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第106号(2024年10月号)
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特集:データ活用の新常識

事業会社マーケターに聞く、データ活用の今

 事業会社のデータ活用に対する考え方や取り組みには、どのような違いや共通点があるのでしょうか。5社の事業会社マーケターに、データ活用の現状とこれからを聞きました。

※本記事は、2021年10月25日刊行の定期誌『MarkeZine』70号に掲載したものです。

以下5名の方からコメントをいただきました。

エン・ジャパン 田中奏真氏/ DINOS CORPORATION 石川森生氏/ 三井住友カード 久保拓也氏/ LIFULL 菅野勇太氏/リクルート 塩見直輔氏

【エン・ジャパン】顧客体験向上を見据えたプライバシー保護を

消費者の視点に立ち戻る

――個人情報保護法の改正施行、Cookie規制などデータ活用に関する潮流をどう受け止めていますか。

 短期的にマーケティングコストが増加することは覚悟しています。プライバシー保護も顧客体験向上の一環なので、私もマーケターとして顧客視点での対応が足りていなかったことを反省しました。パーミッション・マーケティングの考え方に再注目して、商品やコミュニケーションを進化させないといけません。プライバシー保護の部分最適ではなく、顧客体験向上の観点でマーケティングを全体最適することが重要です。

 ただ、実行すべきことはシンプルで、消費者の不満やストレスに感じている点を把握して問題を解決すること。データ活用のゲームチェンジが起きても、困っている消費者を助けたときに企業が対価を得られる点は変わりません。

 Cookieの代替技術の知識や実装も大事なテーマですが、マーケターが消費者視点を持つスキルを高めることが必須だと考えています。たとえば、マーケターが自社サービスを「購入ページはスマホで使いづらい」と批判する。プロダクト開発者に「なぜ、あの機能がないのか」と質問する。批判と質問を通じて改善のアイデアを生み、エンジニアと一緒に問題を解決する習慣こそが、今後の変化に適応できる組織力になると思います。

ファーストパーティデータによるCRMを強化

――今後データを活用したマーケティングを推進する上で、大事にすべきと考える点はなんでしょうか。

 私が大事だと思うのは、消費者と直接つながること。具体的には、ファーストパーティデータを活用したCRMです。

 データを活用したマーケティングが目指すのは、顧客と商品の良質なマッチング。企業は透明化と合意の上で顧客から許諾を得れば、消費者に情報を直接届けられ、顧客のリアルな声も直接収集できます。多くの顧客データとフィードバックがあれば、商品やサービスを改善して、顧客体験を向上させられます。

 このようなポジティブな連鎖を作るための第一歩は、「顧客が離脱するタイミングと理由は何か」「どんな消費者が見込み顧客なのか」を深く知ることだと思います。

 しかし、顧客や消費者の不満を把握して、定期的に役立つ情報を提供するのは簡単ではありません。私の領域はHRTechなので求職者と求人企業のデータを大量に保有していますが、スマホやアプリの登場で消費者の行動が大きく変化しました。

 今後も時間が経過すれば、消費者のライフステージが変わっていきます。消費者と直接つながるチャネルを構築して終わりではなく、「顧客視点で商品やコミュニケーションを常に変化させているか」を自問自答しながら、データを活用したマーケティングを推進していきたいと思います。

エン・ジャパン株式会社 デジタルプロダクト開発本部 デジタルマーケティング部 部長 田中奏真氏

エン・ジャパン株式会社 デジタルプロダクト開発本部
デジタルマーケティング部 部長 田中奏真氏

 1982年生まれ。2006年にエン・ジャパン入社後、法人営業。2009年にマーケターに職種転換。2015年にデジタルマーケティング部の部長に就任。『AMBI』など、HRTechのマーケティングを統括。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/11 13:56 https://markezine.jp/article/detail/37569

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