を展開していくことが可能になる

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 これを突き詰めていくことで、ライトユーザーをヘビーユーザー、最終的にファンといったブランドの支持者に育成することを考えるようになるだろう。しかしそこに至るには行動データから得られる情報だけでは難しい。「今お客様がどんな状態にあって、ブランドやサービスに対する熱量がいかほどかを知るためにも、アンケートなどで満足度を把握しておくことが必要だ」と藤原氏は言う。

 「もし最後に買った商品の満足度が低ければ、このお客様にどんなメールを送っても良い反応は得られないでしょう。その場合はその方をセグメントして、アフターフォローする内容のメールに変えるというように、またステップを分けることが大事です。

 このように、いい顧客を定義・分析して顧客を育成するまでの一連のシナリオができてくると、再び新規のお客様を獲得する入り口に戻った時、獲得にかけるリソースや流入経路にも新しい発見が出てくると思います。それをぐるぐる繰り返しつつ、現在多くの企業が導入しているマーケティングオートメーション(以下、MA)やCRMツールのシナリオづくりに有効活用してほしいと思います」(藤原氏)

顧客育成策定のステップを学びたい方は動画本編【11:40~】をチェック!

MAシナリオ作りは超重要。外部パートナーとチームで行おう

 ここまでの顧客育成ステップに沿って、どうデータをMAシナリオに落とし込むのか。藤原氏は3ステップでシナリオを策定するやり方を紹介してくれた。具体的には、ターゲット層を理解して売上をつくる顧客層を絞り込み、併売商品ランキングの高い組み合わせをどんどん提案することで売上を積み重ねる、ターゲットと商品を決めた上で必要に応じてセールを活用するといったやり方だ。

 「しんどい時ほど、売れないモノを何とかして売ろうとしてしまうことが多いものですが、ECの王道は、ロングセラーの商品をしっかりと売っていくことです売れる商品を1つでも多く売ることにリソースを使う。その上でアップセルや併売目的で、売っていきたい商品も提案する。そのコミュニケーションの順番を間違わないようにすることで、効果的なMAシナリオができてきます」(藤原氏)

 また、事業を担当するマーケターがシナリオ作りに入っていく姿勢も重要だと指摘する。外部パートナーにMA運用を委託している場合でも、自分たちの顧客を一番よく知っている立場としてシナリオづくりに責任を持ち、その上で取り込むべき他社のノウハウがあれば取り込んでいく。チームとして切磋琢磨する姿勢を大事にしてほしいと伝える。

(3)売上アップを実現する組織とは?」では、3ステップで自社の組織づくり・外部パートナーとの協働のポイントを紹介。動画本編【32:31~】で語られた内容を、少しだけお見せします!

ステップ1:デジタルマーケティングの基本とロジックの理解・共感
ステップ2:戦略スピードを上げる「組織」、実施スピードを上げる「体制」「役割分担」をつくる
ステップ3:質を上げる「パートナー」とチームをつくる

短期間で効き目が期待!売上アップに直結する4つの方法

 セミナー終盤で、加藤氏より「短期間で売上アップにつながる、すぐにできるアプローチ」についてアドバイスを求められた藤原氏は、次のようなチャート図を用いて、4つのポイントを提示した。

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短期間で売上を上げる4つのポイント

(1)現在の売上のユーザー構成を分析

 現状を客観的に調べるところから始める。藤原氏は過去3年分のデータから顧客を「A:1~2回しか購入していない人」「B:複数回購入している人」に分類しているという。

(2)併売商品や購入される順番を分析

 A、Bそれぞれのグループの購買傾向を分析。「売れ筋商品」や「併売率(ある商品と同時に、別のある商品が購入される確率)の高い商品」、「ある商品の次に購入しやすい商品」などを特定し、顧客へのレコメンドに反映させる。短期間での成果を求める場合は、動きのない顧客をセグメントし、セールなどの起爆剤となるキャンペーンを行うことも有効だ。

(3)シーズン(月間)の購入商品を分析する

 シーズンごとの売れ筋商品がしっかりと売れているかチェックしてみると、抜け落ちが見つかるケースは少なくない。アパレルでは夏にはTシャツ、冬にはダウンジャケットなど、季節に合ったウェアがよく売れる。化粧品メーカーなら、夏はUVケア商品、コロナ禍の今はマスクによる肌荒れ防止のためにスキンケア商品が動きやすい。

 また、新商品などのプロモーションを強化したことで、売れ筋のロングセラー商品への動線が弱くなっているケースもよくあるため、注意が必要になる。

(4)最初に購入する商品を分析

 ユーザーが最初に購入するエントリー商品も分析し、コストに対してパフォーマンスの高い新規獲得施策を行っていく。

 「この4点はデータを見たらすぐにでも導き出せると思いますので、ぜひチャレンジしてほしいです」と藤原氏はアドバイスを投げかけた。

本セミナーの動画を公開しています。EC売上アップロイヤルティ戦略の推進、そしてマーケティング組織強化にご活用ください!

「ECで売上をUpする秘訣とは?- 明日からできる! コンバージョンを高める3つのアプローチ -」視聴ページ

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/25 12:00 https://markezine.jp/article/detail/37016