日本での先進事例:SAPジャパン
最後にSAPジャパンの取り組みを紹介します。いずれもBtoBtoCモデルによりビジネスを活性化し、社会と同期し個人を包含する事業継続性を築く施策として注目されます。
中小企業向けに共通の業務システムを提供
SAPジャパンは2021年4月、会津産業ネットワークフォーラム(以下、ANF)、アクセンチュアとともに中小製造業向けのデジタル・ICT共通プラットフォーム「コネクテッドマニファクチャリングエンタープライゼス(CMEs)」を提供開始しました。まずはANF会員である福島県会津地域の中小企業への導入を進めて生産性の向上を支援し、将来的には全国の中小企業におけるデジタル活用の活性化を目指しています。
SAPジャパンは、2019年から会津若松市のICTオフィス「スマートシティAiCT」内に「SAPイノベーションフィールド福島」を開設して企業のイノベーションを支えてきた実績を基に、今回、産官学一体となって中小企業とデジタル基盤を共有する仕組みを構築しています。すでに空気圧制御部品、自動車部品、工業用ミシン部品、OA・FA部品などを手がけるマツモトプレシジョンの導入事例が発表されるなど、多角的なBtoBtoCモデルが実現しています(プレスリリースより)。
人材育成、マッチングの領域でも
またコロナ禍における生活困窮者への経済的自立支援を目的として、SAPジャパンは2月、外部人財管理ソリューション「SAP Fieldglass」を活用した採用促進プラットフォームの運用において、マイクロファイナンス機関であるグラミン日本と連携協定を締結しました(プレスリリース)。8月には女性のICT人材育成に力を入れるMAIAとともに3社共同で、雇用機会のマッチングおよびデジタル人材育成のためのプログラム「でじたる女子」を提供開始しています(プレスリリース)。

さらに9月、SAPジャパンはMAIAに加えアビームコンサルティング、SHIFTとの4社共同で、就労に課題を抱えている全国の女性を対象にSAP人材の育成および就労の支援事業の開始を発表しました。地域の自治体や企業と連携した全国展開に向け、最初に観光をはじめとする「第3次産業」の割合が高い沖縄県から実施しています(プレスリリース)。

いずれも今求められているBtoBtoCモデルを構築することで、ビジネスと個人をつなぎ社会課題の解決を実践している事例です。