食い入るように画面を見つめる顧客も。方向性が見えた瞬間
変えたのはKARTEのUIだった。グラフやチャートで表現するのをやめ、代わりにトップページで「1人ひとりのユーザー」の動きが直感的にわかるように変更。ユーザーごとに流入経路や過去のサイト上でのアクションなどが表示され、「今この瞬間」の行動がアイコンと共に、リアルタイムに可視化されるようにした。
「こんなにも変わるのか、というくらい鮮明に、お客様の反応が変わったんです。多くの企業の方が食い入るように画面を見ながら、『どうやって計測・解析しているの?』『この人は今サイト上にいるの?』とおっしゃる。その様子を目にして、『インターネットでは人が見えていなかったのだ』と感じました」(倉橋氏)
ユーザーを人軸で、高い解像度で計測したデータを“人”として可視化できるソリューションが求められている。その気づきを得られたことで、倉橋氏は潜在的な課題が存在することと同時に、KARTEの進むべき方向性についても確信が持てたという。
導入数が増えてもPMFを実感できなかった
2015年に正式ローンチを迎えたKARTEは、コンセプトに共感した企業を中心にどんどん広がっていった。見方によってはこの段階をPMFと捉えることもできるかもしれないが、倉橋氏自身が「本当の意味でPMFを実感できた」のはそれから4年後、2019年になってからだったという。
その理由は、KARTEの導入が続々と進む一方で、一定数の解約が発生し続けていたことにある。倉橋氏を始め社内のメンバーが活用支援をした会社はパフォーマンスが出ていた反面、KARTEを自力で運用して納得できる成果を出せている企業は限られていた。それが解約の原因にもなっていたのだ。
「コンセプトやプロダクトの先進性を評価いただき事業自体は伸びていましたが、バケツの穴がふさがり、事業がきちんと受け入れられるようになったと実感できたのはしばらく経ってからのことです」(倉橋氏)
プレイドではKARTEの運営にあたり、四半期から半年の期間ごとに「解約件数」と「解約を差し引いたMRR(純増のMRR)の獲得ペース」を主要な指標として追いかけていた。特に後者の成長スピードが加速していたため「かえって痛みが見えにくい状態にもなっていた」と倉橋氏は当時を振り返る。