嗜好品サブスクの本質は、好みを見つけること
――では、My COFFEE STYLEの特徴を教えてください。
コンセプトにある「コーヒーを選ぶ楽しさ」創出のため、選び方の切り口を変え、気軽にコーヒーを飲んでいただける商品設計を考えています。従来のコーヒーは、ブラジル産やブルーマウンテンなど、産地や豆の種類による訴求が多いですよね。対してMy COFFEE STYLEでは、お客様の生活シーンや感情からもコーヒー選びが始められます。
たとえばCAFE@HOMEシリーズは、和菓子とコーヒー、チーズとコーヒーのように、コーヒーに合わせる食べ物軸や、「さわやかな朝に」「朝の目覚めに」といったシーン別で選べるように商品を開発しています。以前は、COFFEE STYLE UCCへいらっしゃったお客様に、和菓子やチーズなどとコーヒーの食べ合わせを楽しんでいただく試飲も行っていました。
――コーヒーの専門知識がなくても、「こんな気分のときに飲みたいコーヒーは?」と選べるのですね。
そうなんです。UCCのイノベーションセンターで、シーン別に適したコーヒーを開発し、製品化しています。また、各パッケージも高級感よりは親しみやすさを重視していますね。
そしてMy COFFEEお届け便では、コーヒーの専門家であるMy COFFEEスタイリストが、お客様に合わせてセレクトしたコーヒーを定期的にお届けしています。コーヒーは24種類あり、豆、粉、ワンドリップの3コースをご用意しているので、お客様の好みの味はもちろん、環境に合ったコーヒーの淹れ方も選べます。お届け便のコーヒーにも、「NAGOMI」や「REFINE」などの名前をつけています。
そして、お客様が好みをフィードバックする仕組みが、「My COFFEEマップ」です。My COFFEE STYLEのLINE公式アカウント内で提供するMy COFFEEマップは、ライト、ストロング、苦み、酸味の四象限からなっており、飲んだコーヒーの感想を記録し、味覚を可視化できます。

このマップは、My COFFEEスタイリストがお届けラインアップの参考にするだけでなく、お客様ご自身がECや店舗でコーヒーを買うときにもご活用いただけます。お届け便をご利用になっていないお客様も、コーヒーを飲んだときのログとして使えますし、様々なコーヒー体験を蓄積して、ブランド利用へつなげるハブになっていますね(※My COFFEEマップの記録対象はMy COFFEE STYLEで取り扱うコーヒーのみ)。
――My COFFEEお届け便はサブスクリプションですが、やはり継続利用を目的に?
もちろん、サブスクリプションモデルのKPIとされる継続率や解約率は大切ですが、「お客様がご自身で楽しくコーヒーを選んでいらっしゃるか?」も重視しています。お酒やコーヒーなどの嗜好品系のサブスクリプションは、体験が蓄積され、お客様自身で好みがわかってくるようになります。すると、「今度はこの商品だけを買ってみよう」と行動が変化し、ときには「好みの傾向がわかったから、サブスクは止めよう」というように、サービスの卒業もありえます。むしろ解約は、お客様へ価値をご提供し満足いただいた結果でもあるのです。
ですからMy COFFEEお届け便は、継続率だけにフォーカスせず、コーヒーを選ぶ楽しみの入り口や自分の好みを知るハシゴの意味合いとして機能させていきたいと考えています。