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業界No.1のメーカーECサイトを目指して――オンワード×ブレインパッドが描くデジタル戦略とは

「データ・システム」の全体が俯瞰できるからこそ行える「顧客起点」

近藤:2度のECリプレイスには、様々な経緯があり、そこからパーソナライズの改善に行きついたのですね。構造面での制約がある中で、デジタルマーケティングを推進するために一番留意した点はどこでしたか?

酒見:一番留意したのは「システム間連携」ですね。長年細かなアップデートを重ねた結果、様々な商品マスタが存在します。デジタルマーケティングに活用するためには、一度別システムを介して商品管理システムにつなげるなど、複雑な構成になっています。ここでつないだ商品マスタは、多数のツールに接続する仕組みを組んでいます。

近藤:確かに、酒見さんは、デジタルマーケティングの知見だけでなく「システム」の知識が非常に豊富ですよね。デジタルマーケティングは、消費者との接点となる「接客やレコメンド」を注視しがちですが、「デジタル時代の顧客起点」を進めるには、データがどう流れ、各システムでどのように利用されているのかという「データ・システム」から全体像を理解したうえで、戦略や活用を考えることが必須となりますよね。

 以前、御社の基幹システムの全体図を見せていただきましたが、多種多様な業務システムが「ICチップの回路」のように精密に組まれていて、それを酒見さんが精緻に把握されていたのが印象的でした。全体が俯瞰できるからこそ行える「顧客起点」。まさに「データマーケティングは“小手先”ではない」ことを、酒見さんとの対談で気づきました。

理念や課題を理解し、“伴走”してくれるベンダーとともにリプレイスを実現

近藤:今回のプロジェクトでは、多くのツール導入を行いましたが、重視したところはどのあたりですか?

酒見:すでに世の中にあるもので良いものは取り入れていくことを基本に、一部独自の機能を作り上げてきました。この仕事をしていると忘れがちですが、私たちも一歩外に出たら一消費者として、日々素敵な購買体験を受けています。「あれは良かった」と日常的に感じている部分をメンバーとディスカッションしながらひたすら取り入れ、要件定義をしました。そのうえでツール選定を行いました。

近藤:「ベスト・オブ・ブリード」で優れたものを選んでいった形ですね。どのような観点で選ばれたのでしょう?

酒見:一番重要なポイントは、「自分たちの理想にいかに近づけるか」という点だと思います。いいツールはたくさんあるのですが、機能の有・無ではなく、「理想の実現」のためにできること・できないことを詳細に整理していくと、理想とは若干違ってくる点も出てきます。そこをいかに理想に近づけるかという点が大切です。

酒見:そこで核になるのはやはり“人(パートナー)”です。ツールの良し悪しでの選定だけではダメで、「このように使ったら“オンワードのお客様”のためになる」という想いをくんで、自分ゴト化し伴走・実行してくれるパートナーとお付き合いをするように心がけています。

 近藤さんとは長年交流があり、この界隈の業界歴史も理解されているので、「この部分が選ぶポイントで、ここはオンワードとマッチしている」と丁寧かつ詳細にアドバイスを貰っています。私たちのビジネスのステージや特性を理解し、真剣に考えていただける点がとても心強いです。また、ブレインパッドという会社は、データ活用のパイオニアですし、「データの価値を本当にわかっているな」という印象を持っています。未知の領域へ新たな挑戦を進める中で、「安心」が備わっていることは重要でした。ブレインパッドの「Rtoaster」を導入してパーソナライズの改善に取り組んだのには、そのような経緯があります。

近藤:ありがとうございます。今回のリプレイスで「Rtoaster選定のポイント」としてお伝えした「表示速度」の話を思い出しますね。機械学習を用いた精緻なパーソナライズでの精度はもちろんですが、オンワードさんのようにセッションデータ量が多ければ多いほど、「表示速度の安定性」が実は重要になってきます。ロイヤルカスタマーはトランザクションが多いがゆえに、それに耐えうるツール選定が必要です。「ツール自体がもつスペックの比較」はベンダーの資料には記載されていないですからね。

酒見:まさに、EC売上高が100億円を超えたあたりからデータ量も膨大になってきて、表示速度の遅延は不安材料だったので、とても重要視していました。その不安が払拭できたのは大きいです。

 また今回、新たな取り組みとして、Rtoasterでのレコメンドだけでなく、購買データに加え、行動データやアクセスログなど様々なデータを使い、「誰が今何のブランドを好んでいるのか」をスコアリングする仕組みを作りました。購買データだけだとお客様が「実は気になっているが購入に至っていないブランド」情報まではわからないままでした。

 購買データだけを使った場合、購買「数」でソートしても 単価の安いブランドが上位表示されてしまうケースが多かったのです。そこで購入データに加え、商品閲覧、カートイン、お気に入り商品登録、といった複数のカテゴリーデータを組み合わせてアルゴリズムを設計しました。お客様の見えないニーズをすくい取り、探索的なパーソナライズを推しはかることができるのは、データを活用するスペシャリストである、Rtoasterとブレインパッドだからこそだと思いますし、そこに期待もしています。

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データの特性や課題を踏まえてこそ、活路を拓くことができる

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/27 10:00 https://markezine.jp/article/detail/37130

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