「根拠」の徹底追及を実現するために新たなアクションが必要に
――「再現性」と「根拠」を重視した経営がポイントだったということですね。アドエビスの導入は、それを実現する目的だったのでしょうか?
西守:はい、そうです。創業後すぐにアドエビスを導入しました。データを元に再現性を担保することが重要だと思ったので、初期からツールに投資していました。
導入してから、管理画面に毎日アクセスして、昨日の獲得件数を確認するようなベーシックな活用をしていたのですが、2年ほど経った頃、「この広告施策で本当に儲かっているのか」を突き詰める必要性に直面するようになったんです。
広告別のLTVを把握することでROIを最大化する
――広告施策で利益を出せているかを突き詰めるということですが、なぜそれが必要なのでしょうか。
西守:単品通販(D2C)において、何が利益に貢献しているかを判断することは容易ではないんです。最近は対応するシステムも出てきましたが、我々が問題に直面していた頃は、世の中のカートシステムがリピートを想定して作られていないため、既存顧客と購入経路を紐づけることも難しかった。
売上が上がっている理由が特定できないのでは、D2Cビジネスでの未来はありません。アドエビスでは、どこの経路で獲得したかという点の情報がわかりますので、獲得経路別にその後のお客様の状態を手動で分析していました。しかしデータ量が増えるに連れ、そのやり方では立ち行かなくなりました。
ならばいっそのこと、自分たちで獲得顧客のLTVを算出できるシステムを作ろうと考えました。企画構想から人材の採用、データ構築まで2年ほど費やし、2018年にBIダッシュボードを完成させました。
――BIダッシュボードを自社開発されたんですね。システム構築時には何を大切にされましたか。
西守:一番は、獲得したお客様がこの先どれぐらい利益貢献してくれるのかを可視化することです。LTVというのは顧客生涯価値なので、本来生涯を観察しないとわからないものですが、そんなことをしていたらPDCAが回らずに会社が潰れてしまう。
そこで当社開発のダッシュボードでは、アドエビスから取得するデータを蓄積し、30日、60日、90日……365日というように、区切りを設定して、そのお客様のLTVと継続率を可視化できる仕組みを構築しました。
このBIダッシュボードとアドエビスを連携したことで、自社専用のアドエビス管理画面が出来上がり、そこからはどんどんカスタマイズしていきました。更新は現在も続いていますが、今では広告施策ごとの購入者のLTVや継続率などが、クリックするだけで見られるようになり、社内で議論する内容も1段高いフェーズへと変化しました。
笹井:実際、広告ごとにLTVというのは変わるものですが、ツールベンダーとして様々な企業とお話しするなかで、ビタブリッドジャパン様のように広告別のLTVをシビアにウォッチしている企業はまだまだ多くないと感じています。
また広告ごとにLTVを見ようとしても、データ環境を整備するハードルが高く、取り組みが出来ない企業様も多くいらっしゃいます。
そこで、今年6月に実装したアドエビスのオプション機能である「LTVForecast」は、簡単な設定をしていただくだけで広告別のLTVを可視化し「儲かる広告投資」を可能にする新機能として提供を開始しました。
――「LTVForecast」について、もう少し教えてください。
笹井:「LTVForecast」は共同開発パートナーであり、JIMOSを始めとした数々のD2C企業のマーケティングを舵取りされた田岡敬氏独自のノウハウとアドエビスの技術を融合することで、これまで実現が困難だった「LTVの予測」も可能にしました。それにより、直近実施した広告施策から生み出される利益の着地が分かるので、止血すべき「赤字広告」、もっと獲得を伸ばすべき「機会損失中の広告」の迅速な把握が可能になりました。
また、LTVだけでなく「F2/F3転換率」「F1/F2/F3以降の平均売上」「投資回収期間の着地予測」「LTVから逆算した上限CPA」なども算出できます。
実は、既に「LTVForecast」の活用によって、広告予算配分や特定媒体からのリピート売上改善の検討を行っている企業様もいらっしゃいます。これまでもLTVを可視化する環境はお持ちでしたが、「細かな収益計算」や「LTVの着地予測」は行えなかったため、毎月の広告運用や施策検討に自社データを活かしきれない状況にありました。そこで、現在は「儲かる広告投資」を実現するために「LTVForecast」でご支援させていただいております。
西守:2017年時点にこの機能があったなら、当社もBIダッシュボードを開発していなかったかもしれません(笑)。実際、広告ごとに収益計算までできる仕組みは、「LTVForecast」のほうが優秀なので、我々もぜひ真似ていきたいです。